有吉弘行の“ゲス”を支えたアシスタント語る、芸人がラジオを主戦場にする意味とは?
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 ラジオ番組『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』(JFN)アシスタントの絶対的エースといえば、デンジャラス・安田和博だ。番組内アシスタント総選挙では1位を4度獲得。10月7日にゲスト出演した『なな→きゅう』(文化放送)では、有吉のアシスタントをする上での心がけとして「ゼロでいくっていう感じですね。有吉とのラジオの時は任せておけばいいから」と発言。彼の考えるアシスタントの極意とは何か? 『有吉ベース』(フジテレビONE)では構成作家も務めている安田に、有吉弘行の素顔やラジオ番組が芸人とってどのような意味を持つものなのかなど語ってもらった。

【写真】「安田“さん”」の敬称呼びを拒否する有吉に驚き顔のデンジャラス安田…仲睦まじい2ショット

■「爪痕残さなきゃ」が一番ダメ、支持率ナンバー1「自己主張しない」から

――『サンドリ』が2020年で放送10周年を迎えましたが、その感想からお願いします。

【デンジャラス安田】番組自体は10周年かもしれないんですけど、僕が入るようになったのは6、7年前ぐらいですから、感想といっても(笑)。レギュラーじゃないですし。ただ、2020年初頭に『人気ラジオ番組完全ガイド』という本が出て、その時に企画でアシスタントの選挙をやったら僕が1位になったんです。逆に2位以下の方が磯山さやかさんとかレギュラーの方だったりして、だから僕を1位とか絶対的エースとか言ってくる人は、僕のこと“いじり”に来てるなと思ってます(笑)。

――レギュラーではないのに1位って逆にすごくないですか。1位に選ばれた理由は何だと分析されますか?

【デンジャラス安田】自己主張しないことじゃないですか。よく若い人が「爪痕残さなきゃ」とか言ってますけど、あれ一番ダメなんですよ。話している人の邪魔になる。だからこの番組でも、何も考えないゼロの立場で入ってるんです。というか『サンドリ』は、番組前の打ち合わせもないですからね。初回なんて「これ本当に流れてるの」って思っちゃったぐらい。有吉なんて勝手にCM入れちゃうし(笑)。でもあれ、実はタイムテーブル通りで、僕がその時計の見方を知らなかっただけなんです。それも本当は、事前にスタッフが説明しなきゃいけないんでしょうけどね。

――(笑)。それでも番組は成立した。

【デンジャラス安田】もともと上島(竜兵)さん絡みで有吉とかと飲んでいるその延長みたいな空気感ですから。有吉はもう、売れる前から本当に失礼なやつで(笑)。いつも人を小馬鹿にしてましたけど(笑)。それについて僕がツッコミを入れる、そのくだりのまま。飲み屋かラジオか、“場所”が違うぐらいの認識しか僕にはないです。

■有吉のすごさは「今の立場になっても出題した大喜利の答えを自ら出せること」

――意地悪な質問ですけど、安田さんは有吉さんの事務所の先輩。先輩が後輩のラジオのアシスタントにつくっていうのはどんな気持ちですか?

【デンジャラス安田】「どうしたら面白くなるだろう」ってだけですね。だって「俺、先輩だぞ」ってずっと言ってても面白くないじゃないですか。「タメ口は良いけど呼び捨てだけはダメだぞ」って線引だけやってあとは自由にやっています(笑)。たまに「後輩にあんな生意気なこと言わせておいていいんですか」って言ってくる人いるけど、それは“面白さ”を分かってない。お互いのスタンスでのやり取りが、こうしてエンタメとして成立しているわけですから。…こう言って記事になったら、ゲスナー(『サンドリ』のリスナー)たちは、「偉そうなこと言ってましたね」って多分くるんですよ(笑)。でもそれがネタになって番組が転がるなら、別にそれでいいと思ってます。

――ちなみに有吉さんのすごさって?

【デンジャラス安田】うーん。急に大喜利めいたことを始めて、ちゃんと自分も答えを出すこと。お題が出たとして、他のアシスタントが答えても「それは違う」とか転がしていじるとか、あまり自分で答えを出す人っていないんだけど、有吉は自分で答えを出しますから。つまんない答えになっちゃっても「しょうもなかったな(笑)」って笑って終わらす。もうそこまでやんなくていい立場なのに、よくやるなって思ってます。

――テレビとラジオで有吉さんは違ったりします?

【デンジャラス安田】テレビではやっぱり言葉を選んでるのかな。そういう意味ではラジオの方が伸び伸びしているけど、例えば、ラジオって大体コーナーごとの括りってあるじゃないですか。フリートークはフリートークっていう。でも有吉は、コーナー関係なしに平気で思いついた話を始めちゃいますからね。あんまり決め込まないでやるってすごいことですよ。

――サンドリの名物ゲスナーはキレッキレで笑いのレベルが高い印象。ゲスナーについてはどう思われますか。

【デンジャラス安田】先述のラジオ本でゲスナーと座談会をしたんですけど、文章は汚くても面白くなるようにしたいって気持ちがあるんです。僕たちと方向が一緒だなと。ただゲスナーは、あんまり“ブレーキ”踏んでない感じがある(笑)。でもハガキ職人として優秀ですよ! 放送作家を目指せばいいのにって人もいますから。

■「自分がやりたいことを発表できる場が、もうラジオしかない」芸人におけるラジオの立ち位置

――放送作家としても活躍されていますが、表に立って自ら笑いをとることと裏方に回って芸人の笑いを光らせる、二刀流の自分をどう思いますか。

【デンジャラス安田】どっちも自分が面白いと思うことをやってたんですけど、放送作家を始めた当初はあまりネタが採用されなくて。そこでその番組の中心となる人が、番組内でこんなこといってたなという引っかかりからネタを出したら議題に上るようになったんです。だから自分のラジオを聞き直していますし、人の番組もよく聞くようになりました。その後のアフタートークも全部。『サンドリ』ももちろんです。最初に「アシスタントして支持される理由」という質問がありましたが、下手したら自分が一番のゲスナーである、ということも考えられるかもしれません。きっとヘビーリスナーだったら気づくでしょうね。

――なるほど。ところで話は変わりますが、芸人さんがラジオ番組をやっていることが多いと思います。芸人さんにとってのラジオ番組って何でしょう。

【デンジャラス安田】多分ですけど…。昔だったらライブをやってテレビのネタ番組に出てブレイクしてその後、冠番組を持つというのが一つの目標だったと思うんです。でも今はネタ番組も少ないじゃないですか。自分がやりたいことを発表できる場が、もうラジオしかないんじゃないか、というようなことは思います。

――最後に。安田さんにとっての『サンドリ』とは?

【デンジャラス安田】うわ来た! その質問されなきゃいいなって思って来たんですよ。大喜利になっちゃいますもん。どうしよ…そうだな、あえていうなら…「生活の一部」。ほかの人が出た回も全部聞いてますし、それも『有吉ベース』に生かしたりしてるんで。

――「生活の一部」、素敵な言葉です!

【デンジャラス安田】いや! こんなん全然ウケてませんから(笑)。じゃあちょっとゲスナーに募集してみましょうかね。「僕はこの質問になんて答えたら良かったでしょうか」って。僕らお笑いが『プロフェッショナル 仕事の流儀』みたいな仰々しい答えで終わっても、そんなの誰も求めてないでしょうからね(笑)。

(文/衣輪晋一)

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