Kj、コロナ禍でも「音楽通し戦っていく」 楽曲オファー機に固まったバンドマンとしての“覚悟”
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 ロックバンド・Dragon Ashのフロントマンとして、シーンの最前線を走り続けているKj。そんな彼が、信頼できるメンバーとともに2018年に結成した5人組バンド・The Ravens名義初となる楽曲「Golden Angle」(10月3日発売)を書き下ろした。本作は、スマホアプリのひっぱりハンティングRPG『モンスターストライク』(モンスト)7周年感謝キャンペーンのタイアップソングに決定している。同ゲームの “ストライカー”(ユーザーの呼称)であるKjに、制作経緯や楽曲に込めた思いのほか、コロナ禍におけるバンドマンとしての心構えを聞いた。

【動画】モンスト7周年を記念した「Golden Angle」コラボムービー

 Kjは、2015年にソロプロジェクトをスタート。全ての楽器演奏、プロダクトデザインまで自ら行い、2作のアルバムを発表している。The Ravens は、2018年10月から開催されたソロワンマンツアー「降谷建志 1st LIVE TOUR 2018」をともに回るバンドとして結成された。メンバーはKj(Vo・G)のほか、PABLO(G・Pay money To my Pain/POLPO/M.E.D.S)、武史(B・山嵐/OZROSAURUS)、渡辺シュンスケ(Key・Schroeder-Headz)、櫻井誠(Dr・Dragon Ash)の5人で構成する。

 モンストを展開するミクシィは10月3~10日まで、7周年記念期間限定クエスト「共有と結束の大冒険」を開催している。そのクエストBGMに、新曲「Golden Angle」が起用され、ゲームを楽しみながら本作を聴くことができる。

■連続ログイン日数は1400日超、熱意あるオファーを快諾

 生粋のバンドマンでありながら、自身を“ゲーマー”とも称するKj。モンストは、息子が遊んでいる様子を見て「面白そうだな」と思い、インストールしたという。気づくと数時間はプレイしているそうで、連続ログイン日数は1400日を超えるほどのめり込んでいる。「“敷居が低くて奥が深い”っていうのが一番じゃないですかね。やり込む人が多いですしね。いわゆる最難関、高難易度の相当やり込んでないと制覇できないようなコンテンツも用意されている。一方で、初めてやる人がクリアできるコンテンツもある。その幅の広さと奥行きの深さが大事なんじゃないですかね。」とその魅力を語る。

 そんなヘビーユーザーのKjが今回のオファーを受けたのが今年7月だそうで、その時は1人のモンストユーザーとして「やった!」と喜んだという。また運営側から「PS(ゲームのプレーヤースキル)を認められてオファーされたのかな(笑)」と分析し、「いわゆる商業的なアーティストにお仕事で振ってる感じではないと思う。だったら俺達みたいなバンドに話はいただけないと思う。本当にモンストを好きな音楽家に音楽を作ってもらいたいという気持ちを持っていたんじゃなかったんですかね」と推測する。

 「簡易的に作っているわけではない。人生を懸けてこの職業をやっているので。誠実にやりたいし、誠実な話であるかどうか、そこから詰めました。まっすぐな気持ちで話してくれていたので、『やらせていただきます』となったんです」と運営側の熱意にほだされたことを明かした。

■トライアンドエラーで見出す自分たちなりの“正解”

 “ストライカー”として、4年弱にわたり毎日モンストをプレイしているヘビーユーザーのKjだが、本作の制作に「プレッシャーはなかった」ときっぱり語る。「『どういう気持ちで』『どういう思いで』っていうのは話した時点で(ミクシィ側から)投げてもらっているので、それを音楽に落とし込んだ。自分の世界観の中で一任してくれると感じた」と振り返る。

 本作のタイトル「Golden Angle」は、訳すと「黄金角」といい、Kjは「植物が光合成するときにその角度で葉を伸ばして、全部の葉が光合成できるようDNAに入っている」と説明。「モンストは角度を測ってはじいていくゲームで、黄金角がDNAに入ってない自分たち(ユーザー)が、自分たちなりの角度で攻略していく。正解を見出しているわけじゃなくて、『これも正解だ』とみんなで構築していくのが大きなテーマです。『Golden Angle』のようなものがない自分たちが、トライアンドエラーを繰り返しながら自分たちなりの角度を見出していくという曲。人生観でもありますね」と楽曲に込めた思いを語った。

 本作のインスピレーションは「説明しづらい。思いつきだからね」と苦笑しつつも、「歌詞の『そうさきっと僕達はアンバランスなままで この先も僕達の反射角でいいんだよ』っていうパンチライン(印象的なフレーズ)を思いついたんですよ。『反射角』と『アンバランス』で韻を踏んでいるので、それを思いついて、そこから『Golden Angle」を連想していきました」と制作のきっかけを明かした。

