病院と学校とICT 子が未来描く手助けを

 当社が掲げる企業目標のひとつに、「病院と学校をつなげる」というものがあります。これは、入院中や闘病中の子どもたちが少しでも教育を受ける機会を増やすために、ICTを活用した遠隔授業参加の仕組みづくりや授業動画の利用を促したいと考えたことから生まれました。

 たとえば部活のけがや事故で1カ月入院するとします。学年にもよりますが、小学校では国語は週5~9時間のこま数があるので最低でも20時間近く遅れをとることになります。算数や社会も、10~20時間の遅れになります。

 もし病室で自習できる状態であったとしても、この学習時間の差は学校に戻る気持ちを鈍らせることもあると思います。友達と話が合わなくなったり、テストの点が下がったり…。そんなことも考えられます。そして、闘病中でまだ学校というものに通ったことがない子もいるでしょう。当社は、その空白をICTで色づけることができるのではないかと考えています。

 実現に必要なのはテレビ電話ができる環境です。パソコンとパソコン、タブレットとタブレットでも構いません。一方的に視聴したり、休み時間に教室のクラスメートと双方向通話で談笑したり。または、録画した授業を見ながら学習する。そこに高価な設備や複雑なシステムは要りません。

 全国で見れば、特別支援学校などで少しずつ事例も増えてきています。この勢いをもっと加速させたい、実証実験を積み重ねたいと思うのです。明日をも知れぬ子どもが一人でもいるのであれば。

 正直に言って、私は「教育の義務」だからなんて思っていません。子どもにいろいろな未来を描かせることが大人の責務だと思っていて、その手法のひとつとして遠隔授業を用いることが何かのきっかけになるのではないかと考えているに過ぎません。

 ICTの「C」はコミュニケーションの頭文字です。ITにコミュニケーションの言葉が付加された理由は、まさしくITを活用して情報や知識の共有・伝達が重要だと考えられているからです。教え合うこと、学び合うことを、インターネットを介してでもできる時代がすでに来ています。VRやロボット技術に加え、今後普及していく第5世代通信「5G」を活用して、教室の匂いや音、音楽の授業では楽器の感触や温度などをリアルタイムに感じることもできるようになっていくはずです。

 そんな時代になったら、北海道の病室にいながら沖縄の小学校に通う、海外にいながら日本の学校に通う生徒もいるかもしれません。もしかしたら先生までも遠隔から授業しているかもしれません。「病室を、教室に。病院を、学校に」。当社はICTの力で取り組んでいきます。子どもたちのための第一歩を共に踏み出してみませんか。



IT企業「サンダーバード」社長 山根洋平 前橋市六供町

 【略歴】15歳でホームページを自作し、IT企業のシステムエンジニアを経て30歳で独立。バリアフリー情報ポータル「ウニクス」を運営。太田市出身。桐生高卒。

2018/07/23掲載

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