かまいたち・濱家、アンジャ児嶋に続く「いじられキャラ」確立 コンビで“無双状態”に
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 冷静沈着でクールな佇まいが印象的なかまいたち・濱家隆一。強烈なインパクトで個性派ひしめく芸人カテゴリにおいて、“普通っぽさ”で笑いを誘い、いじられ芸人の道で自身のポジションを確立しつつある。いじられ役としてはネクスト・児嶋的なポストもうかがえる濱家の活躍ぶりから今、目が離せない。

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■いじりを笑いに昇華「かまいたち・濱家」の底力

 かまいたち・濱家、その姿を目にしない日はないほどのテレビ出演が続く人気ぶりで、いままさに熱い注目を集めている。濱家といえば、とっつきにくいオーラが漂う風貌とクールなスタンスだが、芸人らしからぬ“普通っぽさ”が武器だ。

 この“普通っぽさ”で視聴者の共感を集めながらも、それを笑いに昇華する巧みなテクニックには、ネクスト・児嶋的な存在感と勢いがあり、それ以上のものすら感じさせることも。ふてくされ顔のクールなくさり芸的な立ち位置ながら、予定調和以上の笑いを起こすポテンシャルがあり、スタッフからも厚い信頼を得ているのだ。

 たとえば6月11日放送の『VS嵐』出演時は、自身のゲストとしての弱さをネタにする制作陣の期待通りの自虐笑いを成立。ゲーム企画では、勝負への熱さがほとばしる、なりふり構わぬ滑稽な姿を披露しつつも、いつもの冷静沈着なキャラとのギャップによる笑いも生み出し、ここぞというときの爆発力を秘密兵器として持っていることが伺えた。

 また、6月16日放送の『あちこちオードリー』に、「今一番各所で結果を出さなきゃいけないコンビ」というテーマで出演した際は、普通っぽさゆえに他の個性派芸人と比べられるのが嫌で「(芸能人が集まる)飲み会の場に行きたくない」とホンネを語り、若林正恭から共感を得ていた。そんな濱家の人間性や笑いのスタンスへの支持率の高さは、「いい波に乗ってるねー」「濱家がいまキテる!」といった多くのSNSの反響からもみてとれる。

 かまいたちは、大阪を拠点に賞レースで実績を積み上げ、2018年の東京進出後には、キー局でレギュラー、MC番組、冠バラエティを多数構えるほどの活躍を見せている。『キングオブコント2017』優勝や2019年の結成15年のラストイヤーでの『M-1』準優勝は語り草になっているが、数々のお笑い賞レースで実績を残し、コントと漫才の両方で高く評価される実力派だ。

■かつては“いじらせない”オーラも…ベールに包まれていた大阪時代

 2017年の『キングオブコント』優勝をきっかけに、関西のレギュラー番組7本を卒業して東京に進出した、かまいたち。それまでの大阪時代、濱家はいじられキャラのイメージはまったくなく、むしろ尖った雰囲気でいじることすら許さないオーラをまとっていたという。

 ある舞台稽古では、時間ギリギリになっても濱家が現場に現れないことがあった。相方の山内健司も含む全員で「叱ってやろう(いじってやろう)」と息巻いていたが、いざ現れた濱家を取り囲んで非難しても、全力で否定され、しまいにはふてくされる始末。山内はそんな意固地な姿を「土下座でもして場を沸かせばいいのに…」と半ば呆れ気味に話している。

 一方、濱家自身も、大阪時代に自身が醸し出していた周囲が近寄りがたい雰囲気が、東京進出後にすっかり影を潜め、そのキャラの変わりぶりに後輩芸人が戸惑っていたことを明かしている。大阪時代の濱家を、劇場の番長としてMCもでき、万能芸人だったとする山内は、東京に来てから急にイジり回されるようになった姿を「大阪と豹変した」と、東京進出後の悩みとして語っていたこともある。

