磯村勇斗が語る、『きのう何食べた?』小悪魔少女をイメージした同性愛者役の新境地
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 今期ドラマのなかでも高い評価と人気を集めている西島秀俊&内野聖陽W主演の『きのう何食べた?』(テレビ東京系)。第6話からは、ジルベールこと井上航役で磯村勇斗が登場し、恋人である小日向大策役の山本耕史との熱演が視聴者をざわつかせている。朝ドラ『ひよっこ』(NHK)の好青年・ヒデ、『今日から俺は!!』(日本テレビ系)の極悪非道のツッパリ・相良猛と、作品ごとにさまざまなキャラクターを好演してきた磯村が本作で挑むのは、同性愛者の美青年。新境地となる新たな顔を見せる磯村に、本作への向き合い方を聞いた。

【撮り下ろし写真】照れながら自身の小悪魔少女ぶりを語る磯村勇斗

■余計なプライドがなくなった気がします(笑)

――ジルベールと呼ばれる同性愛者の青年・航ですが、オファーを受けたときはどう思いましたか?
【磯村勇斗】絶対やりたい! しかありませんでした。今まで同性愛者の役は演じたことがなかったし、西島秀俊さん、内野聖陽さん、山本耕史さんというすばらしい役者の方々とご一緒できると聞いて、すごくうれしくて。ただそのぶん、未経験の分野に飛び込むことへのプレッシャーとの闘いもありました。

――ヒゲにボサボサ頭のビジュアルは、原作ファンからも「ジルベールそっくり!」と好評です。
【磯村勇斗】無精髭と無造作な髪型のインパクトがすごく大事な役なので、ビジュアルには気を使いましたが、メイクさんとスタイリストさんががんばってくださって、すぐ役に入ることができました。撮影しているうちにどんどんなじんできて、普段の生活でもボサボサ頭にヒゲのまま街を歩けるようになりました。余計なプライドがなくなった気がします(笑)。

――原作では、口調や仕草が女性っぽいですよね。それも近づけているのでしょうか?
【磯村勇斗】そのバランスはすごく難しかったです。いわゆる“オネエ”っぽさを出しすぎると、やりすぎな感じが出てしまうので……。監督と一緒に調整しながら、最終的には小悪魔な少女みたいな感じをイメージしました。子どもっぽい役なので、ワガママな少女らしさを出せたらいいなと。監督が「自由にやっていいよ」と言ってくださったので、楽しく演じることができました。

――かなりワガママで毒舌です(笑)。恋人の大策(山本)を振り回す姿がおもしろいです。
【磯村勇斗】山本さんが本当に“大ちゃん”として目の前で生きていて、何を言っても受け入れてくださるので、すごく自然に役に入ることができました。普段の磯村勇斗と山本さんだったら、絶対言えないようなセリフばっかりでしたから(笑)。監督から「アドリブで会話してください」と言われたシーンでは、勢い余って「ウルサイ!」「黙って!」みたいなことも言ってしまって、さすがに言い過ぎたかなとあとで反省したこともありました(笑)。

■ワガママって意外と愛されるんだと気づきました

――どんなにひどいことを言っても、憎めないキャラクターですよね。
【磯村勇斗】シロさん(西島)とケンジ(内野)と大ちゃんと4人でご飯を食べているときも、シロさんが作った料理に対して「見た目が悪い!」「こんなに食べたら太っちゃう!」とか言っていて。これは相当ワガママだなと(笑)。でも、文句を言いつつバクバク食べるから、シロさんたちもどこかで“カワイイな”って思ってくれている。ワガママって、意外と愛されるんだと気づきました。

――航がワガママな行動を取ってしまうのは、すべて大策の愛を試すため。大策はそれを喜んでいる節もありますが……2人の関係を理解できますか?
【磯村勇斗】“好きな人を試す”というのは、僕にはまったくない発想です。だから、きっと女性特有のやり方なんじゃないかなと。大ちゃんのほうも、航に家を閉め出されているのに、なぜか喜んじゃって。ドMですよね(笑)。すごく不思議なカップルだけど、意外と長続きするのってこういう関係なのかなと思いました。ガヤガヤ言いながらやり合えるのって、すごくいいこと。この2人は、きっと歳を重ねても付き合っていけると思います。

――撮影の合間に、西島さん、内野さん、山本さんと4人で話したことはありますか?
【磯村勇斗】4人ともタイプの違う同性愛者役なので、お互いのことを話したりしました。「シロさんは同性愛者に見えないねぇ~」「ケンジはカワイイから好きになっちゃうねぇ~」「航はつかみどころがないっ!」みたいなことを(笑)。大ちゃんが航にデレるときは、「そんなにデレる!?」ってみんなで笑ったり。本番前になると、4人で“このシーンはこうしたほうがいい”という意見交換ができたのも、すごく貴重な経験でした。大先輩の作品づくりの現場を、生で見させていただけてうれしかったです。

――作品のなかでの役割は、どんなふうに意識していましたか?
【磯村勇斗】ワチャワチャした楽しいシーンもある作品ですが、同性カップルの愛は本当に成り立っているのか、受け入れる側の家族はどう思っているのかという、難しいテーマも描かれています。原作だと、航も家族との間に複雑なものを抱えていて、愛を知らないんです。物語が進むうちに、航が作品のシリアスな部分を進行するきっかけになっていくので、難しいテーマをうまく伝えられたらいいなと思っていました。

■オールジャンルを渡り歩きながら遊びたい

――昨年は、『今日から俺は!!』(日本テレビ系)『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)とヒール役が続きました。以前のインタビューでは、「役のイメージで嫌われるのはありがたい」というお話もされていましたが、本作ではまたイメージが変わりそうです。
【磯村勇斗】航はカワイイので、今回は“カワイイ子”っていうイメージで見ていただけるかもしれないですね(笑)。同性愛者というのも今までにない役柄なので、また新しい磯村勇斗の顔をお見せできることが楽しみです。二丁目界隈の方々にも楽しく観ていただけるドラマなので、新しいファン層を開拓できるようにがんばります(笑)。

――役によって次々にイメージが変わるので、毎回驚かされます。それは俳優としてステップアップしていくうえでの戦略でもあるのでしょうか?
【磯村勇斗】同時期に同じような役をやらないようにしたいとは思っています。なるべく一定のイメージをつけたくないなって。作品を観て“磯村勇斗”って気づいてもらえなくてもいいんです。逆に“誰だろうね?”って思われるくらい、役ごとに変わってしまいたい。もともと飽き性というのもあって、今はオールジャンルをポンポンと渡り歩きながら、遊びたいという気持ちが強いんです。最近は、次々にまったく違うタイプの役をいいタイミングでいただけていることをありがたく思っています。

――ご自分から“こういう役をやりたい”と発信することは?
【磯村勇斗】作品選びはマネージャーさんと一緒に考えていますが、自分から役の希望は、あまり言ったことがないです。やりたいことを決めつけてしまうと、自分が思う魅力しか出せないので、あまりおもしろくない。それよりも他の人が「こういう磯村を見たい」と言ってくれた役を演じるほうが、知らない世界に飛んでいける気がして、楽しいんです。
文/加藤恵
ヘアメイク:佐藤友勝/スタイリスト:齋藤良介

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