「宮古の海」と「オッサンのリカちゃんハウス」、“ザク愛”に満ちたモデラ―が選んだシチュエーション
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 『ガンダム』の長い歴史のなかで、数々の激戦を繰り広げてきたのが名敵役のザク。量産型、シャアを代表とする将校専用、水中用など物語の展開とともに続々と派生し、さまざまなバリエーションのザクが生まれた。そんなザクの魅力を最大限に伝えたいと、2人のモデラ―がテーマに選んだシチュエーションとは?

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■普通は隠れてしまうインナーパーツを主張させたい


 昭和世代にとって“胸アツ”な記憶となっているバンダイの「ガンプラCM」。そのジオン軍モビルスーツの開発工場を制作したdie mrさんに、「ガンプラCM」の思い出を聞いた。

「昔のガンプラCMは本当にカッコよくて、その影響というかオマージュに近いかもしれません。完成画像で目指したのはインストの戦場写真風イラストでして、MSのロールアウトから出撃までを再現してみました」

 そう笑顔で語るdie mrさんに本作のテーマを聞くと「“オッサンのリカちゃんハウス”」と回答。MSVに登場したザクのバリエーション、MS-06Fザクマインレイヤーをメインに据え、ジオラマベースはキットの良さやギミック、モールド等を見せる為の書割みたいなモノと考え配置したのだそう。

上記の通り、ザクに対して一際思い入れが強いと語るdie mrさん。本作で一番表現したかったものとは?

「まずMGザクver2.0のキットが余りにも素晴らしく、特にインナーパーツに魅力を感じたので、そこが隠れてしまうのが勿体無いと。そこで、それらを主張させる事を主題にしました。制作は筆塗りと缶スプレーだけの部分塗装仕上げですが、ほぼ全てのパーツは表面処理等をしてあり、その時間と労力は費やしています。苦労した箇所というと、自分は穴開けが苦手です。プラ棒とかのセンターを出せなくて穴がズレた時や、真っ直ぐに穴を開けられない時に“技術の壁”を感じます」

 ガンプラ制作においては常に高い目標を掲げ、技術習得に励んでいるトップモデラーたち。die mrさんも当然、次なる作品に向けて構想を練っている。

「自分のライフワークとして掲げてるのが『MG 1年戦争博物館』でして、人生最後のキットにはパーフェクトジオングを作ろうと思っています」



■失敗を重ねたどり着いた“中性浮力”でよりリアルに


 沖縄県の宮古島でダイビングガイドの仕事をしている谷口さん(@masakadokun)。一見“無謀”とも思える「水中ガンプラ撮影」をやろうと思ったキッカケについて「実はお客様がご自身のバディとしてフィギュアを持参していたのを見て…」と告白。その時は「変わった楽しみ方をされる人だな」位の印象だったが、SNSで『おも写』(オモチャ撮影)が少しずつ出始めた頃とタイミングが重なり、「大好きな“海”を舞台にした水中撮影も面白いのでは」と考えたようだ。

 一方、「水中撮影なんてやれば、プラモは水辺にチャプチャプ浮かんでかえってウソっぽくなると思っていた」と述懐するオクトーバーさん(@October_0079)。しかし、谷口さんの活動をTwitterで見つけ「水陸両用MSの潜航シーンを撮れたら、ジオラマには無い臨場感やリアルさを演出できるのでは」と思いたったのだそう。そしてモデラー仲間(みんくるさん、awaxyさん、ハマさん、くららさん、水野明佳さん)と水中撮影企画『ProjectM』を立案。谷口さんと協力し、水中撮影に挑むこととなった。

 もちろん、撮影までの道のりは簡単なものではなかった。キットによって浮力が全く違うため失敗の連続…。そもそも実際に潜航させないことには個々の浮力は分からない。プラモデルの“潜航データ不足”による失敗は顕著だった。しかし、そんな“壁”を突破するキッカケとなったのが、これまで水中撮影のテストを重ねてきた谷口さんからのデータ提供だった。

「谷口さんが培った“知見”が共有されることにより、水中でもMSが逆立ちせず、脚を下に向けてたまま浮く“中性浮力”に辿りつきました」(オクトーバーさん)

 同様に、『ProjectM』に協力した谷口さんにとっても多くの“気づき”と“刺激”があったのだそう。「造詣や塗装の細かさ、大胆さ、今の自分には全く持ち得ないものばかりでしたし、この発想は無かった!という驚きも多かったです。ただ、送られて来たプラモデルを箱から取り出し、水中へ入れる際の緊張感は忘れられません(笑)」

 プラモ好きたちによるSNSを介した邂逅と、「水中撮影」への思いが結実した本プロジェクト。今後、どんな「水中ガンプラ」写真が誕生するのか楽しみだ。

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