 大阪時代も輝かしいばかりの実績を残してきたかまいたちだが、そこにはコンビとしての漫才、コントなど芸における確かな技とテクニックでのし上がってきた実力がある。そういう意味でも、かまいたちのピンとしての魅力は、ベールに包まれていたともいえる。

■東京進出で振り切った“いじられ”スタンス

 そんな2人は、東京進出をきっかけに個々の活躍の場が増えるとともに、そのベールは剥がされていき、コンビだけではなく、ピンとしてのパーソナルな魅力が開花していった。濱家は「たぶん僕は根がイタいから、それがちょっとずつズレたまま来てる」と語っているが、いじられ要素としては十分な素質を以前より備えており、それが東京で一気にいじられキャラへと変わっていった様は、さまざまな番組の企画としても成立している。

 昨年4月23日放送の『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)では、大阪から東京に進出したものの“何か違う”というテーマで登場。バラエティ番組出演時、おいしいシーンに対していいリアクションがとれず、真面目なコメントで場をしらけさせてしまったことなどを振り返り、大阪時代のプライドが邪魔をしていると指摘されていた。番組では「プライドを捨てていじられやすいように改名したら」というアイデアで盛り上がり、濱家のいじられキャラ化はSNSでの反響も上々だった。

 また、昨年9月6日放送の『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ・関西テレビ系)では、女性ゲスト・宮澤エマのツッコミ役として出演。お笑いに疎い宮澤が濱家を知らないという番組設定でまずいじられ、全国での知名度がまだ低いタイミングにもかかわらず「そんなに数字見込めないですか? 僕」と不満をぶちまけるネタで笑いを誘っていた。

 普通っぽさがよい具合に引き立ち、自虐ネタも売りにしてブレイクしているコンビ芸人の片割れというと、代表格はアンジャッシュの児嶋一哉だろう。かつては児嶋もクールで怖いイメージ。自身も「尖っていた」と語っている。濱家はそんな児嶋に次ぐポジションを射止めようとしているが、さらなる地平が見えている感もある。

■濱家のキャラ確立はコンビにも還元! 今や“現役最強”の呼び声も

 この4月には、初の地上波冠番組『かまいたちの机上の空論城』(関西テレビ・フジテレビ系)がスタート。『天才てれびくんhello,』にも出演しており、子どもへの認知も高めている。また、特番等のMCを務めることも多い。

 さらにラジオでは2本のレギュラー番組を抱え、『かまいったーTV』や『三つ星晩ご飯!かまいたち食堂』などのウェブ冠番組も配信している。そんなメディアを超える幅広いファン層へのアプローチも奏功してか、2020年2月に開設したYouTubeチャンネルは、登録者数が早くも52万人を突破。2人のコンビとしての人気の大きさを物語っている。

 コンビだけでなくピンの仕事も増えてきている背景には、それぞれの活躍によって、コンビのときとは異なる魅力の個性が視聴者に浸透してきていることがうかがえる。濱家はいじられキャラのほかに、インスタで「料理男子」っぷりを見せつけるなど料理の分野でも活躍が続き、意外な一面がより親近感を抱かせている。ファン層は世代性別を超えて広がる一方だ。

 一方、濱家が“いじられキャラ”にシフトチェンジしたことにより、山内は今まで以上に相方をいじり、新たな魅力を引き出しやすくなったはずだ。ピンのそれぞれの活動が、しっかりとコンビとしての人気や芸の幅に還元されているのが、かまいたちの現在のお笑い強度につながり、シーンのなかでも突出した存在感となっているのだ。

 群雄割拠のお笑い界において、最前線で漫才とコントの両刀使いの実力を発揮。さらに、ロケもこなし、ピンの魅力も開花してSNSの反響も上々と、今のかまいたちは無双状態。久方ぶりの“天下を取る“芸人となり得るのか?今後も注目していきたい。
(文/武井保之)

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