色モノ扱いだったドラマ『M』に葛藤も? “飛び道具”キャラの中で三浦翔平が安定感見せる理由
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 田中みな実や水野美紀の怪演など、SNSで大きな話題となっているドラマ『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日系)。コロナの影響により新話が放送できず、23日は『奪い愛、冬』が放送されるが、両作に共通するのが、脚本が鈴木おさむであること、そして三浦翔平がインパクトのある演技をしていることだ。『M』では、飛び道具的キャラ満載のなか、振り切った演技と安定感を両立させる三浦。それを成し得る理由とは?

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■“飛び道具”たちの中で、色モノに終わらない確かな演技と存在感で下支えする

 平成の歌姫・浜崎あゆみ誕生を描く『M 愛すべき人がいて』。三浦翔平にとっては、これが地上波初主演作となる(安斉かれんとのW主演)。ところが、3話まで放送したところでコロナの影響で新話はストップ。リミックスバージョンでしのいでいたものの、それも16日を最後にストックが尽きた。せっかくの盛り上がりが止まってしまうことに、制作側、出演者側は忸怩たる思いだろう。その後に放送されることになったのは、『M』と同じく鈴木おさむが脚本を担当し、三浦翔平や水野美紀が出演した2017年のドラマ『奪い愛、冬』だ。

 『M』では、レコード会社の専務にして名プロデューサー、マサを熱演していた三浦翔平。当初こそ「俺の作った虹を渡れ!」などのキザで突飛なセリフで、田中みな実ら同様に“色モノ扱い”。だが、飛び道具的キャラ満載の本作の中で、独特の存在感を放っていたのもまた事実だ。

 「三浦さんにはある種の安心感がある」と話すのは、メディア研究家の衣輪晋一氏。「三浦さんももう30代で経験豊富。相手が強烈な演技をしているときには自分の芝居を抑えるなど、彼がいるから下支えされる部分はある。単なる色モノには終わらず、バランスを取りながらマサというアツいキャラを作り込んでいます」(同)。

 三浦といえば、『ごくせん 第3シリーズ』(日本テレビ系)に始まり、『花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイスから2011』(フジテレビ系)など若い世代向けの作品に出演することも多く、もとは“イケメン役者”という見られ方だった。2017年には“ドロキュンドラマ”と言われた『奪い愛、冬』で、鈴木おさむ脚本作品に出演。優しく穏やかだった男が嫉妬に狂い、だんだんと壊れていく様を熱演し、ネットでは「目つきがヤバイ」「怖すぎる」といった声が続々。脚本を担当する鈴木は「三浦くんから、もっと激しく壊れていく描写を求められた」と明かしており、三浦も「やっとこういう役ができるんだと思うことができました」と発言。三浦自身、当時非常に熱を入れていたことが伺える。翌年には、同じく鈴木おさむ作品『会社は学校じゃねえんだよ』(Abema TV)で熱く真っ直ぐな男役に。会社のデスクの上を歩くなど、『M』に繋がるような大仰な芝居も見せていた。

 だが一方で、「25歳の頃、芸能界の現実を見て葛藤していたと聞いています」と衣輪氏。「若い頃からイケイケで順風満帆。自分でも当時を“調子に乗っていたかも知れない”と反省することもあったそうです。ですが、20代中盤で挫折を知り、そして“若さ”という武器がなくなった先について考え始めたのではないでしょうか。桐谷美玲さんと結婚もされ、さらに穏やかになったようにも見えます。『ショムニ2013』(フジテレビ系)でのオタクダンスなど、以前から振り切った演技も見せる三浦さんですが、マサ役もまさにそう。役者としての幅をさらに広げようとしていると感じます」(同氏)。

 『M』については、ORICON NEWSの取材で「僕にオファーを断る権利なんてないですよ(笑)。いただいた仕事を断ったことはないです」「役者としてもいろんな現場を経験させてもらって、やっといろいろなことができるようになってきた。今が勝負どころ」と自身の立ち位置を語っている。鈴木おさむ作品の常連となりつつあるとはいえ、『M』という強烈なドラマ。出演者の発表時にも「良くも悪くも、ものすごく注目される作品だと思いますので、エグいプレッシャーを感じています」とコメントするなど、それなりの葛藤はあったのではないかと推察される。

■色モノをフラットに演じられる、最大の特徴は“目”

 今年で31歳。俳優業も10年を超え、中堅ともなれば、落ち着いた役柄や社会派作品に向かってもおかしくない。だが、そもそも本作はその真逆。しかも、当初はここまで話題を集めるとは誰も予想していなかったし、実在の人物を演じることもあり、どこか“色モノ”的な扱いだった。

 「これは事務所のプロデュースの上手さもある。事務所が役柄を丁寧に選んでおり、主役でなくとも“美味しい”役で、しかも彼の成長につながる役柄を与えている。その選択眼が今回も当たった形」と衣輪氏。さらに続ける。

 「彼の役者としての最大の特徴は“目”です。感情が読み取りにくくミステリアス。結果、どんな“色モノ”を演じてもフラットでいられる。三浦さんの代表作と言われても思いつきにくい視聴者も多いと思いますが、これは役者として色がつきにくいという長所=作品に溶け込むことにもつながっています。強烈キャラばかりの『M』の中でも暑苦しくならないのは、三浦さんの“目”や存在感が果たす役割が大きい。V6の森田剛さんも、ニュアンス的には同様の“目”を持っています。映画『ヒメアノ~ル』の森田さんのように、狂気の殺人鬼のような役柄を演じてもハマりそうです」(同氏)

 若手を超えた役者には、重厚感や何か奥に秘めたような個性が求められることが多い。だが、今作のような飛び道具だらけの作品で、みずからの素材と培ってきた演技で息を吹き込む力も、評価されてしかるべきだ。三浦翔平の振り切りと安定感が生きた『M』、その代打とはいえ注目を集めそうな『奪い愛、冬』、それぞれに見どころはありそうだ。

(文/中野ナガ)

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