味で感じるふるさと 学校給食に伝統野菜を
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 食いしん坊の私です。驚くほど何でも口にします。伊勢崎で生まれ育ちました。就職も地元、病院の薬剤師です。その後、夫とともに小児科医院を営みながら、多くの子どもたちに接してきました。最近、地元が好きになって伊勢崎っていい町だなと感じるのです。

 その中で子どもたちが学校給食で、伊勢崎の風土を感じてもらえたらと思ってきました。

 チーズの勉強をし、生産者に会いたいと各地の牧場を200以上回りました。北イタリアの小さな村・ブラを訪れた時、スローフードに出合いました。スローフード運動は、伝統的な食材や料理を守り、子どもたちに味の教育を進め、小生産者を支えます。ファストフードに慣れた子どもたちに、「甘くておいしい」だけでなく「酸っぱいけど爽やか」「苦いけどおいしい」など味覚の幅を知ってほしいと思います。地元の食材を探していると、下植木ねぎに出合いました。

 200年もの間、大切に受け継がれてきた伝統野菜です。下植木ねぎのスープのおいしさに驚き、感動しました。奥深い優しい甘み、温かみを感じ、ほっとする味は心に響きます。身近に、すてきな宝ものがある。学校給食で食べてもらいたいと強く思うようになったのです。信頼できる料理人に「香りが良く、歯触りも良い。ぬめりが少なくてどの料理とも合い、ほど良い加減」と高い評価をいただきました。

 伊勢崎の風土記に「葱(ねぎ) 下植木に出ずる 最も美味なるものなり」と記載されています。1989年、その大切なねぎを次世代につなぐため、「下植木ねぎ研究会」(桜井良一会長)が発足しました。

 下植木ねぎを子どもたちに食べてもらいたいと学校給食運営委員会にお願いに行きました。給食の食材は、土が付いていると大変とのこと。その後、教育委員会、農政課のご尽力をいただき、2014年12月、下植木ねぎは、生産者の熱い心と共に1万9216人の子どもたちに届きました。多くの人の温かい気持ちがありがたくうれしかったです。献立は、すき焼きや伝統食のおきりこみでした。

 17年12月、市教育委員会は、「いせさきづくしの日」を制定しました。

 徳江基行教育長は「子どもたちが伊勢崎の地場野菜を味わうことによってふるさとに愛着を感じることができる」とうれしそうです。生産者が、学校給食の時間に食育指導をしました。子どもたちは「甘くておいしい。ねぎ嫌いだけれどこのねぎなら食べられる」と得意そうです。みんな笑顔いっぱいでした。私も頂戴して長い間の思いで胸がいっぱいになりました。ふるさとの味は、心に染みます。子どもたちには、ふるさとを自慢して成長してほしいと思っています。



羽鳥こども医院薬剤師 羽鳥裕子 伊勢崎市南千木町

 【略歴】伊勢崎市「農&食」戦略会議アドバイザー、上州アグリ100年ブランド協議会市民サポーター代表、伊勢崎市農業委員。北里大薬学部卒。

2018/11/30掲載

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