「1億6千万円の女」小岩井ことりの成功術、コロナ影響受ける声優が資金調達できたワケ
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 声優の小岩井ことりが、自身が開発に携わるイヤホンのクラウドファンディングで、実に1億6千万円を超える支援を集めた。声優といえば、現在はコロナ禍によって仕事が激減。アニメ界からも厳しい話題ばかりが上がってくるが、彼女の場合、本業とは別の得意分野で注目を浴びることに。「1億6千万円の女」小岩井ことりの成功術とは?

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■「需要がないのでは?」不安の声を跳ね返し、1億6千万円の支援集める

 小岩井ことりは、アニメ『じょしらく』や『七つの大罪』などでも活躍する人気声優の一人。もともとオーディオ機器に造詣が深く、それを生かした番組等にも出演している。そんな彼女に、PC周辺機器メーカー『オウルテック』から「コラボ商品企画をやりたい」との声がかかった。だが小岩井は「私が関わることで、本来の製品や性能の価格より割高になってしまうのでは?」と、オーディオ好きだからこその危惧を抱く。そこで、コラボではなく、開発チームのリーダーとして関わることとなった。開発中のイヤホン『KPro01』とは、「防水性も備えた完全ワイヤレスだが、音ゲーや動画視聴の際には有線にもなる」というコンセプト。開発に多大な資金がかかるため、クラウドファンディングに踏み切ったという。

――クラウドファンディングを実施した経緯を教えてください。

【小岩井ことり】これまでになかなかない新しいイヤホンなので、開発費がすごくかかってしまうため、クラウドファンディングという形を取りました。とはいえ、このコンセプトにどれくらい需要があるかわからなくて。周りの皆さんに聞いてみても「絶対に売れる!」と言ってくれる方もいましたが、「需要がないから同じような商品がないのではないか」という意見も多かったですね。当初、「目標金額の300万円も集まらないんじゃないか…」という声も多かったので、まさかの1億6千万円超えという結果に驚いております。

――当初は不安もあった?

【小岩井ことり】めちゃくちゃ不安でした! 初めてのことですし、集まらなかったら制作できない、というプロジェクトだったので。でも今はネット上で、「1億6千万円の女」という謎のキャッチコピーを付けて頂いているようで…(笑)。

――すごいキャッチができましたね。

【小岩井ことり】大変面白くて有難いキャッチコピーではあるのですが、このプロジェクトはチームで成し遂げたものだと思います。

――チームへの思いとは?

【小岩井ことり】ご支援下さった皆さん一人一人がたくさんの方々に知らせてくださり、応援してくれたからこその結果ですし、オウルテックの皆さんも一生懸命がんばってくださっています。そして、システム音を担当してくださることになった平山笑美さん・桐谷蝶々さん・郁原ゆうさん・渡部恵子さん・大関英里さんの5人の素晴らしい声優さん、またそのファンの皆さんも。全員あわせて1億6千万円のチームだと思います。ご支援にお応えできるイヤホンになるよう、この後も開発をがんばって参ります。

――これほどの支援を集めた理由は何だと思いますか?

【小岩井ことり】まず一番に、「自分が欲しい物」を追求しました。そのため、オウルテックさんをはじめ、各メーカーさんにはだいぶご無理をお願いしております…(笑)。さらにオウルテックさんは、私が担当できない分、皆さんの疑問や質問に丁寧に答えてくださって。そういった関係性を作れた結果、皆さんが口コミでも広めて下さったので、そのおかげかなと思います。皆さんのお力ですね。

■コロナで影響受ける声優界、「本業の一部」の技術が今求められた

――コロナ禍で、アニメ業界にも多大な影響が及んでいるかと思いますが、小岩井さんが声優として感じる影響は?

