宮迫とのコラボから見るYouTuberヒカルの立ち位置、 炎上イメージがいつのまにか“火消人”に
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 先月、「大スター宮迫にサイゼ奢ってみた」なるYouTube動画が投稿され、再生回数が347万回を突破している。宮迫とはもちろん雨上がり決死隊・宮迫博之であり、1月に公式YouTuberデビューしたのは周知の通りだが、この動画は炎上系YouTuberの第一人者ともいえるヒカルとのコラボ企画。コメント欄には「YouTuberと芸能人の差を見せつけられてる」など宮迫を再評価する声もあれば、「こういう状況だからこそ、宮迫はイジられることで助かる」とヒカルを称賛する声も上がっている。昨年の闇営業問題からどん底に突き落とされた宮迫が、同じくVALU株売り抜け問題で大炎上→謹慎から這い上がってきたヒカルに救われているような構図に。いつのまにかヒカルは芸能人YouTuberの“炎上火消し人”としても機能しているようだ。

【写真】ヒカルの”元カノ”として動画に登場、YouTuberてんちむの”オンオフ”ビフォーアフター

■「大スター宮迫に○○してみた」で容赦ないイジりも、その火消具合に反響

 1月29日にチャンネル『宮迫ですッ!』を開設してYouTuberデビューした宮迫だが、数ある投稿動画の中で「宮迫のよさが出ている」と評価が高いのは、YouTuberヒカルとのコラボ企画。1月30日に投稿された最初のコラボ「【独占告白】宮迫さんに闇営業の件について直接聞いてみた」は、511万回を超える再生数を記録(2020年3月24日時点)。ちなみに同日は自身のチャンネルでも「YouTuberのヒカルさんと初コラボしました」)として、ヒカルとコラボしている。

 ヒカルはYouTuberとして先陣切って宮迫とコラボした形だが、「大スター宮迫にサイゼ奢ってみた」動画では、「サイゼリヤに行ったことがない」という宮迫に「どうせ叙々苑ばかり行ってるんでしょ」と突っ込みながら、「ミラノ風ドリア」「マルゲリータピザ」「辛味チキン」などサイゼリヤの定番メニューを勧め、それを宮迫が「うまっ!」と感動しながら食べる…という展開で進む。宮迫はかつての軽妙なトークを見せて“健在ぶり”をアピールする一方、ヒカルは「全然オーラないけど(目の下の)クマはあるっす。クマがシックスパック」などと容赦なく宮迫をイジるが、宮迫も笑顔で受け入れている。

 この「大スター宮迫に○○してみた」シリーズは、他にも「薬物検査してみた」「ラーメン奢ってみた」などがあり、「ヒカルの宮迫さんのいじり方がいい」「普段の動画よりも宮迫が生き生きしている」といった称賛から、「こんな宮迫さん見るのが悲しい」とのコメントまで賛否両論あがったが、おおむね「宮迫がヒカルに助けられている」という見方が多いようだ。

 ここまで宮迫をある意味“手玉に取る”ヒカルとはどういう人物か。金髪と黒髪のツートンがトレードマークで、「1台の自動販売機をすべて売り切れにするにはいくらかかるか」といった、いわゆる「やってみた」系の過激な動画投稿で一躍人気YouTuberになる。中でもその名を轟かせたのは、「祭りのくじ全部引いて当たりがあるか調べる」的な動画で、多額のお金をつぎ込んでくじを全部引くが、結局PS4などの1等賞品は当たらないという、いわば“告発”系の動画。その姿はかつての『進め!電波少年』(日本テレビ系)を思わせるノリもあり、視聴者側をドキドキさせる。言ってみれば、「規制が厳しいテレビではできなくなった過激なネタをYouTuberがやっている」という図式を体現しているような人物なのである。

 ただ2017年、自身の仮想株式(VA)の売買に関するVALU騒動で活動を自粛するなど問題も多く、炎上することもしばしば。しかしそれすらも自身の“ネタ”にするメンタルの強さがあり、そのつど見事に復活、現在では378万人のチャンネル登録者数を誇るカリスマなのだ。

■誰もが「芸能人に淘汰されると思っていた」純正YouTuberが起こした変革

 実際、今やYouTuberはかつての「芸能人=プロ、YouTuber=素人」「YouTuberはいずれ消える」といった“偏見”は消え去り、女性だと本田翼、川口春奈、ローラ、辻希美、柏木由紀、押切もえ、男性だと江頭2:50、EXIT、霜降り明星、東野幸治、かまいたち、GACKT、ダルビッシュ有などなど、有名人のYouTubeへの流入(流出?)が止まらない状況だ。

