SME「ENTX」SPイベントにアジカン・Gotch登壇 起業家へ「自分たちのことを“コンテンツ”と呼ぶ人がいるけど、それは違う」
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 ソニーミュージックが昨年からスタートさせたアクセラレーションプログラム「ENTX(エンタエックス)」。“社会における課題の解決を目指して事業を展開する企業とエンタテインメントの力を掛け合わせた時に、爆発的に新しい価値を生み出せるのではないか?”というビジョンのもと、第2期となる今年度は131社のエントリーの中から5社が採択。9月20日には「ENTX」プログラムの一環として、SME六番町ビルでスペシャルセッションが開催された。

【写真】アジカン後藤ら登壇、熱のこもったトークセッションの模様

◆自分のなかからアイデアを見つけ出そうとすると狭くなる

 ソニーミュージックがこれまで培ってきた新事業創出ノウハウを活かし、ベンチャー・スタートアップとの共創を加速させることを目的とした「ENTX」プログラムの一環として、9月20日にSME六番町ビルでスペシャルセッションが開催された。ゲストとして登壇したのは、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文、キューンミュージックの白井嘉一郎氏の2名。「ENTX」の採択企業関係者が参加するなか、後藤氏の創造性の秘訣、クリエイティブとテクノロジーの関係など、ビジネスとエンタテインメントを巡る興味深い対話が繰り広げられた。

 最初のテーマは、後藤の多岐にわたる活動について。ASIAN KUNG-FU GENERAITONの活動のほか、Gotch名義のソロ活動、自主レーベル「only in dreams」の運営、プロデュース、執筆業など、さまざまな創作を行っている後藤。その創造力の源について質問されると、「いろんなことを楽しめるタイプだし、外からのリクエストに応えていたら、いつの間にかこうなっていましたね。もともと音楽だけでは言い足りない、アウトプットが足りないと感じていたし、“これをやりたい”と思い付いたら、やるしかないので。アジカンのアルバムも2枚分くらいアイデアがあるんだけど、時間が足りない」と回答した。

 続いてのトピックは、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの新曲「解放区」の制作プロセス。メンバーの山田貴洋(Ba)によるデモ音源をメンバー全員でブラッシュアップしたというこの曲は、ポエトリーリーディング、ゴスペル風のコーラスなどを取り入れた個性的な楽曲。「メンバー全員が気持ちいいと思えることが大切。『解放区』は最初、自分と伊地知潔(Ds)が乗り切れてなかったので、何とかしないといけないと思った」、「斬新なアイデアを通すためには、“バンド内プレゼン”が必要。提案するタイミングというものがある」など、貴重な制作秘話が披露された。

 続いて話題は、アイデアの見つけ方、時代との向き合い方などに発展。まずアイデアを生み出すコツについては、「自分のなかからアイデアを見つけ出そうとすると、狭くなるし、すぐに息詰まる。いろんなものに接して、それを自分のフィルターを通して出すことが大事」と語った。さらに「いまの時代に新しいものを作ろうとすれば、若い世代のミュージシャンの音楽を聴かないとダメ」、「新しいテクノロジーをずっと欲している」「楽しいだけでは良くない。ストレスを与えられることで良い作品が生まれる」など、クリエイティブのヒントになりそうな発言が続いた。

◆自分たちのことを“コンテンツ”と呼ぶ人がいるけど、それは違う

 質疑応答のコーナーでは、参加者の女性が「それでは、また明日」(ASIAN KUNG-FU GENERATION)を例に「リスナーのツボを突くような表現は、どういうところから生まれるのでしょうか?」と質問。「『NARUTO』の主題歌で、子供が聴くからこそ、将来まで聴きる曲にしたいと思った。ただ、言葉だけで正確に表現することはおそらく不可能で、そのときのフィールやイメージを共有することを意識している」という答えからは、後藤氏の作詞技術の一端が垣間見えた。

 最後に後藤氏は、参加者に向かって「自分たちのことを“コンテンツ”と呼ぶ人がいるけど、それは違う。文化は川の流れのようなもので、受け取り、受け渡すことが必要」とメッセージ。“音楽・エンタテインメントを再定義し、拡張し、新しい価値をつくる”というテーマを掲げたENTXならではの有意義なイベントだった。

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