陸上部と夏合宿 仲間と一段上の高みへ

 運動をするには厳しい酷暑、猛暑が続いています。屋内でもきちんとした準備、対策をしないとトレーニングは逆効果で、熱中症や脱水症状、体調不良につながりかねません。練習時間や場所の選択、トレーニング前の正しい水分補給や糖質摂取、トレーニング後の回復を早める食事や睡眠、体のケアが必要です。

 東洋大陸上部はこの1カ月間、週末は涼しい準高地合宿に行き、平日は大学の寮に戻って早朝練習をするというスケジュールを送ってきました。気温の高い日中は学業優先です。8月上旬まで定期試験があるため、しばらくは暑さの中での練習が続きます。定期試験後の夏休み期間中はほとんどが合宿で、仲間と合宿地で一日中トレーニングに集中する日々となります。

 夏合宿の目的は暑さを逃れるためだけではありません。箱根駅伝の区間距離に対応することや個人の走力を鍛え上げるために1日に50キロほど走ります。チームの結束を図ること、個人の内面を磨くことも夏合宿の大事な目的です。

 競技の自己研さんを積み重ねることが競技力向上になりますが、自分のやるべきことの実行が、場所と時によっては、自己中心的に映ることも多々あります。自己を高めるための習慣とわがままとは線を引かなければなりません。駅伝は仲間たちと一緒に襷(たすき)につながれた絆をつくることが大事な要素です。合宿期間はよりチームメートと寄り添って、チームのために使う時間が取れます。

 人の気持ちを察することは容易ではありません。まず、自分とはどんな人なのか理解することから始めるとよいと思います。自分がやりたいこと、欲しいことを優先しているうちは他人の気持ちを想像することは到底できません。自分以外の人のために時間を使うことは、自ら進んでできることではありませんが、やがては自分に還ってきて、情を感じ取れる力が育ちます。

 私自身も改めて己を見つめ直すと自己嫌悪になることがいまだにあります。誰しもがパーフェクトではなく自分の非力な部分や自分が特別な存在でないことを知ることが必要です。

 合宿はさまざまな人々の関わり合いで成り立ちます。宿や地域の方々、卒業生を含めた支援者の力添えは大きいものです。自分の目標のために練習に打ち込む面もありますが、自分以外の人のために乗り越えられる壁や勇気を持って一歩踏み出せることもあります。自分一人でできることには限りがあります。心から感謝ができて、感謝の心を口に出すことが大事です。思うことと伝えることの両方ができると、周りの目も変わり本人の自覚がさらに芽生えていきます。

 この夏をチームで乗り越えて学生一人一人の目標達成とチーム目標である三大駅伝優勝を目指していきます。



東洋大陸上部男子長距離部門監督 酒井俊幸 埼玉県川越市

 【略歴】東洋大からコニカミノルタに進み、全日本実業団駅伝3連覇。学法石川高(福島県)教諭を経て、2009年東洋大監督就任。箱根駅伝3度優勝。福島県出身。

2018/07/29掲載

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