“学校に行けなくなった息子”を漫画に描く、同じ悩みを持つ方に「ひとりじゃない」
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 小学三年生の三学期に、理由もわからず突然学校へ行けなくなってしまった息子さんの様子を漫画にしてつづっている花森はなさん。「同じ問題を抱えているお母さん方の参考に少しでもなれば…」と、複数の児童メンタルクリニックに通い診察してもらっている様子や、行政の子育て相談室へ訪れたときの様子などを詳細に描いている。周囲からの理解がなかなか得られなかった当時のもどかしさや、現状の対応策などについても話を聞いた。

【漫画】”先生がこわい…”子どもの一言にSOSのサインが「息子が学校に行かなくなった理由」

■「なんとかしてあげたい」という気持ちだけが空回りをしていた

――漫画を描いてSNSで発信しようと思ったきっかけについてお聞かせください。
【花森はな】ツイッターで息子の行きしぶりについて呟いたところ、同じような悩みを抱えているお母さん方、そしてご自分がかつて不登校であった経験をお話してくださるフォロワーさんが多数いらっしゃいまして、今現在も私と同じように悩まれている方がいるのであれば、この経験が多少なりとも参考になるかもしれないと思い、描き始めました。

――息子さんが学校に行けなくなったのは、どのようなことがきっかけだったのですか?
【花森はな】小学校三年生のときの担任の先生が原因です。少し過剰な怒り方をする先生で、怒鳴るだけではなく、壁に押し付けられたりして叱られた児童もいたそうです。この先生が原因で、うちの息子だけでなく、他にも学校が辛くなってしまい、不登校気味になってしまった子もいました。

――漫画では様々な方に相談をされたり、複数の病院を訪れたりする様子が描かれていますね。当時抱えていた“もやもや”や“もどかしさ”などがあったら教えてください。
【花森はな】薬を飲まなければ症状が落ち着かない。でも薬で治るわけではない。大人と違って、カウンセリングでも自分の言葉で話すことができない。そういった状況の中で、本人もどうしたらいいのかがわからないから、私もどうしたらいいのかがわからなくて、それでもなんとかしてあげたいという気持ちだけが空回りしていました。

――たしかに、それはもどかしい思いも募っていきますね。
【花森はな】学校に行かせるべきなのか、それとも休ませてあげた方がいいのか。ずっとそのことに関してはもやもやとしていました。でも息子に聞くと、「今日の給食おいしそうだから行きたい」「給食なんやろうなぁ…」とやたらと給食を気にするので、給食をきっかけにして、もう一度少しずつ学校にも通えるようになっていきました。私が子供の頃と違って、今の給食ってカツカレーやビビンバがあったりして、メニューも豊富ですごくおいしそうなんですね。レバーも昔よりも食べやすくアレンジされていたり。だから、息子も給食を楽しみにできるようになり、私のもやもやも少しずつ解消されていったように思います。給食には本当に感謝していますね。

■「立ち止まっても、ゆっくりでも、自分の人生を楽しんでくれることが一番」

――お子さんとの関わり方において、一番大切にしていることは何ですか?
【花森はな】対話です。寝るときに不安な気持ちが高まるようで、叫んだり暴れたりしますが、そんなときは眠くなるまでずっと話をしています。好きな食べ物、ゲームの話、お友達のこと、特別学級の先生のこと、今日楽しかったこと、ときには適当に物語を作り合ったりもしています。しんどかったこと、辛かったことや怖かったこと、ネガティブなことは寝る前には決して話さないようにしています。感情が高まって、殴られたり蹴られたりすることもありますが、話をしていると次第に落ち着いて眠ってくれます。

――現在は、お子さんの状況をどのように受け止めていますか?
【花森はな】現在かかっている病院は三つ目で、今漫画で描いてる病院から、セカンドオピニオンを受け、再び転院いたしました。転院してからは症状も少しずついい方向に向かっています。担当医からは「不安症」という診断を受け、投薬治療は続いていますし、今後も年単位で続いていきます。辛い、限界、死にたいと思うこともたくさんありましたし、息子も私以上に何度も何度も思ったと思います。クラスメイトの子たちは、ひとりで習い事にも遊びにも行きますが、うちの子はできません。こうなるまでは普通にできていましたが、今はずっと私の付き添いが必要です。いいなぁと羨む気持ちも当然あります。でもそれはそれ。息子には息子の歩み方で進んでいってほしいし、立ち止まってもゆっくりでも、とにかく生きて自分の人生を楽しんでくれたらそれでいいです。寄り添えるところは寄り添います。とにかく生きていてくれたらなんでもいいです。

――漫画を読んでくださる方に、一番伝えたいことは何ですか?
【花森はな】もし同じようなことでお悩みのお母さんがいらっしゃったら「ひとりじゃないよー」って言いたいですし、周囲にこういうお子さんがいらっしゃる方には、なんとなくでいいので見守っていただけたらと思います。こういう理由で「行きづらい」「生き辛い」となっている子供さんにも見ていただけたら嬉しいです。伝えたいというよりも「知ってほしい」といった気持ちの方が大きいように思います。

――今後は、どのようなことを描いていきたいですか?
【花森はな】現在は学校に行きづらくなってしまったときのことを描いていますが、この後、私自身も学校に付き添いとして通い続けることになるので、そのときのことを描いていきたいです。大人になって、学生生活をもう一度経験できるなんてなかなかないことなので。学校行事、給食や授業、休み時間の過ごし方、昔とはまるで違う男子と女子の扱い。今の学校って昔よりも驚くほど意識改革されています。そういったことを記録的な意味でも残しておきたいです。

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