将来の安心のために 成年後見制度を知ろう
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 皆さんは「成年後見制度」をご存じでしょうか。最近は、ニュースで取り上げられることも増えてきたと感じております。弁護士として高齢者や障害者の方々の法的支援を業務としている立場から、成年後見制度を身近な存在として捉えていただきたいと思い、取り上げさせていただきます。

 心身が元気なうちは、将来のリスクをあまり考えることは少ないと思います。考えるとしても、医療や介護など身体的なリスクの場合が多いのではないでしょうか。

 誰でも罹患(りかん)可能性のある認知症で、判断能力が低下した場合、現代の契約社会においては、生活するためにさまざまな障壁があります。金融機関での取引ができなくなったり、介護サービス契約が締結できなくなったりします。いわゆる悪徳商法などでトラブルに巻き込まれることもあり得ます。また、知的障害、精神的障害の方も同様に、契約社会では法的な援助なしに生活することは困難です。

 成年後見制度は、前述のように、判断能力が低下している方のために、法的側面から財産管理や身上保護の援助してくれる方を家庭裁判所に選んでもらう制度です。

 成年後見制度には、法定後見制度(既に判断能力が低下している方が利用する制度)と任意後見制度(将来の判断能力低下を考えて利用する制度)があります。制度の詳細は、紙面の都合上、記載できませんが、今後触れていきたいと思います。

 ある推計によれば、認知症高齢者数は、2020年には少なくとも600万人を超えるとされております。また16年の内閣府推計によれば、知的・精神障害を有する方は、460万人を超えるとされています。他方で、最高裁判所の統計によれば、成年後見制度は、17年時点で約21万人に利用されているにすぎません。

 成年後見制度の利用が進まない中で、16年に成年後見制度の利用の促進に関する法律が制定され、市町村には、利用促進に関する基本計画策定が求められました。今後、市町村は、制度の普及・啓発、相談窓口の整備、家庭裁判所へ制度利用するための申し立て支援等、住民サービスの一環として体制整備をしていかねばなりません。また、制度利用の障壁となっている法律上・運用上の問題点の改善も求められており、今後、利用しやすい制度になっていくものと思われます。

 成年後見制度は、高齢社会の法的インフラとして、間違いなく皆さんの身近な存在になります。

 皆さんには、日常生活の中で「成年後見制度」というワードに敏感になっていただきたいです。制度を知ること、学ぶことで、新たな視点が生まれます。自分や家族の将来について考える切っ掛けにしてください。



弁護士 板橋俊幸 高崎市貝沢町

 【略歴】弁護士法人龍馬所属。群馬弁護士会高齢者・障害者支援センター委員長。一般社団法人認知症予防&サポート研究所アンクル理事。埼玉県出身。早稲田大卒。

2018/12/08掲載

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