【小岩井ことり】お答えしている今現在の話ではあるのですが、私の周りでも収録や配信などはリモートですね。ラジオのような個人収録は、自分で録音するということ以外そんなに変わらないのですが、複数人で顔を合わせ、息を合わせた掛け合いでのお芝居は現状なかなかできないので、それは悲しいです。ファンの皆さんと一緒に楽しむイベントも今のところすべて中止で、仕方がないこととわかってはいてもとても悲しいです。

――そんな現状だからこそ、本業以外に得意なことを持つ強みを感じますか?

【小岩井ことり】私の中では、本業である声優の仕事の一部として日頃から行ってきたことなんです。たまたまその技術が今、求められる機会が多くなっているだけなのかなと思っています。先日出した写真集も、自分で撮影した写真を納品するスタイルだったり、自宅で音声を録音、動画編集をするなど、自分でやると制作費を抑えられるからやってきたことなので。強みというか、自分にとっては自然なことですね。普段から、本業である声優が一番大切であるのはもちろん、本業をサポートできる技術を持っていると便利だなとは感じています。

――声優業にメリットになることも?

【小岩井ことり】そもそも、声優の勉強のために音関係の機材やオーディオ機器を集め出したのが詳しくなったきっかけなんです。なので、メリットは音をデータとして確認することができる点ですかね。声優を始めた当初は、どう勉強していいかもわからなかったので、スペクトラムアナライザ(測定機器)を見ながら、自分の声の研究などをしました。そのように、自分には理解しやすい勉強方法をとれるのはメリットだと思います。

――なるほど。

【小岩井ことり】あと、私は現場の皆さんと世間話をしたくても、話題が出てこなくて詰まってしまうことが多いのですが、機材の話を通してなら、エンジニアさんなどスタッフさんとも円滑にコミュニケーションが取れて楽しいです。デメリットは、部屋が機材でいっぱいで片付かないことですね…(笑)。

――両立することの面白さ、大変さとは?

【小岩井ことり】個人的にとても嬉しくて面白いのは、自分が演じているキャラクターのキャラソンを作らせて頂けたことですね。キャラクターによっては何年も演じさせて頂くこともあり、ファンの皆さんとそのキャラクターが一緒に積み重ねてきた想いを感じることが多いんです。制作する時は、そういった想いを込めたいと考えています。大変なのは、作詞・作曲・編曲・録音・編集など、本来それぞれ専門の方が担当する仕事を、専業ではない私がさせて頂いているので、どうしても時間がかかってしまうことですね。

――ちなみに、小岩井さんはオーディオへの強みはもちろん、『MENSA(メンサ)』(全人口の上位2%の知能指数を持つことが入会資格)の会員でもありますが、その影響は?

【小岩井ことり】MENSAの会員だからといって、直接声優業に影響はないのですが(笑)。ニュースで取り上げて頂いたおかげで、いろんな声優さんやスタッフさんたちと、その話でコミュニケーションが取れたのが嬉しかったです。

■声優としての技術の研究と、自分が好きだなと思うものを

――先ほど話に出た、写真集『イヤホン・ヘッドフォンことり図鑑』(一迅社刊)についても教えてください。

【小岩井ことり】衣装もイヤホン・ヘッドフォンも、カメラも自前で用意しました。つまり、プロカメラマンがいない写真集なんです。撮影は、私が大体の構図を決めて、マネージャーさんやメイクさんなどスタッフさんに交代してシャッターを押して頂きました。SONY α6500で撮影しましたが、素人目には“素人写真”とは思えないほどにいい感じ…カメラがすごいんです(笑)。イヤホン・ヘッドフォンに興味のある方はもちろん、素人が撮影している写真だからこそ、カメラに興味のある方もぜひご覧頂けると嬉しいです。

――では最後に、今後オーディオに造詣の深い声優として、両者を生かしてやりたいことは?

【小岩井ことり】声優としての技術の研究と、自分が好きだなと思うもの、楽しいなと思うものを追求してきた結果が今の感じなので、これからもそんな風にトキメキとキラキラでできた人間でいたいです。今、具体的にやりたいことは思いつかないのですが、大体いつも突然思い付くので。また思い付いたらお知らせしますね(笑)。

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