“工業製品”としてのリアルなガンダムに魅せられたモデラーの信念「こだわりは“削る作業”」
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 30年以上にわたり発刊されている模型誌『モデルグラフィックス』(大日本絵画社)。1980年代後半に同誌に連載された『ガンダム・センチネル』は、「宇宙世紀」を題材にしながらアナザーストーリーが展開され、人気を博した。モデラーのMa(@waterfield0310)さんはそんな『ガンダム・センチネル』に魅せられた1人。その精巧な作品に、多くのモデラーから尊敬を集めるという同氏が、『ガンダム・センチネル』をメインに作品を作り続ける理由とは?

【写真】絶妙な色味とデカールの細かさ…モデラーが尊敬するモデラー・Ma氏の技術が詰まったPLEN303E ディープストライカー

■正解がない分「次はこうしたい」「今ならこうする」と想像が膨らませられる

――『ガンダム・センチネル』をテーマにした作品が多いと伺いましたが、その理由は?

「高校時代に『モデルグラフィックス』での連載が始まり、今までにはなかったリアルさに衝撃を受けました。例えば実際の戦闘機にあるセンサー類がデザインされていたり、工業製品としての考えられた形だったり、単なるキャラクターとしてのデザインじゃないところでしょうか。連載と同時進行でキットが発売され、当時発売となった『1/144FAZZや1/144Ex-Sガンダム』を『モデルグラフィックス』掲載の作例を参考に改造し、作り始めたのがきっかけです」(Ma氏/以下同)

――『ガンダム・センチネル』の魅力とはどんなところでしょうか?

「映像化されていない作品で、設定画稿も初期と後期でデザインの解像度が上がっていたり、『ガンダムセンチネルRPG』(1990年/大日本絵画社)や『ガンダム・センチネル―ALICEの懴悔』(1990年/大日本絵画社)などの単行本に掲載されている挿し絵が、違うラインに描かれていたりと、解釈の仕方や自分の中にあるSガンダムだったりZ plusが表現できるところです。正解がない分、同じ機体でも『次はこうしたい』と作り続けて行けるし、『今ならこうする』という想像が膨らむところですね。

――代表作である『宇宙要塞制圧特務仕様Gクルーザー』(正式名称:MSA-0011[Ext] Ex-SGUNDAM G-CRUISER MODE)はどのようにして誕生したのですか?
「地元で毎年開催されている『HME(北海道モデラーズエキシビジョン)』に展示する作品を考えていて、年に一度のお祭りなので派手に『何これ!?』と目立つ物を作ろうと思いました。使用したキットはリニューアルされる以前の『MG Ex-Sガンダム』です」

■多くのモデラーから尊敬を集める要因は、他の人にまねできない“色味”

――制作の際、どのようなストーリーをイメージして制作されましたか?

「『宇宙要塞制圧特務仕様』という、『ガンダム・センチネル』の作品内でこんな設定があったらという『if』の世界観です。
 ガンダム世界に登場する宇宙要塞は、資源採掘用にアステロイドベルトから運ばれてきた小惑星なので攻略作戦ともなると、とても単機のMSでは不可能ですが『多弾頭熱核ミサイル4機装備』することによりEx-Sガンダム単機による制圧を可能にした、といったストーリーをイメージして製作しました。
 『電撃ホビー』に掲載されたソロモン・エクスプレスに登場するRX-78-2ガンダムをEx-Sガンダムに置き換えてイメージを膨らませていますので、両者の世界観をミックスした作品とも言えます」

――この作品を作る際に苦労した部分は?

「当初は全然違う形で未完成の状態で、『HME』にも『製作中』と言う形で展示しました。それから1年越しで完成した訳ですが、最初考えていた大気圏内用から宇宙用へと変更しました」

――制作後の反響はいかがでしたか?

「あまり『ガンダム・センチネル』に対しオリジナル要素を入れて作る人が居ないこと、Ex-SガンダムをわざわざGクルーザーモードで作る人も居なかったため、作品を発表した際、反響は大きかったですね、またMS形態と同じ配色でも形態が違うことでブルーの部分が際立つためか、調色したブルーの色についての反響が多かったです」

――作品のクオリティーの高さから多くのモデラーから尊敬を集めていらっしゃいますが、Maさんがガンプラ制作時に一番こだわっていることはどんなことですか?

「作る過程において、一番のこだわりは『削る作業』です。『ゲート跡』(パーツを切り離した時に残る出っ張った切り跡)だったり『合わせ目の部分』や『表面の引け』(成形収縮によって生じるへこみ)、『エッジの処理』(角が立つように処理すること)など基本工作はさまざまですが、その部分で自分にしか出来ない作業を行い、自分にしか出せない雰囲気を作るところです。そうすることによって、派手な改造やディテールを加えるのとは異なり、完成した時の佇まいが作風として出る。また、工作とは違う段階で塗装の部分でも他人が真似の出来ない色味(彩度・明度・トーン)に強いこだわりがあります。同じ作品を同じような色で作っても絶対同じものにはならない、自分にしか出せない作風をこれからも作り続けたいと思っています」

――Maさんにとって、ガンプラとは?

「小学生の頃にあったガンプラブーム以来、長きにわたり楽しませてもらっている模型ですね。この先もずっと楽しませてもらうつもりです」

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