松坂桃李、微笑みに隠された得体のしれぬ怖さを熱演 ドラマスペシャル『微笑む人』
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 俳優の松坂桃李(31)が自分に向かって微笑んでくれたら、女性はもちろん、男性だってキュンとしてしまうかも。そんな彼の微笑みがだんだん怖いものに見えてくる、ドラマスペシャル『微笑む人』がテレビ朝日系で3月1日(後9:00)に放送される。

【写真】ドラマスペシャル『微笑む人』場面写真

 同ドラマで松坂が演じるのは、「本の置き場所が欲しかった」という理由だけで妻子を殺害したと供述するエリート銀行員・仁藤俊美(にとう・としみ)。常に柔らかな微笑みをたたえ、誰もが認める“いい人”だった彼の過去に隠された事実が、次々と明らかになっていく衝撃のミステリー。貫井徳郎氏の同名小説を、秦建日子氏がオリジナルキャラクター、ドラマ独自の結末を加えて脚色した。

 微笑みに隠された得体のしれぬ怖さを出すために松坂が撮影で心がけたのは、「フラット」でいること。「仁藤を妻子殺しのサイコパスとして演じるのは違うかなと思ったんですよね。仁藤にとっては、目の前にゴミが落ちていたから片付けた、本の置き場所がほしかったから妻子にいなくなってもらった、それ以上でもそれ以下でもないんですよね、きっと。だから、どの局面、どんな場面においてもフラットでいようと心がけていました。作品の全編を通して感情の揺れ動きやテンションが一定、という今回のような役柄は初めてだったかもしれません。」

 法廷で仁藤が語った「本の置き場所が欲しかった」という動機に納得できないのが、大方の人情だろう。ドラマオリジナルキャラクターとして登場する、週刊誌の契約記者・鴨井晶(尾野真千子)もその一人だ。仁藤とは、娘同士が同じ幼稚園に通っていたため、以前から面識があり、妻子を大切にしている、誰もが認める“いい人”という先入観もあり、事件の真相を究明しようと動き始める。すると、次第に自分が知っていた仁藤と、関係者から聞く仁藤の人物像に乖離(かいり)が生まれ始め、複雑な感情を抱くようになる。

 「自分がわかる範囲だけで“わかった気”になってしまいがちだけど、人間は多面的で、見えていない部分がたくさんあって、それをにわかには受け入れられないってこともあると思うんですよね。自分もおそらく他者から抱かれている印象と、そのとおりの部分もあるだろうけど、それだけではないということ。自分のものさしだけで“わかった気”にならないように、印象だけにとらわれずにいろんな考え方を持つ必要があるな、と改めて思いました。」

 尾野とは、『この世界の片隅に』(2018年、TBS)以来、2度目の共演。前作での姉弟役から一転、殺人事件の被告人と彼を追う週刊誌記者という立場で相対することになり、「主に接見室での掛け合いだったのですが、長回しで撮っていたこともあって、緊張感があって楽しかったですね。こういう緊張感もたまにはいいよね、という感覚を共有できた気がします。こういう形で共演できてうれしかったです。」

 最近の松坂は、映画『孤狼の血』では暴力犯捜査係の若き刑事、『娼年』では会員制ボーイズクラブの娼夫、『新聞記者』では苦悩する内閣情報調査室の官僚、大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』では、主人公の田畑政治(阿部サダヲ)の“懐刀”として1964年東京オリンピック開催に大きく貢献した岩田幸彰を1年にわたって好演した。

 俳優デビューから10年が経ち、「経験を積み重ねたからこそ、チャレンジできる作品もあるんじゃないかと思う。『微笑む人』も5年前にオファーを受けていたら、迷っていたかもしれないですね。その時の自分では抱えきれなかったかもしれないです。めぐり合わせ、ご縁というものがある気がします。この『微笑む人』を『受け入れられない』と思う視聴者の方もいるかも。でも、最終的に自分がどういう感情になるか、楽しんでもらえたら。それがこの作品のある種のエンターテインメント性なんじゃないかと思っています。」

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