外来生物 人の営みが招いた脅威

 多々良沼では、5月末に県や市、多々良沼自然公園を愛する会の関係者など15人ほどが、特定外来生物でキク科のオオキンケイギクとオオブタクサの除去作業をした。

 沼の北東部をスタート、まもなく堤防の斜面に黄色いオオキンケイギクの花を見つけ、引き抜きが始まる。先へ進むとオオブタクサが次々見つかり、作業も大忙し。約2キロの距離を3時間ほどかけ、軽トラック3台分除去した。

 多々良沼の周辺には、前記の2種をはじめキクイモ、アレチウリ、アメリカフウロなどの外来種が二十数種類繁茂する。これらの外来種は、繁殖力旺盛で日本在来の植物を脅かす勢いで増え続けている。われわれ人にも悪影響をもたらすケースとして、セイタカアワダチソウ、オオブタクサなどの花粉による花粉症が知られている。

 沼と多々良保安林の間にあるビオトープの芝生の中に厄介者で四葉のクローバーとして知られる、ヨーロッパ原産のマメ科のシロツメクサが繁茂している。シロツメクサとは、江戸時代にオランダからガラスの器を日本などに輸出するときに乾燥したこの草を緩衝材にしたことで、詰め草の名になった。水辺のヨシなどに絡みつく北米原産のウリ科のアレチウリも繁殖力旺盛な植物で、ヨシ原などの自然環境に悪影響を及ぼしている。

 鳥類では、多々良沼周辺で、十数年前から中国南部原産のチメドリ科のカオジロガビチョウの記録があり、現在はかなりの数が生息している。他には、同じ科のソウシチョウの記録がある。鳥類の外来種は少ないが、地球温暖化の影響で、それまでは西日本で越冬していた冬鳥でカラス科のミヤマガラスやコクマルガラスが20年ほど前から多々良沼周辺や板倉町などで越冬している。沼周辺では毎冬300~500羽が越冬するようになった。11月中旬になると沼の上空を群れで飛び交うミヤマガラスが見られ、翌年の3月上旬まで越冬する。

 植物や鳥類の他に、昆虫では最近、東毛地区で確認されたクビアカツヤカミキリが多々良沼周辺でも見つかり、桜の食害が確認されている。この他、日本の自然に悪影響を及ぼす外来種は数多くあるが枚挙にいとまがない。

 以上のことはすべて人の行動によるものだ。海外から輸入した穀物や家畜の飼料に混入した植物の種子や園芸種の草花が脱走し、自然の中に入り込み、日本在来種を脅かしている。

 とにかく、今繁茂している外来種を除去することが先決だ。種子が実る前に根こそぎ引き抜くことだ。それには作業人数を多く確保することが必要である。

 人の身勝手な行動が自然界のバランスを崩している。自然を知り、自然を慈しむことでおのずと自然に対する見方が変わると思う。



前・日本野鳥の会群馬館林分会長 太田進 館林市松原

 【略歴】民間企業を退職後、日本野鳥の会群馬館林分会に入会。1996年から2017年5月まで同分会長。多々良沼自然公園を愛する会の世話人。館林市出身。

2018/08/21掲載

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