 特に芸人の流入が顕著だが、その芸人たちの発言で目立つのが“ヒカルリスペクト”の声。たとえば、カジサックチャンネルに出演した陣内智則は「ヒカルくん紹介して」、霜降り明星・粗品は「ヒカルを尊敬している」、東野幸治は「俺たちの世界が芸能界Aだとしたら、芸能界Bってこんな感じなんや。ヒカルさんこわい」等々、それぞれのチャンネルでヒカルの名に言及。宮迫とのコラボ企画の影響が大きいとは思うが、芸能界の第一戦で華々しく活躍する芸人たちが、こぞってヒカルの一挙手一投足に注目するなど、芸能人>YouTuberであったはずのひと時代前では考えられない奇妙な“逆転現象”が生まれているようなのだ。

 ヒカルはなぜ、ここまでのし上がれたのか。繰り返しになるが、芸能人がYouTubeに進出したあかつきにはYouTuberは淘汰されるものと言われてきたし、逆にYouTuberがテレビに進出しても通用せずに消えていく…というのが大方の見方だったのだ。たしかにその傾向も否定できないが、ヒカルのように勢いを増しているYouTuberがいるのも事実。また、YouTubeに参入する芸能人にしても「上から」目線では失敗しているし、芸能人でもYouTubeでは淘汰されているのが現実だ。

 今では芸能人もYouTuberと同じ立ち位置でYouTubeデビューし、そのきっかけとして専業YouTuberとコラボするのが“必須事項”になってきたともいえる。実際、芸人YouTuberの第一人者ともいえるカジサックや、YouTuber活動へと完全にシフトしたように見える中田敦彦などは、ヒカルとの共演がさらなる飛躍につながったという一面もあるし、むしろヒカルは彼らにYouTuberの心得を“伝授”しているかのようにも見える。

■自粛ムードもなんのその「独自の世界観で夢を見させてくれる」強みがある

 ヒカル最大の特徴といえば、テロップがないと追いきれないほどの“高速トーク”。自身の動画でも、「YouTuber生き残り一番のカギはトーク力」と発言しており、宮迫とのコラボでも、別の動画でヒカルが「宮迫」と呼び捨てにしたことに対し、宮迫が「腹立つ」と笑顔で突っ込むも「まあ、打ち合わせでは“サコ”って呼んでますけど」と平然と返し、宮迫がタジタジになる場面も。

 今やキレキレトークを取り戻した宮迫を相手に、40分の対談動画でしゃべりまくるヒカルの姿は圧巻でさえあり、レスポンス能力も高い。反面、決して圧倒するだけではなく、しっかりと宮迫の持ち味を引き出しているところを見ると、芸能人にとってヒカルは最良のコラボ相手かもしれず、お互いにウインウイン関係にあるといえるようだ。

 そんなヒカルだが、宮迫とのコラボ動画と同時進行で、先月は「1カ月3000万円生活」企画を敢行し、ハワイに到着した瞬間に帰国したり、ボートレースで2000万も賭けるなどハチャメチャぶりを披露。自称“金持ちYouTuber”の通り、レペゼン地球、てんちむ、エミリン、ヘラヘラ三銃士など若手の勢いあるYouTuberとも積極的にコラボし、気持ちがいいほどにお金をつかう動画が連日放送される1ヵ月だった。この様子は様々なネットニュースで取り上げられ、当然のように賛否両論が巻き起こったが、“賛”のほうでは“大御所”の声もあったのだ。

 芸術家の村上隆は自身のInstagramで、「ヒカル、ラファエル、レペゼン、ヘラヘラ、てんちむ、えみりん…とYouTube見まくってとまらない。とくに2月のヒカルの番組は『水曜どうでしょう』にはじめてハマった時のような、一緒に彼の人生と旅する感覚で感動している。出来の良いNetflixを凌駕する凄みがある。新型コロナの自粛ムードのど真ん中で、そういう沈滞ネガティブなムード的な映像、言及、説明、一切なく、通常な健康モードの世の中の動きを切り取る形で展開しており、徹底した独自の世界観をキープ。現実なのにファンタジックで本当にすばらしい」と大絶賛。今や、18時ごろから凄まじい頻度で投稿されていく“ヒカル一派”の動画を順々に見ていくことが、現在のYouTubeを楽しむ流行のスタイルともなっているようなのだ。

 宮迫をはじめ、多くの芸人とコラボをしても引けを取らないどころか、芸人以上にも輝いて見せるYouTuberヒカル。純正のYouTuberとしてのプライドを守り、その実力を見せつけながらも、同時にコラボ相手の芸人も輝かせる懐の深さを持つ。今後さらなる進化を遂げるだろう「芸能人×YouTuber」業界では、ヒカルは間違いなく希望の光となるだろし、ひょっとしたら今後の日本のエンタメ界のキーマンとなるのかもしれない。

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