やまの子ども農園 自然こそが学びの場
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 2011年から「やまの子ども農園」の活動をしています。月に2~3回、地域の子どもたちと赤城山にある畑を耕し、さまざまな農作物を育てています。

 この活動は創始者である坂本勝さんの「私たちの命の糧は食べ物。その食べ物の源は生産の現場である畑。子どもたちに、そんな食のつながりを体感してほしい」という思いから始まりました。

 思いと活動を継いでくださったのが、1990年より有機農業と自然養鶏に取り組んでいる「すぎな農園」の竹渕進さんです。竹渕さんは「鶏との付き合いから、自然の流れに沿うことの大切さや、生きもののたくましさや繊細さなどたくさんのことを教えられます。養鶏だけでなく、農業とは学びの場なのだと思います」と話されています。

 現代の多くの子どもにとって、食べ物の始まりはお店かもしれません。もしかしたら、コンビニかもしれません。そんな子どもたちが「畑で種を蒔(ま)き、育て・食べる」という一連の食のつながりを体感するということは、とても大切なことだと思っています。

 やまの子ども農園が年間の軸としている活動はみそ造りです。まず、前年育てた大豆を「大きくな~れ!」の言葉とともに畑に蒔きます。鳥よけをし、草取りをし、4~5カ月後に収穫をします。子どもたちは、大豆の上でジャンプをしたり、大豆のさやを棒でたたいたりしながら脱穀をします。それを竹渕さんが唐箕(とうみ)にかけてくれて、各自持ち帰り、その大豆でみそ造りをするのです。

 一昼夜水につけ2倍以上に大きくなる大豆を観察し、約半日グツグツと煮て、大豆が柔らかくなったら米糀(こうじ)と合わせ、容器に入れて自宅に保管します。時々天地返しをしながら1年寝かせて、熟成させたおみそを家族全員でいただきます。これぞどこにも売っていない、最高においしいわが家の「手前みそ」です。

 子どもたちは、畑で作物を育てたり、虫を捕まえたり、自宅でみそ造りをする経験を通して、いのちの循環や、優しさ、いのちをいただくことなどを学んでくれていると思います。決して教科書には載っていない、テレビやインターネットからは伝えられない「自然に生かされている」という実体験により、自然の大切さ・いのちの大切さを感じる心を育んでいくことができると確信しています。

 そして、子どもだけでなくその親たちも、この体験を通して、どんなに頑張っても思い通りにいかない作物に子育てを重ね合わせたり、1年以上待ってようやく食べることができるおみそから、待つ心で子どもを育てることを学んだりしています。

 まさに、自然が私たちにいろんなことを教えてくれています。これからも、そんな学びの場づくりをしていきたいと思っています。



子育てネットワークゆるいく代表 井上昭子 前橋市岩神町

 【略歴】マタニティーヨガ指導、産後教育講師、幼児教育アドバイザー。「子育てネットワークゆるいく」を立ち上げ、子育て支援活動に尽力する。武蔵大人文学部卒。

2018/08/06掲載

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