漢字や英単語の宿題 工夫と配慮で「先へ」
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 この1年を通して、学習障害について紹介してきました。そして多くの保護者の方や先生から声をかけていただきましたことを、この場を借りて感謝申し上げます。

 最後は、「漢字」や「英単語」を何度も宿題で書いて練習するが、覚えられないという、最もポピュラーな相談についてご紹介します。

 漢字や英単語は、何回も書いて練習すれば、誰しもいつかは覚えられると認識されがちです。しかし、どんなに回数を書いても覚えられない人がいます。特にその傾向が強いのが学習障害の人です。時間をかけて苦労して練習した割には覚えられない、たとえ覚えられてもすぐに忘れるという特徴に、困り感を抱いています。

 それでは、何回も書くこと以外に、どのような練習方法があるのでしょうか。

 漢字の場合、タブレット端末のアプリを使って、指書きで練習をしたり、文字が描かれる様子を動画で見る、対象漢字を使った文章を作る、ホワイトボードに大きく書いてみるなど、現代ならではの方法も含めると、多様な学習方法があります。

 英単語は、近年、市販の単語カードや学習アプリで良い物が数多く出回っています。また、書く代わりにキーボードで入力することで、キーボードの配置と手の動きを、スペル記憶の手掛かりにしていく方法などもあります。

 先生が宿題を課す場合は、方法を複数提示し、子どもが自分に合った方法を選択できるという形式がお薦めです。子ども自身、自分に最適な方法について考える力がつきます。また、自分で選ぶという段階を踏むことで、前向きに取り組めるようになります。

 一方、学習方法を工夫しても難しさが残る場合は、やはり合理的配慮が必要になってきます。例えば、漢字は「何も見ないで書ける」ということがゴールの場合、障害があると到達できないため「正しく読める」というゴールに変更した事例もあります。同じく英単語では、パソコンで回答というゴールに変更された事例があります。

 大切なことは、できない読み書きに固執して立ち止まるのではなく、手段を変更したり、他の方法で補いながら「先に進んでいく」ことです。学習障害により漢字が書けなくても、読解力や論理的思考力は身に付けられます。タイピングを使えば漢字を使って立派な文章を書けるようになるのです。英単語のつづりが覚えられなくても、英語を話せるようになるし、パソコンの音声読み上げ機能を使って英文を読解し、タイピングで立派な英文が書けるようになるのです。

 多様な子ども一人一人が、自分に合った真の力を身に付けていければ未来は明るくなると信じています。



高崎健康福祉大子ども教育学科助教 村田美和 前橋市下川町

 【略歴】東大先端科学技術研究センター特任研究員などを経て2016年4月から現職。理学博士。マイクロソフト認定教育イノベーター。京都大大学院博士課程修了。

2018/10/31掲載

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