お盆行事 ご先祖様に頑張る姿を

 お盆行事の始まりは、お釈迦(しゃか)様の十大弟子の一人の目蓮(もくれん)さまの母親が餓鬼(がき)の世界に落ち、お釈迦様の教えに従って大勢の僧侶に供養し、母を助けたことが始まりとされています。日本では推古天皇14年(606年)に行事が行われたのが最初と言われ、一般には江戸時代になってから広まったようです。

 お盆の期間中は、ご先祖様が仏の世界より各家に帰り、生きている人と共に生活を送ります。各家では盆棚を設け位牌(いはい)を安置し供物や花を飾り、ご先祖様の好物やごちそうを備えます。8月13日には迎え火をたき迷わずにご先祖様が帰ってくることを願い、15日または16日には送り火をたき無事に仏様の世界に送り出します。

 私が住む地域には多くの竹林があり、里山を荒らす竹の有効利用と地域おこしの試みとして、宝積寺では2004より8月13日の迎え火に合わせて竹による万灯会(まんとうえ)を始めました。現在万灯会実行委員会が中心となり、小学生から年配者まで約70人ほどのボランティアの人たちで運営されています。

 万灯会が始まった頃は、試行錯誤の連続で、造作しやすい新竹を使ったところ竹が縮んでしまったり、竹には切る時期があるのを知らず、カビたり割れたりの失敗ばかりでした。先進地の高崎観音山ろうそく祭りや京都の花灯路を見学に行き、実際に見ることでさまざまな刺激を受け参考にさせていただきました。

 竹に興味を持ってもらおうと、幼稚園児と小学生を対象に竹灯籠教室や竹灯籠コンテストを開催し、県内外より二十数点の出品をいただきました。竹灯籠はとても風情があり山寺の雰囲気に合っているのですが、割れたり重かったりするため、竹灯籠に加えガラス・プラスチック・ペットボトル・行灯(あんどん)などさまざまな灯(あか)りを試しました。

 06年より世相文字を光で表現し、東日本大震災の11年は「祈」「絆」、富岡製糸場と絹産業遺産群登録の14年は「祝世界遺産」、上野村に日航機が墜落し三十三回忌の昨年は「命」「520」の文字が境内に浮かびました。

 当初500基ほどであった灯籠は現在約4000基ほどになっています。行灯には子どもから大人の絵画が貼られ、灯籠には国内外の自然災害者への応援メッセージが添えられ、光に浮かび上がります。宝積寺の灯籠の祭典は荘厳の極みの風景を映し出しています(開催は毎年8月13日午後5時~8時)。

 お盆行事で大切なことは、多くのご先祖様のおかげで私たちが存在し、感謝の心で生活するとともに、生きている私たちが頑張っている姿をご先祖様に見てもらうことが最も大切なこととされています。ぜひ今年も、ご家族皆さまでお墓にお参りし、ご先祖様と共に感謝のお盆をお過ごしください。



宝積寺住職 西有孝裕 甘楽町轟

 【略歴】曹洞宗の大本山、永平寺(福井県)で3年間修行後、1985年から現職。富岡甘楽地区の曹洞宗寺院でつくる第13教区の前教区長。駒沢大仏教学部卒。

2018/08/11掲載

関連記事
特集・連載 > 視点オピニオンの記事