 ゲーム内のBGMに起用されていることから、ユーザーの気持ちにも配慮。「自分がプレイしてる時のスピード感とか、モンストならではの疾走感とか、曲とリンクするようには努めました。BPM(1分間の拍数)とかリズム、テンポ感はゲームにそぐうように意識しています」とこだわりを語った。また、歌詞はまさにモンストを意識したようなフレーズが並んでいる。その理由について「モンストに寄り添っているので、オファーの時に投げてもらった思いとかキーワードを散りばめてるし、モンストをやっていたらこういう解釈ができる。でもやってなくてもこういう解釈ができるといったダブルミーニングにしている」と解説する。

■“モンストだから”バンドで制作、コロナ禍でも「何もしないより1000倍いい」

 そもそも今回のオファーはKj自身に届いたもの。The Ravensとして本作に取り組んだ理由を問うと、「モンストを運営するXFALGのマークのところに『B.B.Q』って書いてある。これはバーベキューみたいに、『みんなでワイワイやったら楽しいじゃん』っていう気持ちをコンセプトに始めたそうなんですよ。だから今回ソロでやるのは違和感があって、『自分もワイワイとバンドでやって、その気持ちに1票を投じたい』っていう思いからバンドにしました」と並々ならぬモンストへの思いを吐露した。

 また「『The Ravensとして何か活動していきたいね』って話はコロナ禍になる前からあった」という。しかし、メンバーそれぞれThe Ravens以外のバンド活動で多忙を極めていた。「例えばそれぞれのバンドが年間100本くらいライブしているとして、それぞれのタームでやってるから、みんなのタイミングが合う日なんで本当にちょっとだった」と回顧する。

 だが、このコロナ禍が“予想外”の時間を生んだ。「The Ravensとして、ここからどうしていくっていうプランはないが、『みんなライブもツアーもできないこの時間に、何か音楽を表現できたら良い』っていう思いでメンバーを誘いました」と当時の心境を振り返る。「こんな時間は絶対に無いほうがよかったけど、この時間にできることもある。『音楽が鳴り止まないように』っていう思いは全員あると思う」と本音を語った。

 コロナ禍により、アーティストの活動は大幅に制限されるようになった。ライブを行うにしても、有観客は感染予防対策を講じた上で開催する、無観客であればその模様を配信するなど、これまでにはない表現方法が取られている。

 そんな現状に、Kjは「今俺たちがやってることはちっとも楽しくないし、こんなことのために楽器を何十年も練習してきたわけじゃない」と悔しさをにじませる。しかし、「最悪だけど、でも何もしないよりは1000倍いいと思う。バンドマンは音楽しかできないし、音楽しかやりたくないから、這いつくばってでもやる。最悪だけど、何もしないよりはずっといいと思ってやってる」と自ら行動する意味を説いた。

 The Ravensの今後について「そりゃあライブがしたい、ツアーを回りたい。そんなもの、全員そう思ってるから。どうなるかわからないけど…」とぽつり。「でもモンストのおかげで誠心誠意、The Ravensに向き合えているのは感謝しか無い。どういう形であれ、音楽を通して戦っていきたい」と、今回のオファーをきっかけに活動できることに謝意を示した。

■コロナ禍でも「バンドマンでいます!」

 ライブハウス支援プロジェクトの展開や、配信形式の音楽フェスへの出演など、コロナ禍で表現の場が限られる状況でも、Kjは音を鳴らし続けてきた。現在は毎日スタジオに通い、楽曲制作に勤しんでいるという。自身のコロナ禍の活動を振り返り、「並べると結構やってますね(笑)。こういう状況になってまだ表現の場がゼロじゃないっていうのはありがたいこと」としみじみ語った。

 「ライブハウスでモッシュとかダイブができるようになるまで、普通のライブはせずに、音源づくりとか、弾き語り(ライブ)をやってもいいんじゃないかな」と提言も。自身の活動について、「バンドマンは音楽に救われたり、音楽にすがって人生を生きてる。普段はわがままを言ってるわけだから、こんな時くらいは恩返しできるよう、みんなが求めてるものを模索してる感じかな」と胸の内を明かした。

 また現在置かれている状況は「“逆にチャンス”とかじゃないし、無い方がいい」と漏らす一方で、この過酷な環境を経験したことでバンドマンとして「あらためて覚悟が固まった」という。「音楽のように、好きなことには相当自信がある。クソみたいな状態で、それでもバンドマンでいますか、いませんかって、このコロナ禍で試されてる感じはあるかもね。(自身のスタンスとしては)もう食い気味で『います!』って感じ」と笑みを浮かべた。

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