がんの親を持つ子ども 役割担う勇気を信じる
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 お父さんやお母さんが、「がん」と言われた時、子どもたちはどんな気持ちでいるのでしょうか。

 私が、がんを告げられたとき、長男は4歳で、長女は生後2カ月でした。私の場合は、「ママは病気になっちゃったから、病院に入院して治してくるよ。みんなと一緒に赤ちゃんのお世話をしていてくれるかな?」と長男に話しました。がんという言葉は、大人が聞いても重く、その後の対応も必要と感じ、直接伝えることはできませんでした。

 息子は、ここ数日の普段と違う家族の行動を見て察していたようで「わかったよ。ママがんばってね」と言ってくれました。妹が生まれたばかりで赤ちゃん返りしたい時期です。母親が突然家から姿を消し、祖母も妹の世話で慌ただしくなりました。

 病院にお見舞いに行くと、母親は抗がん剤治療の副作用で髪は抜けて皮膚や爪は黒ずみ外見が変わり、大人たちは暗い表情でがんという病気の名前や治療内容の難しい話をしていました。

 ちょうど保育園でひらがなの勉強をしている時期でした。先生が「『あ』はあひるの『あ』ね。じゃあ『が』は何があるかな?」と息子に聞いた時、「『が』は『がん』の『が』だ!」と無邪気に言ったため、先生はがんという言葉が保育園児の口から出てきたことに涙してしまったそうです。

 親ががんになったとき、子どもにそれを伝えるか、どう伝えたら良いか、伝えた後のフォローはどうしていくと良いのか悩みます。親は、自分たちも病気を受け入れることが難しい中、小さな子どもにわかるように説明すること、伝えた後の状態やその後どう接したら良いかに難しさを感じるからです。

 NPO法人Hope Treeは、「がんの親をもつ子どものサポートグループCLIMB(Children’s Lives Include Moments of Bravery)」というプログラムを行っています。これは、「子どもはいざというとき、勇気を示します」という意味があります。

 がんのことを親から教えられなかったとしても、子どもは周囲の様子や話す言葉からがんという言葉を知り、自分の身の回りにある情報からその言葉がもつ意味を知っていきます。「自分がパパやママのためにできることは何だろう」と必死に探し、家族の一員としての役割を果たそうとします。

 現在2人に1人ががんになると言われている時代です。普段から、検診の必要性や保険に入っていくことの重要性について、行動に示しながら、がんについて家族と話せる場を作っていくことも、親が未来ある子どもにしてあげられる人生の教育なのかもしれません。



子宮・卵巣がん患者会「みゅらりっぷ」代表、助産師 三武美紀 桐生市広沢町

 【略歴】看護師を経て助産師に。胎盤の細胞ががん化する絨毛(じゅうもう)がんを発症し、子宮と卵巣を摘出した経験から「みゅらりっぷ」を立ち上げる。桐生大短期大学部卒。

2018/08/16掲載

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