大泉の日本語支援 希望に沿う知恵と熱意
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 外国人家族が来日し、大人は、異文化の中で働きながら生活を支える。子どもは、親世代が経験していない文化の中で、学び成長していく。家族が選択した道であったとしても、容易ではないことは明らかである。このような家族を支える日本語の支援は、活動する人たちの思いや知恵が詰まった内容になっている。

 大泉町の日本語支援の状況は、大泉国際交流協会が主催する「日本語講座」をはじめ、ハローワークが窓口となる就労のための研修やNPO法人が行っている日本語教室などさまざまで、教育委員会の「多言語サロン」もその一つである。

 支援の方法も目指すものによって異なっている。日本語で会話ができるようになりたい、漢字を使って文章を書きたい、教科の宿題を見てほしい、日本語検定試験のための勉強をしたい等々である。

 学習者が自分に合った講座を見つけるためには、いろいろな情報を収集することが必要であるが、情報は一カ所にまとまっているわけではないので、まずはどこかの講座に出てみる。そこから芋づる式に新しい情報を収集でき、その中から自分の求める日本語支援講座を取捨選択できると思う。

 教育委員会の行っている多言語サロンは、2004年1月に開設された。開設に当たっては、前年に実施した不就学実態調査の結果が反映されている。各種外国語や異文化を学べる場として、また不就学の子どもの学習の場としての役割を担っている。

 毎週土曜日9時30分から12時まで、日本語を学ぶ小学生や中学生、日本語検定を目指す人、ポルトガル語を学習するグループ、目的別に分かれて熱心に取り組んでいる。

 火曜日は、日本の学校への入学を希望している子どもが対象である。来日したばかりで全く日本語がわからないとか、日本には住んでいたが外国人学校で学んでいたので、日本の学校にすぐに編入するのが難しいなどのケースが目立ってきた。そこで、公立学校に入る前に準備が整えられるよう、少しでも言語や環境の変化が緩やかになるような狙いで始まった。

 付き添って来た保護者も希望があれば一緒に学習している。保護者のこの姿勢は、思わぬ学習効果をもたらしている。重点的に学習させたい内容を、保護者もサロンで学習し、家庭でも親子で一緒に学ぶことができる。家庭学習の効果は大きく、学習の定着に直結する。家庭によっては、日本語学習コーナーを作り、家族全員で取り組んでいるというケースも出てきている。

 どんなSOSが発信されているのか? どんなことなら活動できるのか? それぞれの希望を丁寧につないでいくことで、知恵の詰まった新しい文化が生まれてくるように思う。



大泉町教委外国人子女教育コーディネーター 山田恵美子 埼玉県深谷市

 【略歴】大泉町指導主事の時、全国に先駆け外国人児童生徒の不就学の実態をまとめる。元大泉東・西小校長。2015年から現職。高崎女子高―大東文化大文学部卒。

2018/08/24掲載

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