ゆきぽよ、“優しさと気遣い”でギャル界をけん引 毒舌封印した「ギャルタレント」の新潮流
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「ギャルタレント」としても活躍するモデル「ゆきぽよ」こと木村有希のブレイクが続いている。バラエティ番組では全開のギャルトークを披露しつつも、人を傷つけない内容で場を盛り上げる。芸人への突っ込みにも毒気はなく、時には共演者への心優しい気づかいもうかがえる。芸人顔負けのトークで笑いを誘い、実はロケも1人でこなす実力の持ち主。「ギャルタレント=毒舌」というイメージを抱きがちだが、決してそうではないというギャップがファンを増やしているようだ。

◆記憶喪失の女性に親身に寄り添ったゆきぽよ、心温まる動向はシリアスな番組を和ませる効果も

 ゆきぽよは、2019年に前年130本増となる159本のテレビ番組に出演(ニホンモニター調べ)。今年はさらにその勢いを増している印象で、毎日観ない日はないと言っていいほど露出を増やしている。モデルにとどまらない「ギャルタレント」として活躍するなかで、最近では数々の出演番組を観た視聴者から、SNS等で「なんか好きになった」「優しい」など、好印象が寄せられている。

【写真】ぷるんとまあるい美ヒップを披露したゆきぽよの写真集カット(全8枚)

 とくに好印象が感じられたと話題を集めたシーンが、1月27日に放送された『緊急!公開大捜索'20春』(TBS系)だった。記憶喪失で自分の身元が分からないという岡山花子さんとともにロケに繰り出し、その後スタジオのシーンへ。ゆきぽよは、不安な面持ちの岡山さんの顔を心配そうにのぞき込みながら、背中をさすったり手を握ったりして励ましていた。その姿にTwitterでは、「ゆきぽよちゃん優しい… 花子さんの背中ずっとさすってあげてた」、「記憶喪失の人への口調が優しくて話しやすそう。好感が持てる」、「まじで良い人だなあ…」といった声が相次いだ。

 番組の内容がシリアスなため、どんな発言をするか想像もつかないギャルタレントをゲストに起用することは、これまで少なかっただろう。しかし、ゆきぽよはそんな不安を感じさせない心温まる行動とコメントで、視聴者に安心感を与えていた。番組は悲壮感漂うことなく、希望を感じさせる内容に映ったことだろう。シリアスな番組を和ませるという重要な役割を、ゆきぽよが担ったともいえる。新しい化学反応が垣間見えた放送でもあった。

 ほかにも好印象の声は多数見受けられている。2月10日放送『有吉ゼミ』(日本テレビ系)2時間SPでは、妹・ゆみちをギャル化したいとコメント。その理由が、いじめられていた妹に「ギャルになるとポジティブになれるし、友だちも増えるから」と話し、「優しい」「家族思い」、「なんか好きになっちゃったよ」など、好印象のコメントが続出していた。

 ゆきぽよは、2012年に15歳で『egg』の読者モデルとして活躍。その後は、動画配信サービス「Vine」でのブレイクから“カリスマ動画クイーン”として話題を集め、2017年に恋愛リアリティ番組『バチェラー・ジャパン シーズン1』(Amazon Prime Video)に出演。東大卒のイケメン男性を25人の女性が奪い合う内容で、ゆきぽよは番組の好感度ランキング1位を獲得していた。さらに米国版「The Bachelor Winter Games(バチェラー・ウィンターゲームス)」や、「The New York Times」といったアメリカのメディアでも取り上げられ、CM出演も果たすなど海外でも魅力を炸裂させた。

 そのバチェラーシリーズの会見でゆきぽよは、「女の悪口には参加しなかった」とコメントしている。出演するバラエティ番組を見ていても、基本的に人を傷つける言葉は使わず、肯定的なコメントで場を盛り上げることに長けている。見た目は派手だが、毒舌さを感じさせない健全な姿に、視聴者は安心感を抱いているようだ。

◆傷つけない笑いが“ギャルタレント”枠にも影響 「毒舌キャラ」の衰退

 そもそも「ギャルタレント」といえば、派手な見た目と「破天荒」なキャラクターで毒舌。思ったことをズケズケと言ってのけ、大御所タレントにもひるむことのないトークで楽しませるというイメージだったはず。そのキャラクター性はいつの時代も大きく変わることがなく、時代の流れに沿ってこれまでに数々のギャルタレントが活躍してきた。

 そんな中、ゆきぽよの「ギャルタレント」ぶりは一味違う。見た目は派手で、破天荒に見えるかもしれないが、言動は堅実で礼儀とまじめさが垣間見える。限られた人物が活躍できる芸能界での「ギャル枠」において、ゆきぽよの毒気のない存在は、これまでの流れとは異なるように見受けられる。

