「パフォーマンス育休」「休校で困るのはママだけ?」働くパパたちが“男性の育休”を本気で考えてみた
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 小泉進次郎環境相が取得したことで注目された、男性の育児休業。日本の現職閣僚の育休取得は初として、大きく取り上げられたことは記憶に新しい。最近では新型コロナウイルスの感染防止策における臨時休校の要請、保育園の登園自粛のお願いなどにより、あらためて子育ての難しさや問題点に直面したという人も。実際に働く父親たちは、男性の育児休業をどのようにとらえているのか。仕事と育児の両立を目指す父親が集まるNPO法人スーパーダディ協会のメンバーに、その実情を語ってもらった。

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■「育休が終わったら何もしない」男性の育休に不満を持つママの話を思い出した

 NPO法人スーパーダディ協会(以下、SDA)の代表を務める高橋一晃氏は、小泉進次郎氏の育休取得により“数日間の育休取得”に注目が集まったことで、“パフォーマンス育休”が世の中に増えてしまうのではという危惧があったという。

「パフォーマンスと言われても、期間が短くても、小泉さんが『育休を取る』と言ってくれたことには意味があった。SDAのパパたちの間ではそんな意見が多かったですね。ただ、“〇日分の育休をとった”、“××して過ごした”という報告はどうでもいい。それより、今後も家事育児を続けている姿を私たちに見せ続けてほしいと。本番は、“育休が終わってから”ですからね。育休の正しい過ごし方をアドバイスをしたいくらい(笑)」

 小泉環境相の育休宣言のニュースをきっかけに、高橋氏は「仕事でつながりのある夫婦共働きのあるママの言葉を思い出した」という。

『少し育休をとっただけで、育児をしているとは思わないでほしい。せめて子どもが中学に通うまで、毎日毎日少しでもいいから一緒に育ててほしい。育休取っている最中はよく面倒見てくれたけど、育休終わったら何もしないし。この前なんてあまりに育児してくれないので、少し文句言ったら、去年育休取ったじゃん…と開き直ってたのよ。これはもはや、育休トルトル詐欺ですよ』

「そう熱く話していたママがいたなと。私は育休を取得せず、フレックスタイム制で仕事も家事も育児もしてきました。育休は取らなくても『子育て中心の生活にするという決意』さえしていれば、意識も生活スタイルも変わるというのが持論。そんな自分の経験をSDAのメンバーに共有したら、反論の声が多数あがって。SDAは家事や育児にアクティブで前向きな父親たちの集まりですが、意見交換をするなかで、“育休”に関しては自分も含めて数多くの考え方があることが分かった。“お父さん目線”で議論を重ねていかねばならないと感じました」

 SDAは2月某日に、メンバーを集めて“育休ミーティング”を実施。働く業界も立場も異なる父親たちが集まり、多種多様な意見を寄せあった。その一部を抜粋して紹介する。

◇戻ってきたときに、ポジション残されてる?
 僕には5歳の息子がいます。育休は取らず、フレックス制を利用しました。育休を取ることも考えましたが、「復職したとき、自分のポジションが残されているの?」と考えてしまって。そういう不安を抱えながら過ごすのは、ストレスでしかなかった。フレックス制であれば、園に子どもを送ってから出社しても間に合う。朝5時半に子どもと起きて、9時ぐらいまで子どもに体操を教えたり、早く帰れば風呂も入れてご飯も食べさせたり。それが日常。下手したら育休を取っている人より、子どもと触れ合う時間は長いのかも。(40代/広告会社勤務) 

◇育休の期間がなければ、“妻と同じスタンス”には立てなかった
 4歳と1歳の子どもがいます。2人目のときに2ヵ月間育休を取りました。退院してすぐに妻が仕事復帰、同時に私が育休に入る形です。育休をとって、妻と完全に同じスタンスに立てたことはよかった。取らなかったら、そこまで到達できなかった。本来なら、男性も女性と同じ期間取得を目指すべき。その期間を夫婦でどうミニマイズして、キャリアにつなげていくか、考えていくべきだと思いました。(30代/総合商社勤務)

◇経営者側が変えていかねばならない
4歳の娘がいます。妻はフルタイムで働いていて、昨今の影響でリモートワーク中。ずっと自宅で働いている。この経験を経て思ったのは、今後はリモートワークが中心になっていくし、みんな育休を取る方向性には向いていくんだろうなと。僕自身も会社を経営していますが、「自分の仕事がなくなるのでは」という心配や不安は経営者側が変えていかなければならないこと。会社が変わっていかなければならない。(40代/人材派遣会社経営) 

◇組織は柔軟に対応できない側面も
 従業員100名程度の中小企業で働いています。7歳と4歳の子どもがいますが、育休は今まで取れていません。夫婦共働きですが、私の出社時刻が遅めなので、家事育児の前半を私が、後半を妻が担ってなんとか家を成り立たせている。小さい会社であればあるほど、その人がいなくなったらどうしよう…というのが会社人としての正直な気持ち。もし部下に育休の相談をされたら、なんと答えればいいのか。流れに対応できない会社は、淘汰されていくのか。(40代/会社員) 

◇保障のない個人事業者は働かないと収入0に
 フリーランスで働いています。高校一年生の子どもがいます。育休は正直とれる状況じゃなかった。自由が利くぶん、時間をやりくりしながら育児をしてきた。大きい会社には補助金が出るけど、僕たちのような個人事業者は働けなくなったら収入も0に。保障はありません。企業が積極的に育休を推進しない限り、変わらない。企業こそ、責任を持って取り組んでほしい。(50代/フリーランス)

 「同じスローガンを掲げて共に活動してきたメンバーでも、ここまで多様な意見があるのかと正直驚いた」と高橋氏。

「小泉氏の宣言がきっかけとなりメンバーたちと意見交換をしましたが、今後も引き続き話していくべき議題だと感じました。私たちは意志をもって活動しています。でも、世間では育休を取るだけの“パフォーマンス育休”が増えているという声も。育休を取得した男性の妻に『夫(パートナー)の家事および育児時間は1日あたりどれだけでしたか?』と聞いてみると、約3割が『2時間以下』と回答したという調査(※)もあるんです。メンバーみんなで驚きました」

 つまり「育休を取得した男性の約3人に1人が、1日あたりの家事育児時間が2時間以下」という結果も残されているということだ。

 これに対しSDAのメンバーからは「妻側の不満が上がっていくだけの育休なら、取っても本末転倒」「感覚的に2時間しかやっていないと思われていることが衝撃」「事前に練習してスキルを習得していれば、そういう結果にならないのでは」との意見が。

 例えば、父親がオムツ替えを5分程度で済ませて、その後ずっと子どもを見ていたとする。父親からすると、オムツ替えをした後もずっと子どものそばに付いて、“面倒を見ていた”。でも妻からすると、父親が育児をしたのはオムツ替えの“5分”。そばにいても携帯に夢中だったりして、“ダラダラしているように見える”ということかもしれない。

「そういう積み重ねが、データとして結果に出ているんじゃないかという指摘もありました。育休を推進することはもちろんですが、大切なのはその質をどう高めていくかです。今後はその方法についても意見交換して、共有していけたらと思っています。また、『パパの本音研究所 スーパーダディ総研』を発足したSDAでは今後も子育てや育児にまつわる様々なテーマに関する情報発信を行っていきます。」

※出典:「パパ・ママの育児への向き合い方と負担感や孤立感についての調査」【「変えよう、ママりと」×日本財団調べ】(2019年10月実施)

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