「シールド固定に腕時計バンドを使う…だと?」『プラモ狂四郎』がモデラーに与えた“ガンプラは自由”の精神
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 今年、40周年を迎えた「ガンダムプラモデル(以下、ガンプラ)」だが、その発展を支えてきたのは創意工夫と自由な発想で技術革新に貢献してきたモデラーたちだ。そこで、これまでORICON NEWSで取り上げたトップモデラーたちを、「ガンプラ40周年記念」として改めてフィーチャー。第2回目となる今回は、1980年代前半のガンプラブームをけん引した『プラモ狂四郎』に登場した「パーフェクトガンダム」(制作:ケイン)と、「武者ガンダム マークII」(制作:市川貴秀)を制作した2人を紹介。今なおガンプラファンの心を掴んで離さない両機体の魅力とは。

【架空MS】これぞ「逆襲のクワトロ」!この百式なら、キュベレとジ・Oを圧倒しそう…⁉ 幻のZガンダム4号機も登場

■狂四郎を叱咤するストリーム・ベースに当時のモデラーたちは励まされた(ケイン)

 ガンプラの傑作漫画『プラモ狂四郎』が模型人生のバイブルと語るケイン氏。狂四郎との出会いについて、「小学生の頃、友達の家で見た『コミックボンボン』で初めて狂四朗に出会いました。テンポの良いストーリーと、ガンプラの裏技的なアイデアが出てくるのですぐに夢中になりました」と振り返った。

 当時、『プラモ狂四郎』はモデラーにとってどんな存在だったのか?

 「今の時代と違って、ガンプラの情報は雑誌や模型店でしか手に入れられませんでした。だから『プラモ狂四郎』はモデラーにとって必須バイブル。プラモデルごっこ遊びの究極というか、まさに理想の漫画でした」

 中でも、狂四郎の愛機的存在として活躍した“パーフェクトガンダム”に、多くのモデラーが魅せられたという。

 「コミックスにはフルスクラッチの『パーフェクトガンダム制作法』が載っていたのですが、流用パーツすら集められずハードルが高すぎて諦めました(笑)。だから、後でキット化された時は本当に嬉しかったですね」

 当時の『プラモ狂四郎』は、小学生読者に向けてフルスクラッチを提案したりとずいぶんと無茶をしていたようだ。しかし、ガンプラに“リアリィ”さを植えつけたMSV(モビルスーツバリエーション)の存在が、さらなるガンプラ熱を呼び込んだとケイン氏は説明する

 「MSVはアニメの設定だけにとらわれない、自由な発想を取り入れた楽しみ方が魅力でした。また、MSVにおいて中心的な役割を担っていたストリーム・ベースは、モデラーにとってまさに雲の上の存在。作中では狂四郎を叱咤激励する師匠的な役割を担っていましたが、その言葉は読者たちに対しても向けられていて、ストリーム・ベースの言葉に刺激を受けたモデラーは多いと思います」

■作例に興味を持ってもらう“汚し”や“塗装”が大事(市川貴秀)

 模型誌のライターとしても活動を続ける市川氏のガンプラ歴は18年ほど。作品作りにおいては「実物を参考にして工作や塗装をする事が多い」と説明。「実物の塗装表現やウェザリングなどを上手く取り入れる事で、現実には実在しないガンダムをリアルな物として認識して見られるのではないか」と、“匠の技術”のバックボーンを語ってくれた。

 この「武者ガンダムマークII」も、ウェザリングや塗装によって実物かのような存在感を感じられる。本作について市川氏は「武者ガンダムのヴィネット(小型のジオラマ)は、自分が頭の中で考えたイメージに一番近い作品に仕上げられました。制作期間は1ヵ月ほどで、ダメージの表現とガンダムが激戦の後にゆらりと歩く姿にこだわりました」と、武者ガンダムへの想いを明かした。

 ジオラマなど情景描写が評価される市川氏に模型制作の秘訣を聞くと、「ぱっと見てわかるストーリーにする」ことが大事だと解説。続けて、「それに加え意外性を持たせる事も心がけています。そうする事で親近感が沸き、意外性でさらに近づいて見てもらえる。より長く作品を見てもらえるための“仕掛け作り”を意識しています」と、第三者視点の重要性にも言及した。

 そして、モデラーに求められる“一番必要な技術”は何かと聞くと、「その質問は難しいですね…」と熟考しつつ、次のように答えてくれた。

「自分は技術に“一番はない”と思っていて、技術は何個でも持っておいた方がいいと思います。ただ、闇雲に技術をたくさん持っていればいいというものでもなくて、大事なのは自分の持つ技術がどれほどのもので、どんな時に使えて、どんな応用が利くのか理解する事。自分の技術を目的に合わせた選択をする事が出来ていたなら、例え少ない技術でもいい作品は出来る、そう考えています」

(C)創通・サンライズ
 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事