市村正親×鹿賀丈史、舞台人の使命感語る「いま必要なのは“心の栄養”」
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 俳優の市村正親、鹿賀丈史がWキャストで出演するミュージカル『生きる』。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、演劇界も大きな打撃を受けた。その中で安全面を徹底的に考慮した上で、舞台出演へ動き出した2人が演劇への思い、演じる喜びを明かした。

【写真】過去には…“夫婦”を演じた市村正親&鹿賀丈史

 このほど、都内で実施されたインタビューは、ソーシャルディスタンスを保つため、記者とは距離を置いて座り、フェイスシールドを装着するなど、さまざまな制限が設けられた。それでも現状を嘆くことなく、鹿賀は「久しぶりに仕事をすると楽しいね」と、明るい口調で応じてくれた。

 長いキャリアの中でも数ヶ月にわたって演劇界がストップしたのは、初めての経験だった。自粛期間を経て、市村が「改めて役者なんて“役を取ったらただの者”だなと痛感しましたね。今まで当たり前のように劇場で働いていたけど、劇場が使えなくなると役者じゃなくなる」としみじみ語ると、鹿賀も「何回も自分が俳優だということを忘れそうになったよ。きょう、やっと『あ、俺は役者だった』って思い出せたね」と笑った。

 いまだに新型コロナの猛威は続いているが、10月9日に東京・日生劇場で初日公演を迎えることが決定した。市村は「この状況下だから厳しいことは確かだけど、とにかく予防しながら、守りながら、生のライブをお客様の前でできることに喜びを噛み締め、気をつけてやっていきたい」と言葉に力を込める。

 市村の言葉に大きく頷いた鹿賀は「いまの僕らにとって必要なのは“心の栄養”だと思うんです。演劇というのは人の心を和らげてくれると信じている」と続くと「初演とは状況が全く違う。そういう意味では、演じる方も、ご覧になる方も違う感覚だと思う。「本当に注意して、こういう状況下だからこそ、できる舞台とお客様との関係を作っていきたい」と前向きに話した。

 黒澤明氏の没後20年記念作品として、2018年に初演された同舞台は、黒澤氏が1952年に発表した同名映画をミュージカル化したもの。再演となる今回も市村と鹿賀がWキャストで渡辺勘治役を務める。

 改めてお互いの印象を問われると、市村は「(鹿賀は)昔から主役路線を走っていて、僕はその周りの役が多かった。それが一つの役をやり合えるようになったわけだから、僕も頑張ったなと。自分の頭を撫でてあげたいね」とニヤリ。これに鹿賀は「何を言ってるんだか(笑)」とツッコミを入れつつ「お互いに自分の歩む道があって、50年以上前からの付き合い。市っちゃんの舞台に掛ける情熱は、他の人には真似が出来ないですよ」と絶賛の言葉で返していた。

 同舞台は、10月9日から28日までの東京・日生劇場公演を皮切りに、11月30日まで富山、兵庫、福岡、愛知を巡演する。市村は「何も事が起こらないように祈るだけでなく、そのための努力を尽くす」と語り、インタビューを締めていた。

●市村正親
埼玉県川越市出身。劇団四季にて『イエス・キリスト=スーパースター』でデビュー。退団後も『ミス・サイゴン』『スウィーニー・トッド』など多岐に渡る舞台に出演。2007年春の紫綬褒章、19年春の旭日小綬章を始め、菊田和夫演劇大賞など綬章多数。
今年、『第44回ホリプロタレントスカウトキャラバン「ミュージカル界の未来のキング&クイーンを探せ!」』スペシャルアンバサダーを務める。応募方法はWebエントリーのみ、応募資格11歳~20歳までの男女、エントリー期間は2020年9月30日まで。

●鹿賀丈史
石川県金沢市出身。劇団四季にて主役デビューとなった『イエス・キリスト=スーパースター』で注目を浴び、数々の作品に出演。退団後は『レ・ミゼラブル』をはじめとする数々の舞台のほか、映画やテレビドラマなどで幅広い活躍を見せている。2005年には『ジキル&ハイド』『レ・ミゼラブル』で第31回菊田一夫演劇大賞を受賞。さらに『料理の達人』で見せたカリスマ性を感じさせるキャラクターも全国的な人気を博した。

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