ホスピタリティ 職場で薄れてませんか
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 ホスピタリティという言葉は、ラテン語のHospicsが語源で、日本語では「思いやり」などと訳されることが多い。目配り、気配り、心配りとも言い換えられる。接客業や医療の現場でよく使われる言葉であるが、実は今、一般の企業でもこのホスピタリティが注目されている。なぜならホスピタリティが希薄になってきていると感じる企業が多くなっているからだ。

 向かい合ったデスクに座っている相手にも、言葉を交わすよりメールで要件を伝える人が多くなったと企業の研修担当者が嘆く。また、「共に働く仲間に思いやりのあるコミュニケーションが取れなければ、営業や販売で成果は出せない」と心配する経営者もいる。目配り・気配り・心配りの「思いやり」は失われつつあるのだろうか?

 研修をしていて最近の社員の特徴として感じるのは、相手や周囲を気遣い過ぎて行動できないという一見矛盾した考え方である。これをしたら相手にどんな風に思われるだろう、間違っていたら、誤解されたらどうしよう、と悩んで行動できず、結果、気がきかない、事なかれ主義と評価されてしまう彼らがいる。

 実際彼らからは職場の具体的事例を挙げて解決策を相談されることも多い。そんな時私は「言葉にしよう」と伝える。ほとんどのケースは言葉が伴えば解決できる内容であるからだ。ではなぜ彼らは言葉にできないのだろうか?

 ネットやSNSが主流のコミュニケーション社会では、発信する側と受け取る側が一方通行である。もちろんSNSでもコメントを通して会話はあるが、それは短いやりとりで目の前に相手がいるわけでもない。リアルな人間とリアルな会話をする機会が少なくても結構生きていけるのが今の社会であるのと同時に、目の前に相手がいてリアルに双方向のコミュニケーションを取ることになると、どうしてよいのかわからなくなってしまう人が増えてきているのも現実である。

 職場においてもそれは、言葉が少ないことから生じるミスコミュニケーションとして影響が出ている。特に、ホウレンソウ(報告連絡相談)には大きな影響がでているようで、ホウレンソウができていなかった故の事故や問題が多くなってきていると企業側は話す。相手が今何を必要としているのかを察知し、先手の関わり方をしていくこともやはり「ホスピタリティ」である。

 共に働く仲間同士、気持ちよく仕事のできる職場環境は、相手の気持ちや考えをくみ取り、それを言葉と共に行動に移すことであり、それはミスコミュニケーションを最小限にし、生産性を高めることにもつながる。多くの企業で今後も「ホスピタリティ」を意識して取り組んでほしいと願っている。



コミュニケーションデザイン代表 堀口瑞予 東京都千代田区

 【略歴】日本航空で客室乗務員や教官を約20年間務めた後、独立。明治大リバティーアカデミー講師。ワイン講師、接客コンサルタント。高崎女子高―明治大卒。

2018/07/02掲載

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