「声を上げる」意義を問いかける図書館映画 “名優”エミリオ・エステベス監督が力説
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 図書館を舞台にした映画『パブリック 図書館の奇跡』が、17日に公開。ある公共図書館の元副理事がロサンゼルス・タイムズに寄稿したエッセイにインスピレーションを得て、完成までに11年を費やした名優・エミリオ・エステベスがインタビューに応じ、同作にかける思いを語った。

【場面カット】7月17日公開の映画『パブリック 図書館の奇跡』

 同映画は、アメリカのシンシナティで、大寒波到来で命の危機を感じたホームレスの集団が図書館のワンフロアを占拠。社会的な問題提起もはらみながら、ひとりの図書館員の奮闘を軸に、笑いと涙あふれるストーリーが展開される。

 今作のきっかけは、2007年にソルトレイクシティー公共図書館の元副理事チップ・ウォードがロサンゼルス・タイムズに寄せたエッセイ。エミリオ監督は、図書館がホームレスのシェルターとなっている現状や、多くが精神疾患を抱えていることが描かれているのを読み「これは映画になると感じたというよりも、図書館で何かできるのではないかと感じ、映画のリサーチのために、ロサンゼルスにあるダウンタウンの公共図書館で、静かにそこで起きることを観察していた」と振り返る。

 続けて「だいぶ足を運んだ時に、常連のホームレスが自分に対して『いつもいるな』と信頼し始めてくれて。どうやって自分が路上生活者になったということから話をしてくれたりするようになった。オープンな人もいれば、声をあげられたりして、怖くなってしまったこともあったんだけどね。そうやっていろいろな人の話を聞いて、この作品を作っていったんだ。彼らとの会話や図書館で過ごした時間は、得難い価値があったと思う」と力説。

 また、路上生活者にとっての図書館について「ホームレスになった人は、サバイバルモードになってしまっているんだ。でも、図書館に行くと1日8~10時間くらいは室内に入れて、本が読めたり情報にアクセスができたりすることができるから、彼らにとっては安寧を感じられる場所なんだ」と分析。「この国にはホームレスを“不憫だけど、仕方がない”と思う人がたくさんいる。ホームレスになってしまうのは、自力で苦境を打破するための一歩を踏み出さない自己責任としてしまうわけだ。図書館や公共施設がそうした人たちを助けるのは、道徳上の任務だと思う」と持論を展開した。

 日本の観客へ向けて「私たちは社会的に弱い立場にいる人だったり、ホームレスだったり、肌の色が違う方だったり、声なきものに対して、こういうストーリーがあるんじゃないか、と勝手に思い込んでしまうんだ。僕の場合も、エミリオ・エステベスはこういう育ち方をしたんじゃないか、とそういうイメージを押し付けられるようにね。それって、皆やっていることだと思う。でも、それは間違っていることが多いので、その人のストーリーを勝手に作らないでほしい」とコメント。「スマホとかパソコンを持っている人は、公共図書館が情報をアクセスできる役割を果たしているんだ、ということを改めて実感してほしい。そのくらい、必要不可欠な機関ということを改めて感じてほしい。理由はこの映画の中でいっぱい描いているから、伝わるといいなと思っている」と呼びかけていた。

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