甲状腺機能低下
 甲状腺は、首の前側にあるノド仏の下に位置して甲状腺ホルモンを分泌している内分泌器官です。T3、T4という2種類の甲状腺ホルモンがあり、主に酸素消費量を増やして細胞の新陳代謝を活発にしたり発育させたり、また熱を産生して体温調節を行ったりしています。この甲状腺ホルモンが必要以上に分泌されると甲状腺機能亢進症といい、分泌の低下が起きると甲状腺機能低下症と呼びます。
 今回はこの機能低下症についてお話します。
 機能低下症には先天的なものと生まれてから発生する後天的なものがあります。先天的な機能低下症はクレチン病とも呼び6000人の出産に1人の割合で発生すると言われています。出生時から呼吸困難・黄疸・哺乳力の低下・かすれた泣き声などが見られ、骨などの成長や発育が遅れたり、また発見が遅れると知能の低下も出現してきます。
 しかし生まれると直に採血をして甲状腺機能検査を行うので殆どの場合診断がつき適切な治療が行われています。
 また成人になってから発症する甲状腺機能低下症には、慢性甲状腺炎、別名橋本病というのがあり自己免疫異常により甲状腺に対して自己抗体が産生されることにより甲状腺を自分で損傷させてしまう病気です。40才から50才の女性に多く発生し甲状腺ホルモンの低下による皮膚の乾燥、カサカサ、顔のむくみ、脱毛があり、汗をかかなくなったり冷え性で動作も鈍くなってきます。食欲も低下して便秘や倦怠感がおこり、さらに筋力も落ちてきます。また体重は増加してきて息切れや声も嗄れたり、記憶力も低下してくることもあります。
 検査には血液検査が有用で、甲状腺ホルモンを測定したり脳下垂体ホルモンの一つである甲状腺刺激ホルモンや甲状腺自己抗体などを測定して診断します。
 治療には不足している甲状腺ホルモンを補う方法をとります。少量の甲状腺ホルモンから開始して徐々に増量し、甲状腺機能が正常になった時点で維持量を決めて内服を続けていきます。しかし必ずしも甲状腺機能低下症だけとは限らず、場合によっては機能亢進症も起したりしますので専門医に相談の上定期的な検査が必要と思われます。何か自覚症状で心あたりがありましたら、早めに内分泌科の医師に相談を受けてみて下さい。

2001年10月