運動をしよう 「自分流」見つけ楽しむ
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 昨日の歩数は5836歩、運動時間は18分-。最近では、歩数計のほか、スマホや活動量計など、歩数が測れる端末が増えた。身体活動量と死亡率の関連などの疫学的研究によると、理想は「1日1万歩」。しかし群馬県民の歩数の平均は、4000~6000歩。この6年減り続け、より歩かずに済む環境が整ってきている。

 デスクワークが基本で昼食も外に出ない、職場では、コピーやトイレに立つくらい。通勤には自家用車を利用。こんな生活だと1日の歩数は2000~3000歩にとどまる。便利な家電があれば、歩数はさらに減少。空いた時間はスマホがあれば、座ったままでも退屈しない。働く世代の8~9割に運動習慣がない。

 群馬県では少数派の運動習慣者である私は、「運動の良さを伝えて、みんなに運動してもらいたい」と単純に考える。しかし、どんなに知識を広めたところですぐに行動に結びつくほど簡単な話ではない。これまでどれだけ運動の普及・啓発活動が行われてきたことか。

 体を動かすことが「将来的に疾病予防や生活の質を高める」と頭ではわかっていても、「今、動きたくない」という気持ちが勝ってしまうのが人間だ。「どうやって運動不足を解消したらよいかわからない」という人もいるだろう。所得、地域、雇用形態、家族構成などで健康格差も生まれるともいわれる。環境や状況によって健康を意識したくてもできない人もいるだろう。

 近年は、医療保険者が加入者の予防・健康づくりの取り組みに対して、ポイントを付与するといった保健事業がみられるようになった。日々の体重や歩数の記録、特定健診の受診、特定保健指導の利用などによってポイントが付与され、ポイントがたまったらそれに応じた商品と交換できる。ポイントという報酬によって、「歩かせよう、健康管理させよう」というのだ。

 しかし何だか変な話だ。運動は何のためのもの。健康は誰のためのものだろう。誰かがぶら下げたニンジンが目当てというのも、運動を始めるきっかけとしては悪くないかもしれないが、それだけでは継続は難しいだろう。

 群馬には「健康登山塾」がある。地元群馬の山々を歩きながら、医学的な見地から山登りの体への影響を認識し、本当に健康づくりに寄与する登山をそれぞれのスタイルで考えてみようという活動だ。山をきっかけに新たな人と人とのつながりが生まれる。活動を継続していけば、リーダーが育つことも期待できる。私たち運動好きが、そうでない人も運動自体を楽しめるように手を差し伸べたモデル事業といえよう。

 自分に合った運動がきっとある。自分の楽しみのために自分で運動を続け、それが健康につながる。運動好きから皆さんへ、そんな形の運動を提案したい。



日本山岳会群馬支部会員 大家千枝子 高崎市芝塚町

 【略歴】高崎健康福祉大准教授。専門は体育・スポーツ学。1990、91の両年に世界選手権自転車競技大会出場。東京都出身。日体大卒、日体大大学院修士課程修了。

2018/10/01掲載

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