「リスペクトがあるから上手くいく」松井稼頭央の妻・松井美緒が毎日15品を20年作り続けた理由
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 元メジャーリーガーで現在は埼玉西武ライオンズ二軍監督である松井稼頭央さんの妻、松井美緒さん。Instagramなどで披露される手料理や、15品もの料理を食卓に並べて稼頭央さんを出迎える習慣が話題となって、バラエティや情報番組にも出演を重ねている。結婚当初は目玉焼きも焼けなかったほどの料理オンチだった彼女は、どのようにして華やかなおもてなし料理を会得していったのか。そこに至るまでの思いと現在の夫婦愛や家族観について話を聞いた。

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■食べてもらえない料理。大喧嘩した過去も

――著書『松井家のおもてなしごはん~おいしい! とホムパで評判のレシピ~』(世界文化社)の一文に、「結婚直後は目玉焼きも焼けなかった」とありますが、結婚前はどのような食生活を送っていたのでしょうか。

【松井美緒】それまでは一切お料理らしいお料理はしていませんでした。結婚するまではずっと一人暮らしでしたが、仕事を始めたばかりの頃は、ひたすら茹でモヤシや豆腐に醤油をかけるだけということも。仕事が忙しくなると外食することも増えましたね。

――結婚が決まったときに、料理に対する不安はありましたか。

【松井美緒】不安は感じていましたが、「できない」とは思わなかったんです。私の母がすごくお料理をする人だったこともあり、自然と「できるだろう」と思っていました(笑)。それで実際作ってみたら、何も作れなかった。目玉焼きも焼けなくて。

――最初のお料理を見て、夫の稼頭央さんはどんな反応を?

【松井美緒】「あれ、何も出来ない…」ってびっくりしていましたね(笑)。夫は食べることをとても大切にする人なんです。そういう人にとっては盛り付け方などの見た目も料理のうちなんですよね。例えばおかずの分量に対してジャストサイズの器にめいっぱい入れるのはNG。大きめの器に余白を生かして立体的に盛り付けるとか、そういうこだわりがあって。最初はクリームシチューを作ったんです。レトルトのルーを使って、余計なことをせずに作ったから美味しくないわけじゃない。でも食べてくれなかったんです。その理由が盛り付け方だった。少し冷めて薄い膜が張っていたのも食がすすまなかったみたいで、「あぁ食べないんだぁ」ってがっかりしましたが、夫が食事で何を大切にしているか少しずつわかってきて。そこからお料理を頑張ってみようと。

――精神的にもダメージが大きそうです。

【松井美緒】最初はとまどうこともありました。今は全くしていないけど結婚当初は喧嘩もしましたね。でも、夫の様子を見ながら「昨日と同じ料理でも、こういう盛り付けなら食べるんだ」と、だんだん好みがわかってきて。

――喧嘩なさっていたのは意外です。

【松井美緒】どこのうちも同じだと思いますが、例えば服はポイポイと脱ぎながら歩いて、私が後ろから拾っていくみたいな(笑)。クリーニングにもすごくこだわりがあって、一度それがきっかけで喧嘩をしたことがあったんです。頭を冷やそうと近くの公園にいたら、心配した夫が私の大好きな焼き芋を買って自転車で迎えに来てくれたんです。「美緒ごめんね」って。

――優しい一面も。

【松井美緒】亭主関白なところもありますが、根はとても優しくて。荷物も私には絶対に持たせない。妊娠中は脚がすごく浮腫んで象みたいになっていたんです。そうしたら、自分も疲れてるだろうに、帰ってきてからマッサージしてくれたりとか。そういう優しいところもたくさんあるんです。

――その後、お料理は独学で勉強されたそうですね。

【松井美緒】料理本は徐々に揃えて100冊ぐらいあります。雑誌でも美味しそうなレシピがあればファイリングして、ひたすら真似をして作っていました。それを、ずっと続けていると「これとこれを合わせると、こういう味になる」ということがわかってくるんです。

