提出物が出せない 解く楽しさ感じる環境

 小中高の皆さん、夏の宿題をがんばっていますか?

 先日、中学校で「英語の提出物が提出できない」という中学生たちに対して、授業をする機会をいただき、iPadを20台用意して向かいました。

 彼らはなぜ、課題が提出できないのでしょうか。実は、彼らの多くは、「課題は提出しなければならないものである」ことはわかっているのです。つまり、提出しなかったことに対して、ほとんどの生徒は、多かれ少なかれ「まずいな」と思っています。自分でもなぜ終えられず、提出できないのかがよくわからず、実は本人が一番困っています。

 このような生徒への学校での対応としては、「注意する」、「叱る」という指導が一般的なようですが、これはあまり解決にはつながりません。よくある解決策は、「解答を写してでもいいから提出する」という方法ですが、これも本質的な学習につながらないどころか、「見た目さえ整えばいい」という誤認識を生徒に与えかねません。

 課題が提出できない背景には、家庭の事情や、本人の学習レベルなどさまざまな要因が考えられますが、今回も「読み書き」に着目してお話します。

 英語という科目においては「読めないから、解き進めていくことができない」という生徒が多くいます。また、答えがわかっても「つづりが思い出せないから書けない、いちいち辞書で調べると時間がかかって先に進まない」ということも多くあります。このような状態の場合、パソコンやiPadを使うことで、学習環境を整えることが可能になります。

 今回、iPadを使って①ページを写真に撮ってOCR(文字認識機能)を使って読み上げさせる②タイピングなどで回答を入力する③音声で検索できる辞書を使い、つづりを調べる-の三つの方法を組み合わせました。特に①②については、専用のアプリ「タッチ&リード」により、両方が可能になる環境を紹介しました。つづりが思い出せないことに対しては、音声入力や予測変換、音声検索辞書などを紹介すると、生徒はすぐに使いこなし、各自が黙々と課題を進めていました。

 このように、環境を少し整えることで、生徒は考えながら解いていく楽しさを感じることができていたようです。

 今回のアンケートでは参加した生徒たちの9割は「読み上げ機能が良かった」「テストでも読み上げが使えたらいいと思う」と回答していました。また、8割の生徒が「この方法(iPad)なら、課題の提出がもう少しスムーズにできそう」と回答していました。ちなみに、この中学校の英語教諭は、iPadで解いたものを印刷して提出しても良いとしていました。

 まずは皆さんが無事に夏の宿題が提出できるよう応援しています。



高崎健康福祉大子ども教育学科助教 村田美和 前橋市下川町

 【略歴】東大先端科学技術研究センター特任研究員などを経て2016年4月から現職。理学博士。マイクロソフト認定教育イノベーター。京都大大学院博士課程修了。

2018/08/18掲載

関連記事
特集・連載 > 視点オピニオンの記事