「これ以上は危険」モラハラ、DVを受けた猫…「家族が1人でも反対したら動物を飼うべきではない」
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 日々、猫の殺処分ゼロを目指して活動を続けるNPO法人『ねこけん』。『ねこけん』のブログでは、猫を保護した際のリアルな状況、悲惨な姿まで隠すことなく伝えており、多くの読者に動物愛護の必要性を問いかけている。モラハラ、DVを受けた、ある三毛猫についても、ブログで状況が語られている。あらためて代表理事・溝上奈緒子氏に取材し、当時の様子やその後を聞いた。

【写真】あまりの悲惨さに「思わず二度見」、誰にも助けてもらえなかった地域猫の実態

■「我々が警察に通報しますか?」、夫からDVを受けていた奥さんと猫

 モラルハラスメントとは、言動や態度といった精神的な暴力、嫌がらせのこと。いまや人間社会、とくに職場や家庭などでの問題が取りざたされているが、飼い猫にもモラハラの影響はあるという。

 ある日、夫の言葉の暴力におびえた奥さんから相談を受けた。「猫を外に出せ」という夫から、奥さんは連日のように罵声を浴びせられ、物を投げられることもあったそうだ。やがて精神科に通うほどにまでまでになった奥さんは、「このままでは、いつかこの猫は殺されてしまうのではないか?」、そう思い悩んだ末、『ねこけん』に助けを求めたのだという。

 「ブログには『モラハラの被害者になった猫』とありますが、実際は奥さんも猫も、言葉の暴力だけではなく、DVも受けていたそうです。これ以上は危険だと思うほどに追い詰められ、とても深刻な状況でした。猫ちゃんも虐待されて体に傷を負っていたため、『我々が警察に通報しますか?』とも尋ねましたが、奥さんの要望で通報はしませんでした」と、溝上氏は当時を振り返る。

 人間社会でもモラハラやDVは大問題だが、猫だって同じだ。なぜ自分が怒鳴られるのか? なぜ傷つけられるのか? なぜ安心して暮らせないのか? 言葉で訴えることもできない猫は、ただただ人間に振り回されるだけだ。

 「たとえ言葉の暴力だけでも、人間と同じように猫ちゃんも精神を病みます。人を怖がるようになりますし、表情も変わってしまうんです。体に傷を負わなくとも、罵声を毎日浴びせられていたら、その影響は計り知れない」と溝上氏。確かに、引き取られた当時の“三毛猫さん”の表情は、とても緊張しているように見える。

 「猫を育てる環境はとても大切だということです。もし、家族が1人でも反対していたら、動物は飼うべきではない。『ねこけん』でも、譲渡を希望される方には、必ず家族全員の同意を取ってもらうことにしています。家族が反対したにもかかわらず、飼い始めてしまった…その結果がこの“三毛猫さん”です。猫を不幸にしないために、迎える命にも責任を持ってほしい」と溝上氏。

 ブログでは“三毛猫さん”への応援メッセージが綴られている。

 「この子の未来は約束されましたが、家族から受けた心の傷をいやすにはどのくらい時間が必要なのかわかりません。それまでは一緒に頑張ろうね。いや、頑張らなくて良いんだ。普通に生活しながら、信頼関係を築いていこうね。ここは愛情ダダ洩れの言葉しかない場所。もう大丈夫。あなたは悪くない。ダメじゃない。素敵に可愛くて愛すべき“三毛猫さん”ですよ」

 今、『ねこけん』で幸せいっぱいに暮らす“三毛猫さん”は、譲渡希望の家族を待っている状態だ。

(文:今 泉)

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