『公衆電話ガチャ』なぜ今?小学生の8割知らないスマホ時代に商品化した理由とは
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 かつて街中で探せば点在していた公衆電話だが、最近はほとんど見かけなくなった。そんな中、先月新たに『NTT東日本 公衆電話ガチャコレクション』が発売された。昭和の赤いデザインや受話器が2つついているものや金色の電話機等のバリエーションがあり、ネットでは発売前から待ち望む声が相次いでいた。なぜいま公衆電話のガチャなのか。タカラトミーアーツ、NTT東日本の両社担当者に聞いた。

【写真】2つ受話器ある“デュエットホン”からプレミア金色も、精巧技術詰まった公衆電話ガチャ

■通信障害で公衆電話に大行列で商品化決意、使い方知らない世代にガチャで役割発信

――公衆電話のガチャを作ろうと思われたのはなぜですか。

【タカラトミーアーツ ガチャ企画部 加藤しずえさん】これまで“街角公共物シリーズ”として「郵便局ガチャ」「信号機ガチャ」などの商品化してきて、次のネタを探しているところに、偶然「郵便局ガチャ」を店頭で見つけて購入してくださったNTT東日本の公衆電話担当の方から公衆電話もガチャのモチーフにならないかと相談を受けたのがきっかけです。

【NTT東日本 島村英莉さん】昨今、携帯電話やスマートフォンの普及により公衆電話の利用機会が減少しており、弊社が去年実施した調査では、小学生約8割が公衆電話を使ったことがなく、約3割がそもそも存在を知らないという結果が明らかになりました。これまで公衆電話を使ったことない子供たちへ、使い方を分かりやすく伝えることが課題だったということが、提案をもちかけた背景です。

――スマホ世代にあまり使われなくなった今、商品化に迷いはありませんでしたか。

【タカラトミーアーツ 加藤さん】はじめは、昨今公衆電話を触ったことがない世代が増えている上に、設置台数も減少傾向ということで、ガチャユーザー向けの商品化は難しいかなと不安も感じて商品化自体を悩んでいました。しかしちょうどその時期に携帯電話の通信障害で公衆電話に大行列ができ、その中で使い方が分からない人が多かったというニュースが大きく取り上げられたことがありました。私自身も、2011年の東日本大震災の時に回線が強い公衆電話を何度か使用したことを思い出し、いざという時の公衆電話のインフラの役割を再認識しました。ガチャを商品化することで、そういった公衆電話の重要性を働きかければと思い商品化に至りました。

■電話ボックスにこもって研究重ねた精巧デザイン、ガチャ技術の進化も感じてほしい

――発売前から度々話題になっていましたよね。

【タカラトミーアーツ 加藤さん】WEBメディア様を中心にお取り上げいただき、そこからSNSを通じて話題が広がりました。まだ発売まで3か月以上もある頃に、街中で「あの公衆電話のガチャは欲しいよね」と話している方たちの会話がたまたま耳に入ってきて、話題の大きさを実感し、あらためて感心しました。

――実際に受話器をとったりボタンを押したりできる仕掛けもお子様やマニアに受けそうです。

【タカラトミーアーツ 加藤さん】公衆電話を使用したことがない世代のお子さんたちが操作方法が直感的に使えないと知りました。身近にあるジュースの自動販売機などは先にお金を入れてからボタンを押しますが、公衆電話はその逆で、先に受話器を上げてその後にお金を入れます。習慣でついつい先にお金を入れてしまいたくなりますが、お金を入れるとすぐに返却口からコインが戻ってきてしまうため電話を掛けることができません。そういったこともあり、電話の掛け方のシミュレーションができるようにできる限りのギミックを施しました。

――いつもながらリアルで精巧なデザインですよね。

【タカラトミーアーツ 加藤さん】カプセルサイズで再現するにあたり、構造上のスペースを確保するために、パーツによって少しずつバランスを調整しながら設計するのに苦労しました。また公衆電話正面の操作板のテキスト情報も様相が多いので、現物と遜色ない程度で簡略しても違和感ないようなデザイン調整にも苦労しました。そして、赤電話機以外は現物の持ち出しができなかったので、NTT東日本の本社や川越資料館、三鷹センターや、NTT東日本さんに許可を頂いた公衆電話BOX内などで、採寸・撮影・色合わせなど、ずっとこもって取材作業を行いました。

――このガチャコレクションを手にした方に、どんなことを伝えたいですか。

【タカラトミーアーツ 加藤さん】単純には手のひらサイズの精巧なミニチュアおもちゃとして、「現代の技術でガチャがここまで進化しているのか」とガチャ文化を楽しんでほしいです。 そして、"いざという時の重要な通信インフラの役割を担っている公衆電話" をあらためて身近に感じてもらえればと思います。

■実は今でも1km四方に1台、災害時も通信規制や停電の影響受けず安否確認にも使える

 最も公衆電話設置台数が多かった1984年度の約93万台に対して、2018年度は約16万台と減少しているが、現在も災害時を含む通信手段の確保のため、市街地では概ね500m~1km四方に1台設置されている。

――身近な設置場所を確認する方法はあるのでしょうか。

【NTT 島村さん】東日本大震災の際には、3月11日の東日本全域の公衆電話の通信回数が前日比約10倍を記録するほど、多くの方に連絡手段としてご利用いただきました。これを機に、平時から災害等緊急時に備えるというニーズに応えるため、設置場所をネット上で公開しております。

――やはり東日本大震災をきっかけに、その重要性が見直されましたよね。

【NTT 島村さん】公衆電話は通信規制の対象外となり、停電時も平時と同様に利用可能です。震災直後に安否確認のために運用開始した「災害用伝言ダイヤル(171)」では、300万件を超える利用がありました。被災者の電話番号を入力することで、伝言を残したり聞いたりすることができます。そのほか緊急避難時等には、どなたでも硬貨・テレホンカードがなくても緊急通報ダイヤル(110番119番118番)が使えます。

 「災害用伝言ダイヤル」のほか、実はドコモユーザー限定でメールが送れたり、グレーのデザインのものはデータ通信ができたり、フリーWi-Fiを発信している電話ボックスもあったり、知られざる隠れ機能を持つ公衆電話。友人や親子同士でガチャコレクションを手に取り、改めて使い方や重要性を見直す良い機会かもしれない。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事