【エール】最終回に志村けんさん登場 偶然撮れていた笑顔の初出しカットは「奇跡」
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 NHKの連続テレビ小説『エール』(月~土 前8:00 総合ほか※土曜は1週間の振り返り)は、26日放送の第119回で、多くの名曲を生み出した作曲家・古山裕一(窪田正孝)と妻・音(二階堂ふみ)の夫婦二人三脚の物語が完結。裕一が作曲をはじめるきっかけとなった日本を代表する西洋音楽の作曲家・小山田耕三役で出演し、今年3月に亡くなった志村けんさんの回想シーンと、「子どもみたいにチャーミング」な笑顔のミラーショット(初出し映像)が華を添えた。

【写真】今年10月上旬に豊橋の海で撮影されたラストシーン

 第119回は、病に伏す音の療養ため、東京を離れて静かな生活を送っていた裕一のもとに、ある日、作曲家を目指しているという広松寛治(松本大輝)という青年が裕一を訪ねてくる。そして、東京オリンピックの後、裕一の元に届けられた、小山田が亡くなる直前に裕一に宛てて書いたという手紙を思い出す。

 小山田は、裕一のたぐいまれな作曲の才能に気づき、コロンブスレコードに専属作曲家として推薦するが、一方で、裕一の活躍が自分の地位を脅かすのではないかと恐れていた。手紙は、西洋音楽ではなく、あえて流行歌の専属作曲家にしたことを懺悔(ざんげ)するものだったが、そのことが結果的にジャンルレスな裕一の活躍にもつながり、裕一は「感謝しかありません」と語るのだった。

 裕一の前ではいつもしかめっ面だったが、手紙を届けにきた付き人の猿橋重三(川島潤哉)が「笑顔は子どもみたいにチャーミング」だったと語る場面の志村さんの笑顔は、今回が初出しの映像。脚本・演出に携わった吉田照幸氏は次のように明かす。

 「第119回は、2つやることがあると最初から思っていました。一つは志村さん、もう一つは夫婦の終わり方。最後に志村さんをどうやって出したらいいのか。もし天国に行くことができて、志村さんと再会できたら笑いについてお話したいな、と思っている僕の思いを台本に書きました。撮影している時、涙が出てしまい、プレビューが見れなかったです。ですが、窪田さんも猿橋役の川島さんも抑えた素晴らしい重みのある芝居だったな、と思います。

 志村さんの初出し映像は、実際は現場でほかの人がNGを出した時に思わず笑っていた志村さんがたまたま映っていた映像を編集担当が見つけてくれたんです。奇跡だな、と思うのはミラーショットじゃなかったら使えなかったかもしれないということ。鏡に映っている顔だから、思いを馳せることができる。本当に、偶然撮れていた映像なんです。志村さんは、本当に子どもみたいな笑顔をされる方で、それをこういう形で表現できて、みんなで頑張って、努力して、思いが詰まった作品ではこういう奇跡みたいなことが起こるんだな、と思いました」

 今作がテレビドラマ初出演にして遺作となった志村さん。演出の吉田氏は、『となりのシムラ』シリーズ、『志村けんin探偵佐平60歳』(2018年)などで志村さんと番組を作ってきた。

 「手紙の内容を小山田が直接、裕一に伝えるシーンは、構想として最初からあったものです。わだかまりを超えて、普段の志村さんのような柔らかい笑顔で終わろうと思っていました。プライドの功罪、嫉妬は力にもなるけど、人を蝕むこともある、ということを『エール』の中で描きたいと思っていたんです。志村さんは“笑い”に対して本当にストイックで、他の人がウケていたら悔しいし、自分はもっと笑わせることができる、と常に勝負に挑み、努力されていた。実際に撮影することができなくなり、猿橋のせりふとして書きましたが、本当に笑顔は子どもみたいにチャーミングな方でした」と、志村さんを偲んだ。

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