春風亭昇太が見た“リモート大喜利”の裏側「おじいちゃんから芸人に変わる瞬間」
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 演芸番組『笑点』(日本テレビ系)では新型コロナウイルスの影響により、先ごろ史上初となる“リモート大喜利”が行われた。出演したのは司会の春風亭昇太に加え林家木久扇、三遊亭好楽、三遊亭小遊三、三遊亭円楽、林家たい平、林家三平とお馴染みのメンバー。リモート大喜利では小遊三の奥さんと猫が登場したり、三平が席を外している間に次のお題に移行したりとハプニングが続出。ネットでは “リモート大喜利”は概ね好評で、お茶の間にも受け入れられたようだ。司会の春風亭昇太に“リモート大喜利”の裏側を聞いた。

【写真】『笑点』大喜利に異変?ねこ耳ではしゃぐ綾瀬はるかとネズミ姿の春風亭昇太

■無観客収録からリモート収録への移行に「とうとうきたか!って感じでしたね」

 『笑点』といえば、後楽園ホールもしくは年に数回行われる地方公演により、お客さんの前でやることが常。だが、5月10日までは無観客の大喜利を放送。そして17日放送で初の“リモート収録”に踏み切り、24日、いよいよ“リモート大喜利”に踏み込んだ経緯がある。初めてリモート大喜利をやると聞いたとき昇太は「このご時世なので、そんなこともあるかもしれないなぁと思っていたんですけど、とうとうきたか!って感じでしたね」と振り返る。そして実際に収録してみると「みなさん、セッティングが大変そうでした」という。司会を務める昇太だけはスタジオに入り、回答者の師匠たちは自宅からのリモート収録。「いつまでたっても始まらないんですよ(笑)。せ~ので始めようと思っても、誰かが席を立ってしまっていたり。もうおじいちゃんたちとリモートやるのは大変でした」と苦笑い。

 だが、オンラインツールを使うと、どうしても話し手と聞き手には微妙な時間のズレが出てしまう。これについて昇太は「相手が言ったことに対しすぐ反応したいんですけど、しゃべり終わっているのかどうか生じゃないから分かりにくいんですよね。そういうもどかしさはありました。でも、それも含めて新鮮で楽しかったです。みなさんも意外と面白がってやっていましたから」と収録自体は楽しんでいたことがうかがえる。

 一方で「三平くん以外のみなさんは、絶えず微妙に動いているんですよ。だから繋がっているって分かるんですが、三平くんだけは動かなくて。途中、画像が固まってしまったかなって思ったりしました(笑)。三平くんはもうちょっと動いて欲しかったです」と笑う。また「みなさん、いつもより積極的に手を挙げてくれましたね。妙な責任感みたいなものが生まれているんでしょうか。指す人を選ぶのが大変だったぐらいで。普段からこれぐらい手を挙げてくれればいいんですけど(笑)」とリモート収録での意外な利点も上げた。

■判断基準は常に“お客”「頼みの綱であるお客さんがいないのは、やっぱりつらい」

 このリモート大喜利は大成功のように見えるが、やはりお客さんがいないことが『笑点』にとって一番の弊害だと語気を強める。

「判断基準がお客さんなんですよ、『笑点』って。ほかのバラエティー番組を見ると、面白いと思わないのにスタッフの笑い声が聞こえてくることもあるじゃないですか。僕はそこに違和感があって。でも、『笑点』のお客さんは面白くなかったら本当に笑わないんです。もうちょっと協力してくれてもいいのにって思うぐらい(笑)。だからほかの番組より、観ている人と現場の状況の差が少ないと思うんですね。そこが『笑点』のいいところなのに、頼みの綱であるお客さんがいないっていうのは、やっぱりつらい。自分の話したことがお客さんに受け入れられているか、受け入れられてないかが分からないのが一番の問題ですね。まぁ、これは慣れの問題。ず~っとやっていけばだんだんと慣れていくと思うんですけど、ずっと続けたくはないですね」と現場のリアルな悩みを明かした。

 とはいえ、自宅からのリモート収録によって、普段は見られないプライベートの一面も覗けることも確か。「自宅が映るなんて『笑点』としても初めてのことだと思うんです。ただ、始まる前と始まった後のスイッチが入る瞬間も、僕はぜひ放送して欲しくて。始まる前は本当に普通のおじいちゃんですから(笑)。おじいちゃんから芸人に変わる瞬間もぜひ見て欲しかったです」と語る。

■6代目司会者に就任して5年 「実はいまだ不思議な感じがしています」

 2016年、桂歌丸が大喜利司会を終え、番組を勇退。同年5月に昇太が6代目司会者として就任し、早5年。司会にはもう慣れたかと思いきや「実はいまだ不思議な感じがしています。子どものころから観ていた番組ですし、僕が前座のころからみなさんは僕のことを知っている人たちなんですよ。そこに僕が座って、しかも司会をしているというのはとても不思議で。それが逆にいい緊張感に繋がっているともいえそうです」。今回の“リモート大喜利”については「僕は6代目の司会ですが、今までリモートをした司会は誰もいません。僕が初めてとなるので、成功も失敗もないんです。なので気分的にはとても楽でした」という。

 実は今回の取材もリモートで行われたが、昇太自身はネット環境には弱いという。しかし「もう慣れました。取材から打ち合わせまで、今は全部リモートですから。今までは打ち合わせといえば、ホテルのラウンジに集まったり、局へ行かなければいかなかったんですが、これだと自宅で出来てとても楽。新型コロナが収束しても、ずっとリモートでの打ち合わせをお願いしたいですね(笑)」と語ってくれた。

 17日、24日、31日と座布団配りの山田隆夫は欠席し、CGで出演となった。「リモートですから、みなさんの自宅に山田さんが座布団を届けると時間がかかっちゃいますからね(笑)。このままだと当分、出番がないかもしれないので、新型コロナが早く収まってほしいと一番願っているメンバーは山田さんかもしれません(笑)」という昇太。同番組の福田一寛プロデューサーによると次回の収録から山田は電話で出演する予定とのこと。

 最後に昇太は「今は史上初のリモート大喜利として話題となっていますが、早く新型コロナが収まり、元の『笑点』に戻って欲しいと願っています。けれど、こういう『笑点』もなかなか観れないと思いますので、リモート大喜利もぜひ楽しんでいただければありがたいですね」と『笑点』ファンにメッセージを送った。

(文:今 泉)

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