「毒気のなさ」といえば、お笑い界で人気を集める漫才コンビの「ぺこぱ」である。去年の「M-1グランプリ」で優勝を競った彼らの漫才は、「ノリ突っ込まないボケ」という新しいスタイルだ。一般的にツッコミ役といえば、強い言葉でボケを否定するスタイルだが、ぺこぱの場合、シュウペイのボケに対して、キザなキャラクターの松陰寺太勇がポジティブな言葉でボケを全肯定する。

 M-1優勝を逃したものの、今年になっても多くの番組から声がかかるのは、漫才の斬新さだけでなく、その優しさが求められているからだろう。ゆきぽよとぺこぱ、スタイルは違えど「優しさ」という点で共通点がある。

 なぜ、いま改めて優しさが求められるのだろうか。「2020年ネクストブレイクランキング~芸人編~」(デビュー調べ)3位にランクインしたぺこぱの印象について、視聴者からのコメントをみると、否定ばかりの殺伐とした日本社会に優しさを見た」(大阪/40代/男性)、「あの優しいツッコミ思考広まってほしい。子どもたちは参考にして育ってほしい。優しい世界にしていこう」(大分/30代/女性)など、寛容さを失った社会に疲れ切った人々の様子が垣間見える。同じくゆきぽよに対しても、分け隔てなく気遣いをみせながら優しさと愛嬌を振りまく姿に、視聴者はホッと一安心するのかもしれない。

◆「ギャルであることは誇り」、自分をまるごと肯定するポジティブな姿勢にも共感

 もちろん、ゆきぽよはギャルとしての存在感も、しっかりとアピールしている。インスタグラムのフォロワー数は54万人を超えており、YouTubeの『ちっぽよTV!』チャンネルは26万人超え(2/27現在)。どちらもモデルとしての美しさやファッションセンスなどを投稿し、煌びやかなギャルの日常を印象付けている。

 また、たびたび「一生ギャル宣言」を口にしており、インタビューでは「ギャルは自分の意志がしっかりしていて、ブレないのがいちばん大事」、「ゆきは『一生ギャル宣言』してますから!おばあちゃんになってもギャルやってると思います。メイクが薄くても、白ギャルでも、大事なのは中見。ギャルって、武士道みたいに精神が大事なものなんです」とも話している。一方で、いじめ被害にあったことなども包み隠さず語っている。

 最近の注目タレントの傾向を見ると、「俺か、俺以外か」のROLANDや「僕イケメン」発言の吉沢亮など、強烈な自己肯定をする芸能人が人気を呼んでいる。ゆきぽよも、方向こそ違えども、自分が来た道を否定しない潔さが共通している。しっかりと自分と向き合い、どんな過去があっても自分も丸ごと肯定する。豊富な経験とポジティブな姿勢が、多くの共感を得ているのだろう。

◆ロケを1人でまわして場を盛り上げる、「タレント」としてのテクニックも披露

 実はタレントとしての評価も高いゆきぽよ。1月31日放送の『沸騰ワード10』(日本テレビ系)では、ドン・キホーテをはしごするほどのマニアぶりが紹介された際、店内のお宝を探索しながら自身のドンキにまつわる面白エピソード披露。ロケであるにもかかわらず、たった1人でトークをまわしながら場を盛り上げており、十分見ごたえのある内容だった。

 芸人からの評価も高い。昨年10月29日放送の『相席食堂』(朝日放送系)のロケでは、熊本県・阿蘇市を訪れ「初めての1人ロケ」に挑戦。その働きぶりを、スタジオの千鳥の2人は大絶賛し、ノブはわざとらしくないとして「俺、ゆきぽよのロケが大好きかもしれんわ、なんか上手ない?」と評し、大悟も「上手い上手い!」、「賢いねんな、ゆきぽよは! ちゃんと要所要所、大事なところはきれいに敬語使ってるもん」などと、コミュニケーション能力の高さに感心していた。

 ため口と敬語をうまく使い分けて親近感を抱かせ、相手の心をつかむ。さらに空気を読みながらロケをこなす姿は、もはやギャルタレントの枠を超えた力量を感じさせる内容だった。会話のテンポが良くて、飾らない。自己エピソードが豊富で何より明るい。タレントとしても、多くの世代から好かれる要素を十分兼ね備えているのだ。

 ギャルという要素だけでなく、タレントとして起用に立ち振る舞うゆきぽよ。これまでの「ギャルタレント」の流れに変化がうかがえるなかで見せるその存在感に、今後も目が離せない。

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