SNSで出会った、時に厳しく時に優しい“プラモ仲間たち”「『架空艦』制作で人生の幅が広がった」
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 こんな戦艦やあんな戦車があったら…そんな“男の浪漫”とも言うべき妄想の数々を、「架空艦」という形で具現化するモデラーたちがいる。今回紹介するのは、「架空艦で人生が変わった」と話す青眼鏡(@blue_mokei)氏。旧日本軍艦艇の“近代化”仕様や、自身で創造したオリジナル艦艇を具現化する原動力とは?

【写真】「男は永遠に“中二病”…」妄想を具現化する『架空艦』、戦艦大和の“近代化改修”など

■本格的に作った最初の架空艦は戦艦大和の“近代化”

――架空艦を制作したキッカケを教えてください。

【青眼鏡】数年前から、キット化されていない「計画艦」などを作りたいと思っていました。昨年、近代化改修された戦艦ニュージャージーを作ったときに、「アイオワ級のライバル、大和型が近代化改修したらどうなるのだろう…?」と思い本格的に架空艦を作るようになりました。すると思いのほか反響があり、以後架空艦ばかり作っています。

――架空艦を創造する際、どんな難しさがありますか?

【青眼鏡】現実には存在しないものなので、現存する艦艇や歴史と比べて違和感なく作ることが難しいですね。これまで作った多くの架空艦は「旧日本海軍の艦が近代化改修されたら?」という設定だったので、艦の面影を残しつつどう現代風にアップデートするのか悩んでいます。

――悩んだ末に作り出した自身の作品の“強み”は何でしょうか。

【青眼鏡】細部まで再現するところです。艦船キットだと省略されてしまう部分もプラ材やエッチングパーツでディテールアップしたり、航空機模型なら、完成すると見えづらくなるコックピットの内部も作り込むようにしてます。

――なるほど、見えないからとって楽をしないんですね。では、架空艦制作のこだわりは?

【青眼鏡】架空ではありますが、“リアリティ”のある艦を心掛けています。前述したように、本格的に作った最初の架空艦が戦艦大和の“近代化”という設定でした。当時は管制レーダーなどに詳しくなく「とりあえず載せただけ」という感じだったので、Twitterで沢山の間違いのご指摘をいただきました(苦笑)。以後はしっかり調べてから作ることにしてます。

――いわば、Twitterのフォロワーたちが厳しい“先生”になってくれたと。制作した中で一番の代表作を教えてください。

【青眼鏡】数年前、計画のみで終わった米海軍の原子力打撃巡洋艦(CGN-42)を見たときに、「こういう艦を作りたい」と思っていました。そこで今年の6月、これまで制作していた“旧日本海軍の近代化”ではなく、新造の架空艦である原子力イージス艦「磐梯」をつくりました。これまで制作した架空艦のコンセプトはそのままですが、はじめての新造ということもありかなり苦労しました。その後、「磐梯」の反省点を元に新造架空艦の“リベンジ”として作ったのが「蔵王」になります。

――「蔵王」制作のテーマは?

【青眼鏡】前作の「磐梯」が日本海軍初の原子力巡洋艦であり初のイージス艦という設定でした。ただ高コストでステルス性を考慮していない設計だったので、これらを改善した発展型が「蔵王」という設定です。主な任務は空母護衛ですが、対テロ・海賊対策にも派遣される万能艦です。

■ “妄想”や“空想”を具現化した架空艦に求められる現実との“整合性”

――「蔵王」の気に入っている部分と、納得のいっていない部分を教えてください。

【青眼鏡】煙突がなくスッキリとした原子力艦らしい外観、現用艦らしく傾斜のついた構造物、最新鋭らしい塔型マストやVLSの採用が気に入っています。ただその反面、煙突がないと艦中央をどうするかで悩み、中途半端になってしまったところ。あと、ステルスを考慮した結果これまでのように機器をゴテゴテ載せられないことが気に入ってないところでしょうか。

――では、「蔵王」でこだわった表現は?

【青眼鏡】これまでの架空艦が70〜80年代の設定で作ったのに対し、「蔵王」は90〜2000年代の最新鋭艦とするため新しい構造を多く取り入れました。ステルス性を考慮して艦橋やヘリ格納庫などの構造物を傾斜させ、初の塔型マストの採用。ディテールアップも最近発売されたナノドレッドの消化設備などを使い細部までこだわりました。

――架空艦の制作を通じて感じた「壁」はありますか?

【青眼鏡】一番は塗装です。エアブラシを使った通常の塗装も難しいのですが、ウェザリングや退色表現が特に難しく、エナメル塗料を使いすぎてプラスチックが劣化したこともありました。また汚しすぎると違和感があるのでちょうどいい塩梅にするのがとても難しいです。あとは架空艦やジオラマなど、スクラッチビルドではプラ板などのつなぎ合わせ箇所などが難しく、パテを使ってもキレイに仕上がらない事が何度もありました。

――その壁をどうやって突破しましたか?

【青眼鏡】繰り返し挑戦することです。何度も作って再現できるまで試したり模型雑誌やTwitterなどで他の人がどのようにしているのか徹底的に調べました。ウェザリングなどのサビや汚れ表現は当時の写真を参考にしたり、実際に空港や港に行って写真を撮って観察したりもしています。

――最後に、青眼鏡さんにとって架空艦とは?

【青眼鏡】架空艦の魅力は、単に市販のキットを組み立てるだけではなく、「こうだったらいいな」とか「こうアレンジしたらこういう作品が作れるのかな」という空想や妄想を具現化できる点です。当初は興味本位で作った架空艦ですが、Twitterのフォロワーさんの反応も良く、今では自分の代表作の1つになっています。また架空艦を通じてフォロワーさんとの交流や、今回のようなインタビューという機会をいただきとても嬉しいです。まさに、人生の“幅”を広げてくれたのが架空艦です。

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