群馬のインバウンド 情報発信力を高めよう
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 高崎駅を歩いていると、大きなトランクを引く外国人旅行者の姿を見かけることがとても多くなりました。昨年の訪日外国人観光客は、2869万人となり過去最多を更新しました。その消費額は4兆4161億円と巨額で、GDP(国内総生産)に占める割合を年々増加させています。

 昨年の訪日消費動向によると、群馬県の訪問人数は16万8273人、47都道府県中31位となっており、インバウンドにおいて後れをとっていると言えます。首都圏から近距離という恵まれた立地にありながら、このような状況ではもったいないと言わざるを得ません。何故そういう状況になっているのか、訪日外国人はどのような地域に魅力を感じているのか、課題と方策を考えてみたいと思います。

 日本を訪れる外国人観光客の目的は、「自然・気候・文化・食」の4条件と言われています。この四つの観光資源に恵まれ、それを満足させられる国は、世界的にみてもそう多くはありません。その上安全な日本はまれにみる観光に適した「観光大国」なのです。

 しかし日本人がそれを自覚できたのは、つい最近の訪日観光客の急増によります。2012年に861万人だった訪日客はわずか5年後に約3倍まで激増し、政府は東京オリンピックの20年には4千万人を目標としています。

 インバウンド需要は、もはや一過性のものではありません。隣国の中国をはじめ東南アジア諸国の経済成長は著しく、新富裕層と呼ばれる人々の訪問したい外国の1位は、日本になったそうです。

 私は自宅の離れ家をゲストハウス(住宅宿泊事業法による民泊)として運営しています。初めてのゲストのアメリカ人が訪問したのは、高崎市石原町の洞窟観音でした。私は十数年高崎に住んでいますが、それまでは恥ずかしながら、その存在さえ知りませんでした。洞窟観音は高崎田町の呉服商の故山田徳蔵が私財を投じ、1919年着工、50年の歳月をかけて建設した人工の地下道観音霊場です。

 土木機械のない時代につるはしやスコップなど全て人力で完成させました。延長約400メートルも続く内部には、坂東三十三観音を中心に高崎楽山による観音像が設置され、洞窟一周が札所巡りと同様の御利益があるとされています。また紅葉の美しい日本庭園も併設されています。このように人々にあまり知られていない観光資源は他にも埋もれているのではないでしょうか。

 その情報をゲストはSNS(会員制交流サイト)で知ったそうです。それを聞いて世界は情報でつながっていることを実感しました。もっと情報発信の方法や手段に知恵と工夫を凝らせば群馬県のインバウンドの未来は開けると考えます。



元群馬高専講師・ゲストハウス運営 生形健司 高崎市東町

 【略歴】ゲストハウス運営の傍ら、前橋地裁司法委員、ウイングユー社長を務める。元東京都職員、群馬県職員、群馬高専講師。群馬高専―慶応大法学部卒。

2018/12/02掲載

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