日本100名城「金山城」 地域の宝、より輝きを
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 太田市の市街地の北に秀麗な山容を見せる金山は市のシンボルとして広く市民に親しまれています。

 この金山へ全国からの来訪者が増えています。最大の要因は、戦国時代、金山に築かれた金山城が「日本100名城」に選ばれたことによります。日本100名城は、日本城郭協会が2006年に制定したもので、①優れた文化財・史跡②著名な歴史の舞台③時代・地域の代表―を選考基準に、土木・建築・歴史・考古の専門家が選定したものです。県内では、他に高崎市の箕輪城が選ばれています。

 07年からはスタンプラリーが開始されました。100名城すべてを巡りスタンプを押印すると、協会から登城認定証が交付されます。特典は認定証のみです。スタンプ帳は市販されている2種類のガイドブック付録の公式スタンプ帳のみが有効ですが、ガイドブックは既に累計46万部以上のベストセラーになっているそうです。

 近年、城ブームが定着し「城本」が次々発行されています。姫路城のような天守閣のある城だけでなく、天空の城と呼ばれる兵庫県の竹田城のように、建物の残っていない戦国時代の山城も注目を浴びています。

 全国的には知られていなかった城でも、年間数万人が訪ねるとなれば、経済効果は大きく、とりわけ城以外にめぼしい観光資源がなく他の産業の活力も乏しい街では、スタンプラリーの訪問者は大歓迎となります。旅行会社も季節の制約を受けず、全国くまなくツアーを組めるとあって顧客の囲い込みに熱心です。

 それでは、受け入れ側である太田市の金山城はどうでしょうか。来訪者が感想を書き込むネット掲示板には、「100名城なのにバスがない」「公共交通機関利用での登城は関東最難関」「地元の人やタクシー運転手から行っても何もないよと言われた」というような記述がみられます。

 一方、「スタンプラリーがなかったら永遠に来ることはなかったが(いい意味で)予想が裏切られた」「市民が誇りと愛情を持っているのがわかる」「地域をあげて城を守っている」などの肯定的な意見もいただいています。

 しかし、まだまだ対応不足の感が否めません。「駅からの道中、食事するところがない」「城までの案内がない」などの指摘もあり、ニーズに応えられていない現状があります。

 商機があれば逃す手はないものなのですが、鷹揚(おうよう)な人が多い土地柄なのか、産業構造がなせる業なのか、もったいないと思います。外の人から「通路を進む度にワクワクする城」「文句なく素晴らしくまた行きたい」と言われているのに、その価値に気づかなかったらまさに宝の持ち腐れ。まずは金山城の真の姿を広く知っていたいただくことが最重要課題です。



太田市教委文化財課職員 菅間健司 太田市西矢島町

 【略歴】太田市教委文化財課長、教育部長などを務め2018年3月に退職。再任用職員として文化財の保護活用に努めている。高山彦九郎研究会会長。法政大社会学部卒。

2018/12/03掲載

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