学びと成長 英語は楽しく役に立つ
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 6月末にマカオを初めて訪れました。マカオ大で開催されたアジア英語教育学会の国際大会に参加し、日本の小学校英語教育について発表をしました。方向性としては、担任の先生が核になるわけですから、内容中心の教科横断型の授業を目指すべきだと提案しました。学習者は地理や社会などの教科、異文化理解などのテーマに関して英語で授業を受けます。学習内容を理解させることが目標となります。多くの国々でもこの方法が実践されています。

 マカオには世界遺産に登録されている箇所が多くあります。日本との接触が16世紀からありました。ポルトガルの商人はマカオを舞台にして巨額の利益を得たのです。明国で生産された生糸、絹織物、焼き物等を長崎に持ち込み、銀で支払われるという貿易が成立しました。世界遺産である岩見銀山の銀がマカオの世界遺産の多くを建てたという壮大な事実があったのです。

 さらに、徳川幕府のキリスト教弾圧が始まると、数百人に上る日本人キリシタンがマカオに逃れました。彼らの多くは聖ポール天主堂のファサードの彫刻に携わりました。このような文化遺産を残してくれたことに日本人としての誇りを感じます。6月末、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界遺産に登録されました。何か特別な因縁があるのでしょうか。

 今回は「学びと成長」についてまとめたいと思います。中央教育審議会は「次期学習指導要領答申」の中で、学校教育でこれから必要となるのは主体的・対話的で深い学び、つまり「アクティブラーニング」だとしています。それは、教師主体の受動的学習ではなく、生徒が自ら課題の発見と解決に向けて主体的かつ協同的に学ぶ学習です。生徒の興味・関心が高い話題について、ペアやグループで互いに学び合い、考えを伝え合うことを目標とします。

 例えば、それぞれの国や地域で話されている言語や社会・文化について調べさせ、互いに学び合うという活動などが考えられます。アクティブラーニングとはまさに生徒の積極的学びそのものです。協同的な学習に参加するには意識改革が必要です。まず、仲間と共に学ぶという心構えをつくらなければなりません。このような学び方を学ぶと自律学習が可能となります。目標を達成するために教材を選び、学習計画を立て、途中で進み具合を確認し、計画をきちんと継続する意思の強さが必要です。

 生涯にわたって複数の言語を学習することは個人の成長を促すと同時に、教育、仕事、移動、情報へのアクセスを容易にしてくれます。自分の意志で英語を学習し、学習の管理ができる自律した学習者になってもらいたいです。英語の学習は楽しく役に立つという感覚を身に付けてほしいです。



早稲田大名誉教授 神保尚武 富岡市七日市

 【略歴】前大学英語教育学会長。早稲田大商学部教授時代にNHKラジオ「基礎英語」講師。高崎高―国際基督教大卒。早稲田大大学院修士課程修了、博士課程中退。

2018/07/31掲載

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