誰が顧客になりえるか 縮小する市場に戦略を
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 スノー人口はピーク時の4割まで落ち込み、業界の衰退が言われていますが、回復基調にあります。大体のスキー場で20~30代の若年者層が半数以上を占める一方で、市場がインバウンドに支えられているという現実もあり、縮小する国内市場に対する一つの答えを表しています。

 国内の観光旅行市場は60歳以上のシニアが伸長しています。スキー用品の購入率が高いのもシニアですが、シニアが観光およびスキー業界に寄与する期間もあとわずかになってきています。将来のため若者やファミリー層を取り込むことも必要ですが、「将来誰が顧客になりえるか」を考える時期になってきたことは確かです。

 私が関わってきたスキー場は、10万人以下で累積債務に苦しむ所がほとんどでした。エリアでナンバーワンの大きなゲレンデであれば、どんな客層でも受け入れる戦略をとれますが、10万人以下の所が同じようなことをしては、競合に対して勝ち目はありません。群馬では、長野や新潟に比べるとアクセスが近いこともあって、車を持たない若者をターゲットにしました。

 若者が使いはじめたSNSをいち早く利用し、若者のコミュニティーを刺激して有名ゲレンデの認知度を凌駕(りょうが)することで、若者を継続的に取り込み、新規のお客さまを増やせたのではないかと思います。単なる刺激だけではリピートはしません。小さなお子さまをお持ちの女性が過ごしやすいスキー場を目指したおかげで女性の比率やリピーターが増え、継続的な成長ができたのではないかと思います。

 最近関わった長野のスキー場はアクセスが非常に悪い、スキーヤーオンリーを守っている所でした。ボードを解禁して若者をという話もありましたが、安心安全なスキーヤーオンリーを逆手に、シニアにとって居心地の良いスキー場を目指す戦略をとりました。

 シニアは口コミに対する来場率は高い上、濃厚なコミュニティーを持っています。そういったコミュニティーを刺激し、シニアが求めるモノを冬以外にも提供できたからこそ、シニアナンバーワンのスキー場となり、お孫さんを連れて来られるスキー場になったのではないかと思います。

 これからのリゾートは、時代に合わせて、ターゲットとするお客さまの満足度を高めるだけの着地型のマーケティングだけではいけません。スキー場に行こうという気持ちになるところから、スキーをして、家に帰り着くところまで、サービスの一環としてフォローし、狙う客層のさまざまなコミュニティーを刺激し、どうやって集客につなげていくかというサービスマーケティングを行う必要があります。その必要性は今の日本の観光業界にも言えることなのではないでしょうか。



一般社団法人佐渡観光交流機構専務理事 清永治慶 東京都文京区

 【略歴】サントリー勤務後、数カ所のスキー場を運営。2009年、みなかみ町ノルン水上スキー場取締役支配人。長野の第三セクターを経て18年6月から現職。慶応大卒。

2018/08/09掲載

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