学校以外の場 子どもを「真ん中」に
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 「僕は、自分のことを不登校とは思ってないよ」

 不登校と聞いて、どのようなイメージを持たれるだろうか。不登校に対する理解が少しずつ広まってはいるものの、いまだ世間一般的には、ネガティブイメージがあるように感じる。実際には、特定の出来事があって学校に行けない子どもたちもいれば、理由は複合的だったり特になかったりで、学校に行かない選択(自分にあった居場所や学びを選択)をする子どもたちもいるなど多様化している。

 「まなビバ!シリウス」を開設して半年が過ぎた。冒頭の言葉は、開設直後に出会ったある子どもの言葉である。シリウスは、不登校状態や学校教育があわない子どもたちの多様な学び場として存在するフリースクールである。

 安心していられる居場所としての存在意義を持ちつつ、「ワクワク・好奇心」を羅針盤として、子どもたちが「好き」を追求し主体的に学びを深めていくオルタナティブ教育の場にしたいと、不登校経験者の夫と教職経験者の私とで立ち上げた。現在、市内外の5人の小・中学生が、それぞれのペースで通っている。

 シリウスに通う子どもたちは、どの子もきらりと輝く個性があり魅力的だ。ものづくりやCG、描画に没頭する子、教育に対する考えを追求する子など、半端ない集中力を持ち、エネルギーたっぷりである。もちろん、内面を見つめもがいている時もあるし、一見生産性がないような時間を過ごしていることだってあるが、その時間こそが人としての深みを出し多方面に触手を伸ばしているように感じる。

 2017年2月に、教育機会確保法が施行され、同年4月には文部科学大臣決定による基本指針が出された。不登校状態は誰にでも起こり得ること、登校という結果のみを目標とするのではなく社会的自立を目指すことなどが記されている。そして、「学校以外の場の重要性」という文言も明記された。

 保護者も学校の先生方も地域の皆さんも、子どもを取り巻くこの世界の誰もが「子どもたちには、いきいき生きていてほしい」と願っているのだと思う。学校を中心と見ると、学校に行かない状態の子どもたちを不登校と呼ぶのかもしれないが、そもそも、中心にするのは学校ではなく「子ども」ではないだろうか。子どもを中心に見ると、学校だろうが学校外だろうが、社会の中で、子ども自身がありのままで、安心して個の力を発揮しているということが何よりも大切なのだ。

 子どもを真ん中に、保護者・学校・民間・地域みんなで手を取り合う世の中へ。変わるべきは大人の考え方や社会の在り方である。冒頭の子どもの言葉には続きがある。「学校には行きたいけれど納得いかないことがある。だから、学校じゃない新しい学校を探しているんだ」



フリースクール「まなビバ!シリウス」代表 安楽岡優子 館林市仲町

 【略歴】小中学校の教員を11年間務め、アフリカ・タンザニアでのボランティアや東北で復興支援教員を経験。2018年4月にシリウスを立ち上げた。熊本市出身。

2018/12/01掲載

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