子どもの権利条約 怒りを愛に変えるには

 東京都で起きた両親による虐待で幼い命を奪われた船戸結愛ちゃん。大人は子どもが言うことを聞かないと叱るものだが、それを差し引いても度が過ぎている。子どもには頼れる者が周りにいる大人と呼ばれる人間しかいないのだ。どうして忘れてしまうのだろう。

 「人権は こどもにだってあるんだよ」。8歳の息子が書いた標語である。そうなのだ。大人は知らないのだ。「子どもの権利条約」について知っている大人がどれほどいるのだろう。1994年5月22日から日本も批准国なのである。この権利は大きく分けて四つ。生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利だ。今回の事件においては、守られる権利が大きく侵害されているのである。

 この重要な条約についてすべての親が知らなくてはいけない。例えば母親・父親学級、例えば回覧板、街の至るところに政治家のポスターなどではなくこういったものをポスターにして大々的に貼り出すべきであろう。無知は罪悪である、とは言うが無知にさせる政府もまた罪であろう。

 私は詩人として一人の父親として言葉や心について子どもたちに伝えているつもりだが、こうした事件を耳にするたびにもっと活動しなくてはならないと感じる。声高に声をあげていかなくてはならないと感じる。

 わが家の場合は、さてどうするか。甘やかされて育った息子。条約の中に「遊ぶ権利」も保証され、「教育の権利」も保証されているのだ。息子には「君はラッキーなことにこの宿題をできるんだよ!」と説明することにした。息子は腑(ふ)に落ちない感があるが、この条約の肝である「子どもの最善の利益」を得るにあたり大人ができることの一つとしての行為である。

 先日、幼児虐待が疑われる場面に遭遇し、幼児虐待SOSに緊急電話をしたものの記録を取るだけで全く動く気配がなかった。怒りに震えながら警察に通報した。

 まず、一人一人の意識を変えるべきなのだ。小さい声に耳を傾ける、ほんの少しの時間でいい。それだけで怒りは愛に変わり得るのだ。そんな時間が取れないあなたに進言する。怒りを愛に変えるのは、あなた自身なのだ。絵本に登場する鬼や悪魔は実は人間なのだ。その真実に8歳の息子は気づいている。鬼より悪魔の方が怖いという。天使が悪魔になるのだ。良いものが悪いものに巣くわれるのだ。その真実に8歳の子どもが気づいている。

 すべての大人たちに進言する。その怒りやイライラを愛に変える時が来た。手遅れとも思える今、この状況を変えるのは弛緩(しかん)した行政ではなく、私自身であり、あなた自身の心なのだ。

 生命とは鼓動する光なのです。かけがえのない光なのです。特に子どもは、純粋な光そのものなのです。



詩人、井上出版企画代表 井上優 みなかみ町上牧

 【略歴】本名・井上雄。日本現代詩人会員、日本児童文学者協会員、日本ペンクラブ会員。前橋市出身。英バイアム・ショウ美術大ファウンデーションコース卒。

2018/07/01掲載

関連記事
特集・連載 > 視点オピニオンの記事