適切な方向性と努力 夢と可能性を広げよう
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 中学生の頃、宿題で出された「人生計画表」によると私は今頃、ミュージカル女優としてきらびやかな舞台で踊っている予定だ。今、私はその当時の人生計画とは、全く違う人生を歩んでいる。

 高校時代は新聞部に所属し、新聞コンクールで群馬県2位、弁論大会で全国優勝を果たしたが、学校の成績は決して良いとは言えず、大学入試の面接で「成績が悪い」と言われ不合格。舞台女優になる夢を諦め、日本での大学受験に失敗し、計画通りに行かない自分の人生を何度も悔やみ、もがきながら高校卒業後にアメリカのオレゴン州ポートランドに単身留学をした。

 アメリカでは、短期大学を卒業した後に4年制大学に編入する学生が多くいる。成績や実績次第で名門大学や欧州、また少数ではあるが日本の大学に編入することも可能だ。私は、あえて具体的な計画を立てず、勉強に励みながら最終的な進学先を先延ばしにし、留学を通して将来の選択肢を広げようと考えていた。

 将来の可能性を最大限に生かすために成績は常にオールAを目指した。また、持続可能都市として注目を浴びているポートランドの農業についての研究をまとめ、ヤンマーが主催する論文コンクールで優秀賞を受賞した。その際、審査委員をしていた先生方をはじめとする多くの人からの助言があり、自分の学びたい農業・食品ビジネスの分野で世界トップの教育が受けられるコーネル大を受験しようと決心した。昨年12月、コーネル大から合格通知が届いた時は、人生で一番の達成感と「食を通して日本・世界中を幸せにしたい」という夢に近づく喜びを強く感じた。

 留学当初、まさか自分がアイビーリーグの大学で勉強するだろうとは全く想像していなかった。さまざまな人との出会い、家族からの支援など幸運に恵まれていたのは言うまでもないが、留学初期の段階で明確な計画を立てず、それに縛られていなかったことが夢へと近づけてくれたのではないかと思う。

 舞台女優になることや日本の大学で勉強することなどの計画を実現できずにいた私は、努力する方向を間違えていたのかもしれない。自己管理の欠如が舞台女優への道を閉ざし、成績不振が日本の大学不合格などの挫折の原因だと振り返っている。ただ、コーネル大への合格は、適切な方向に向かい適切な努力をすれば夢のかなう確率は限りなく高くなると教えてくれた。

 計画だけを頼りに人生のかじ取りをしてしまうと、その先にあるもっと大きな可能性を狭めてしまうのではないか。自分の置かれている環境で適切な努力をし、その時々に与えられるチャンスに一生懸命取り組めば、過去に定めた計画以上のことが成し遂げられると、私は体験を通して実感している。



コーネル大農業・生命科学部学生 沢浦えくぼ 米ニューヨーク州

 【略歴】共愛学園高を卒業後、米国オレゴン州ポートランドに留学。現在、コーネル大で農業ビジネスを中心に勉強中。食で世界中を幸せにすることが夢。昭和村出身。

2018/11/15掲載

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