平面なのか立体なのか?『頭文字D』風のプラモデルに目を疑う…作者「走っているように見えるものが作りたかった」
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 自動車漫画の金字塔『頭文字D』(イニシャル・ディー/講談社)を彷彿とさせる臨場感あふれる一コマ。実はこの車、イラストではなくカープラモデル。モデラーのSHINGAさん(@matin19761)は、思わず「これ、本当にプラモデル?」と目を疑ってしまうほどの“漫画風の塗装”を施した作品を次々と発表し、フォロワーから「すごすぎて理解が追い付かない」「とんでもないプラモですね」などの賞賛を受けている。同氏がこのような作品を手掛けようと思ったきっかけとは?

【写真】奇妙な違和感に「頭がバグる!」…漫画から飛び出してきた『頭文字D』藤原とうふ店仕様のトレノ

■試行錯誤しながら生まれた“漫画風プラモ”

――作品を見て驚きました。本当にプラモデルなのかと目を疑ってしまうほど、“1枚のイラスト”として完成されていましたが、そもそもどのようなきっかけで、プラモデルを作り始めたのですか?

【SHINGA】高校生の頃にガソリンスタンドでアルバイトをしていたんですけど、常連さんにカスタムカー乗りの方が多かったんです。見て触れているうちに自然と憧れるようになって、その頃から好きな車のプラモデルを作るようになりました。
 特に、よくバイト先にトヨタカローラレビン(AE86)に乗ったお兄さんが来ていたんです。まだ『頭文字D』も連載されていない頃でしたが、一目惚れしました。まだ免許を持っていなかったので、86(カローラレビンの通称)のプラモデルを何台も作りましたね。

――臨場感あふれる漫画のような作品を作り始めたきっかけは、やはり『頭文字D』の影響が大きいのでしょうか?

【SHINGA】車のプラモデルを制作していくなかで徐々に「プラモデルを綺麗に塗装して作っても、走っているように見えないなぁ…」と思うようになり、いつか「走っているように見えるプラモデルが作りたい!」という欲が生まれました(笑)。もちろん最初は「頭文字D」を参考に試行錯誤してという感じです。

――説明書通りに作ることに物足りなさを感じるようになっていったんですね。本格的に今のようなカープラモデルを作り出したのはいつ頃からですか?

【SHINGA】今の作風で作り出したのは3年前ですね。仰る通り「車のプラモで何かもっと面白いことは出来ないかな?」と考えて、作ってみたのがきっかけです。
 車のプラモデル自体はもう数えきれないくらい作っていますが、“漫画風プラモ”は3年で20台くらいです。

■立体なのか平面なのか「脳がバグる」と反響、区別がつかない妙なリアル感が魅力に

――近作では昨年末、トヨタヴィッツRSを“描かれ”ました。なぜスポーツカーの印象があまりないヴィッツを、モチーフにしようと思われたのですか?

【SHINGA】単純にコンパクトハッチが好きで、私が実際に2台もヴィッツRSに乗ってきたというのが理由です(笑)。軽いボディに、程よくクロスされたミッションは病みつきになります。

――愛車にされていたんですね。こちらも人気の日産シルビアとのつばぜりあいが、臨場感あふれる様子で見事に表現されています。

【SHINGA】ありがとうございます。制作する上で、「ヴィッツの相手は何にしようかな?」と思ったときに、なにか1つコンセプトが欲しいなと。そこで思いついたのが「青ボディ対決」(笑)。ヴィッツでは、ドライバーの腕がないとなかなかシルビアには勝てませんが、ギリギリの競り合いのなかから、シルビアの前に出たところの臨場感を意識しましたね。

――制作後、どのような反響がありましたか?

【SHINGA】本作だけでなく、いつも良く言われるのは「脳がバグる」です。僕自身も写真を見返すと絵に見えちゃうくらいなので(笑)。本作に関しては、ヴィッツ乗りの方が喜んでくれました。

――“漫画風塗装”作品を作る際の、どのようなところにこだわっていらっしゃいますか?

【SHINGA】当初は『頭文字D』っぽく…と思って作っていたのですが、徐々に自分色が出始めて、どんどん劇画タッチになっていきました。今は「やりすぎないように」と、気をつけています。こだわりはとにかく「臨場感」。動いてるように見えなきゃ作品としては失敗だと思っています。

――これだけこだわって制作している“漫画風塗装”の魅力はどんなところですか?

【SHINGA】立体なのか平面なのか区別がつきそうでつかないところに、妙なリアル感があると思います。漫画なんだけど立体物として存在している。そんな不思議なところが魅力だと思います。

――「脳がバグる」という言葉もありましたが、まさにそんな味わい深さがありますよね。今後も制作は続けていくのでしょうか?

【SHINGA】もちろんです。構想はまだまだたくさんあります。なかなか制作時間が取れませんが、初代スズキアルトワークス、トヨタカローラレビン(AE86)、トヨタスプリンタートレノ、雨宮仕様のマツダサバンナRX-7などなどを考えています。

――ご自身のカープラモデラーとしての信念を教えてください?

【SHINGA】個人的にはモデラーというより、“ペインター”だと思っています。信念はとにかく「自分の作品で人を喜ばせる」。これに尽きます。

――最後にSHINGAさんにとって「カープラモデル」とは?

【SHINGA】カープラモデルも含め、車関係全てが僕にとってなくてはならない物です。本業がプロダクトデザイナーなので、車やプラモは1番の刺激になりますし、僕のセンスを作り上げてくれたもの。死ぬまで続けていく趣味であり、ライフワークですね。

文/中山洋平

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事