遠野遥氏、平成生まれ初の芥川賞 2作目での受賞に「驚きました」
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 日本文学振興会は15日、『第163回芥川龍之介賞・直木三十五賞』の選考会を東京・築地「新喜楽」で開き、芥川賞は3回目の候補入りとなった高山羽根子氏(45)『首里の馬』(新潮三月号)、初ノミネートの遠野遥氏(28)『破局』(文藝夏季号)の2作が受賞した。遠野氏は1991年生まれであることから、平成生まれの芥川賞受賞者は今回が初となる。直木賞史上初の平成生まれ受賞者は、2013年に『何者』で受賞した朝井リョウ(31)。

【写真】『第163回芥川龍之介賞・直木三十五賞』発表の瞬間

 遠野氏は慶應義塾大学法学部卒。2019年『改良』(単行本は同年河出書房新社刊)で第56回文藝賞を受賞しデビューしたばかりで、2作目で芥川賞を受賞となったが、受賞会見冒頭で「つい先ほどお電話いただいたばかりで、非常に驚いたままで状況に頭が追いついていません。ちょっと変なお答えしてしまうかもしれないですけど、ご容赦いただけたら」とあいさつした。

 今作で芥川賞を取ったことについては「受賞決まった時の方が驚きました。人によっては気持ち悪いとか、好きじゃないとかいると思いますし、私もそうだろうなと思いながら書いていた部分もあったので、歴史のある賞をいただいたのは意外でした」と率直な思いを吐露。「ノミネートされると結果が出るまでけっこうソワソワしてしまうので、それをもう経験しなくてもいいということでは(笑)、受賞できた方がいいと思います」と笑わせた。

 写真撮影時には「もうちょっと笑顔で…」とカメラマンから要求されていたが「私としては笑顔のつもりだったのですけど、そうは見えなかったのは残念ですね。笑っている方が感じがいいですよね…」とコメント。会見時はマスクだったため、報道陣から「マスクの下の笑顔を見せていただけますか?」とリクエストをウケるも「ちょっとウイルスが…」とやんわり制した。

 特徴的な文体も指摘されているが「いろんな人から言われるので耳に入っているんですけど、変わったことをやってやろうと思ってなくて、割と素直に自然に書いたらそうなっていたという感じです。引き続き、自然にやっていけたら」と淡々。「歴史がある賞だと認識していて。すごく有名な作家がたくさん名を連ねている賞。末席に加わるのは栄誉あることだと思っています。早く3作目を出したい」と意気込んでいた。

 両賞は1935(昭和10)年に制定。芥川賞は新聞・雑誌(同人雑誌を含む)に発表された純文学短編作品、直木賞は新聞・雑誌(同)・単行本として発表された短編および長編の大衆文芸作品の中から優れた作品に贈られる。前者は主に無名・新進作家、後者は無名・新進・中堅作家が対象となる。贈呈式は8月下旬に都内で行われ、受賞者には正賞として時計、副賞として賞金100万円が与えられる。

 直木賞は馳星周氏(55)の『少年と犬』(文藝春秋)に決定。1997年、デビュー作『不夜城』での初候補入り以来23年、7回目ノミネートでついに受賞を果たした。

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