このアッガイのエンブレムはデカール? それとも手描き?「伝統技法“手描きマーキング”の技を絶やしたくない」
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 ガンプラ40周年の歴史を紡いできたモデラーたちは、失敗と成功、技術の研鑽を積みながら様々なガンプラ技法を生み出してきた。その中のひとつ「手書きマーキング」の技法を絶やしたくないと語るKitakunさん(@kitakun_modeler)。そこには、先輩モデラーたちへの敬意と、自身の技術研究への思いがあった。

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■手描きだと気づかれないマーキング…、自分で「驚きの押し売り」をした

――Kitakunさんの代表作『MSM-04 アッガイ』についてお聞きします。1/100旧キットを使用し、デカールは不使用、すべてのコーションマークやナンバー、エンブレムを手描きされています。制作で苦労した点は?

【Kitakun】全身にちりばめたマークの手描きに時間がかかりました。ジオンエンブレムなどは一個描くのに30分はかかります。ついつい時間を忘れて制作に没頭してしまうので、どちらかというと日常生活の方に影響が出ます。

――では、デカールやエンブレムを手描きにするようになったキッカケは?

【Kitakun】筆でボディを塗っている途中、デカールやエンブレムも「そのまま描いちゃえ」と横着して(笑)。にもかかわらず、「なんだか味があるね~」と言われたことがキッカケです。その後、空気遠近法(遠くにあるものほど輪郭線が不明瞭になり霞む、という大気が持つ性質を利用した空間表現法)というものを知り、「手描きのなんだかぼやっとした感じが巨大感を演出してるんだよ」とエラそうに吹いてまわるようになりました。

――その筆塗りはどうやって学びましたか?

【Kitakun】模型誌を読んだりもしましたが、独学で試行錯誤を重ねながらほとんどフィーリングでここまでたどり着きました。自分はあまり深く考えずに気楽に塗って、自画自賛しながら登っていくタイプです。まだまだ道半ばなのですが、できればてっぺんまで行きたいですね。

――本作の反響はいかがでしたか?

【Kitakun】まず手描きマーキングに驚かれました。が、展示会場では自分で“そのことを”アピールしないと手描きであることに気付いてもらえないので、驚きを押し売りしてしまいました(笑)。結果、急接近からゼロ距離鑑賞に…中にはルーペを使う方もいたり。直接見ていただけた方とは楽しくお話しもできて、とても嬉しかったです。

■ガンプラ技術の発展は「偶然」にあり?

――アッガイ以外でどんな筆塗り作品がありますか?

【Kitakun】1/100ゴッグもお気に入りの作品です。この二体のゴッグは、写真右はデカールを使用して作ったもの。写真左は後に“打倒デカール”を掲げ極限まで手描きの精度を求めて作ったレプリカです。とある展示会で、はりきってデカールと手描きの違いを見てもらおうと二体を並べて展示したのですが、「どっちがどっちかわからない」と苦情が殺到しました。ちょっとやりすぎました。

――では、ガンプラ制作で一番得意とする技術は「手書きマーキング」?

【Kitakun】そうです!と言いたいところですが、実はラッカー塗料による褪色表現です。手描きマーキング自体は古からの伝統技法で、デカールが登場する前は皆さんやっておられたと聞きます。僕はその「伝統技法を絶やしたくない」と思い、手描き技術を磨いているところがあります。

――「手書きマーキング」は先輩モデラーたちが培ってきた技術を継承したと。

【Kitakun】はい。なので、自分で研究して作り上げたと自負できる技が、ラッカー塗料筆塗りによる特殊なグラデーション塗装法です。これはあえて下地を溶かして塗面で色を混ぜる方法で、褪色や汚れの表現に応用しています。とても地味な部分なのですが。

――ラッカー塗料筆塗りの技術習得で苦労したポイントは?

【Kitakun】実はある時偶然できた技なので、狙ってできるようになるまで時間がかかりました。どんなことでもそうですが、楽しく練習あるのみですね。

――次はどんなガンプラに挑戦する予定ですか?

【Kitakun】まだ作ったことのない1/60スケールに挑戦してみたいなと思っています。とにかく魅力的なキットがたくさんあるので、バンダイさんに感謝しつつ、これからも楽しんでガンプラ作りを続けたいと思っています。

(C)創通・サンライズ

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