――美緒さんのお料理は品数が多いことでも有名ですね。

【松井美緒】でもそんなに手の込んだものを作っているわけではないんです。昨日だったらミョウガとキムチの餃子、お鍋のスープ、チキントマト、ラザニア、唐揚げ、カルパッチョ……。中には冷凍しておいたものもあるので、全部を一日で作っているわけではないんです。煮込み料理は基本まとめて作って1回分ずつ小分けにして冷凍しているので、朝解凍しておくだけ。いつのまにか私の料理は15品って言われていますけど、ピクルスとかも入れての15品。毎日毎日全部作っているわけではないので、時間にすると1時間半ぐらいでできあがります。

――食卓で一番大切にされていることはなんですか。

【松井美緒】一番大事にしているのは、みんなが笑っていられる、リラックスできる空間を作ること。だから、時間があるときは出汁から丁寧にとってという日もありますが、時間がない日は手抜きしても、無理はしない、できないことでイライラするより、できる範囲で楽しんで作る、そちらを重視します。

――お料理を勉強されてから、稼頭央さんからなにか言葉はありましたか。

【松井美緒】そういえば言われたことないんです(笑)。当たり前のように食べていますね。でも、プルコギだけは「うちのプルコギはどこで食べるより一番旨い」っていろんな人に言ってくれているみたいですね。

――2人のお子さんは美緒さんのお料理に対してどう感じていらっしゃるのでしょう。

【松井美緒】品数が多いのは夫がいるときのスタイルなんです。夫がキャンプや遠征などで不在のときは、ご飯と味噌汁とおかずとサラダだけとか。子どもたちは食卓を見て今日はパパが帰ってくるのか、来ないのかがわかるという(笑)。息子は料理に対して特に感想は言わないですけど、「ママの料理何が一番好き?」と訊くと「生姜焼き」とか普通の食べ物を答えますね。長女はもう大きいのでパパが帰って来ない日は「私が弟の面倒みているから、友達とご飯食べてきたら?」と気を遣ってくれて。毎日ご飯を作っていることをねぎらってくれているんでしょうね。

――優しいお子さんですね。そういえば美緒さんは中学時代とても荒れていらっしゃったとブログで告白されていましたね。

【松井美緒】中2くらいかな。やんちゃな時期がありました。いわゆる『ビー・バップ・ハイスクール』の世代だったということもあるんですけど、すごい長いスカートに短い上着、学生鞄は芯がないとか。それまで厳格な両親のもと、箱入り娘だった私が突然反発するようになって、今思うと両親は心配したと思います。高校生になるとだいぶ落ち着いてきましたが、やっぱり時代に合わせてコギャルっぽくなっていました。

――息子さんはこれからだと思いますが、娘さんに反抗期はありましたか?

【松井美緒】人としてなくちゃいけないぐらいの反抗期でしたね。

――お子さんたちの前ではどんなお母さんでありたいですか。

【松井美緒】結構厳しくはしています。でもガミガミ言うのは小学校ぐらいまで。中学生になったら、一対一で人として話をするようにしています。親として言うことは言いますけど、ひとりの人間として接する。

――どのような家庭、ご家族であることが松井さんの理想ですか。

【松井美緒】居心地がいい家庭ですね。うちはあまり部屋にこもらないで、必ずリビングにいるんですよね。寝るのも娘が高校を卒業するまで4人で川の字になって寝ていたんです。息子もリビングで勉強していますしね。

――これだけのお料理を20年近く作り続けられる理由とは。

【松井美緒】結婚して20年経って一番思うのは、夫を人としてリスペクトできるということが、とても大きいということです。そこが強いから自分も頑張れるし、彼をサポートしたいなと思うんです。逆に、私も今お仕事をさせていただいていて、夫も応援してくれています。家族で良い関係を築けているからこそ、こうして料理を作り続けてこられたんだと思います。
(取材・文:齋藤倫子)

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