小林由美子×森川智之、『映画クレヨンしんちゃん』対談 “心に刺さる”“腺崩壊”のポイントは?
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 テレビ朝日系で放送中の人気アニメ『クレヨンしんちゃん』の劇場版最新作『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』(公開中)。超エリート校「私立天下統一カスカベ学園」に体験入学したしんのすけたちが、カスカベ防衛隊もとい、カスカベ探偵倶楽部となって怪事件に挑むストーリー。

【動画】『謎メキ!花の天カス学園』冒頭映像5分を“特別”大公開だゾ!

 『クレヨンしんちゃん』に《探偵もの》や《謎解き》の要素が加わっただけでなく、《青春》《友情》の見どころもたっぷり。おまけに、世界最大級のスポーツの祭典に負けず劣らずの熱い展開も! 声優として、主人公・野原しんのすけ、しんのすけの父・野原ひろしを演じる小林由美子と森川智之が、本作ならではの面白さ、『クレヨンしんちゃん』の魅力を存分に語る。

――映画を鑑賞した人の感想もすこぶる良い本作ですが、最初に鑑賞後の感想は?

【小林】“ミステリー風”とうたっているのですが、ガッツリ、ミステリーになっていて、一度見終わった後に、もう一回見て伏線回収したくなりました。《青春》もテーマの一つなので、しんちゃんたちのようにこれから青春を迎える人も、青春真っ只中の人も、青春は過ぎてしまったなと思っている人も、すべての人の心に刺さる作品だと思います。

【森川】単に《謎説き》だけがテーマではなくて、由美子ちゃんが言ったように青春とは何なのか、といったことまで一人ひとりに問いかけてくる作品。泣かせようとしていないんだけど、涙がボロボロ出ちゃった(笑)。それはなぜかと言ったら、一人ひとりにどこかしら重なるものがちりばめられていて、表面的な《謎解き》ではなくて、自分にかけられた謎を解いていくような、ふぁーと見て謎が解けて、心が軽くなるような感覚にもなる。あれ?こんなこと自分にもあったな、とグサグサ刺さって、感動しちゃう。これはすごい傑作だと思いました。

――森川さんの涙腺崩壊ポイントは?

【森川】容姿にコンプレックスを持っていた生徒会長のチシオちゃんが、自分の顔を「全部好き」と言った時ですね。僕、子どもの頃、人前で笑うのが苦手だったんです。子どもの頃の写真を見ると、ほとんど笑ってない。カメラを向けられるとぐっと身構えちゃって。昔はフィルムカメラだったから、いまみたいに撮り直しも加工もできなかったし(笑)。でも、役者になるなら、そんなこと言っていられないじゃないですか。苦手意識を克服していったことを思い出して、涙が出ました。

――『映画クレヨンしんちゃん』って、思いがけない感動がありますよね。

【森川】普通に、いちファンとして見て、『映画クレヨンしんちゃん』ってなんでこんなに素敵なんだろうって毎回思うんです。僕らのような大人も楽しめて、もちろんお子さんたちが見ても十分楽しめて。最後の最後までどんどん盛り上がっていく高揚感、一瞬一瞬のすべてが愛おしく感じる映画ですね。

【小林】『映画クレヨンしんちゃん』で毎回思うのは、時間が過ぎていく切なさなんですね。これはテレビシリーズにはない感傷。今がいつか過去になって思い出す日がくる、という。しんのすけは永遠の5歳児ですけれども、『映画クレヨンしんちゃん』には、その時その時のいまを生きているしんのすけたちが描かれていて刹那的。それが、今回、《青春》をテーマにしたことでよりクローズアップされていたように思います。見終わった後に、しんのすけたちもいつか大人になっちゃうんだな、というちょっぴり切ない余韻がすごくある作品だと思います。

【森川】「青春とは?」という問いかけに、みさえが「あったわね」と言って、ひろしが「今だぜ」と答える応える。思いっきり、イケボで言わせていただきましたが、みさえがドン引きして、笑わせにいくところなんですが、完成したものを見たときに、ただの「今だぜ」じゃないものを感じて奥が深いと思いました。今回は、演じている時にはそんなに意識していなかったせりふが、すごく心に響く。そういう神がかった場面がいくつもありますね。

【小林】ちょいちょいいい男っぷりを出してくる、ひろし! ちょっとした一言や仕草が刺さる! さすが、オラの父ちゃん! 今回の映画は、ひろしやみさえの出番こそ少なかったのですが、描かれていないからこそ、家族の存在の大きさを実感させられるというか。家に帰れば、父ちゃん、母ちゃん、妹のひまわり、シロがいる、そういう安心感があるから、どこにいてもしんのすけはしんのすけでいられるんだな、というのを改めて感じました。

――本作では、風間くんにまつわる《謎解き》も見どころかと。

【小林】冒頭からいつもと違う浮かれっぷりの風間くんですが、その理由がわかった時、グッときましたね。

【森川】あれは、ヤバいね。幼い頃に仲良かった友達といまも仲良くしている人もいると思うけど、大半はお互いに音信不通になってしまっているじゃない? 素敵な思い出はたくさん残っているのに、一緒に遊んだあの子はいま何をしているのか、元気なのかどうかもわからないってことに気づかされて、グサッときました。

【小林】普段はなかなか見えてこない風間くんのしんのすけたちへの思いにフォーカスしたり、ネネちゃん、マサオくん、ボーちゃんの意外な一面も楽しめたりできるのは、映画シリーズならではの魅力ですね。

――感動もするのですが、めちゃくちゃ笑えますよね。お尻もたくさん出てくるし。

【小林】お尻をどう出すか、お下品なことをいかにマイルドにやるか、それを大の大人たちが真剣に考えている! より面白いものを時代に合わせて生み出していって、なんとかしてみんなを笑わせよう、という挑戦を30年もの間ずっと続けている。その熱量は回を追うごとに高まっているような気がしています。だから、全然マンネリ化しない。

【森川】みんな永遠の5歳児なんだね。

――おふたりの中にも永遠の5歳児はいますか?

【森川】いますね。前作(『映画クレヨンしんちゃん 激突! ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』)で、「なんでもいいから落書きしてください」と言われて、大人は「何を描けばいいの?」と身構えてしまうけれど、しんのすけをはじめ子どもたちは描ける。子どもたちは持っていて、大人になると失ってしまう力。5歳児のように自由に発想できる力、想像力は役者をやっていくうえで必要かつ大切なものだと思いますし、どんな職場でも、家庭生活でも大事なものだと思う。『クレヨンしんちゃん』を見て、しんちゃんの力を借りて、5歳児5歳児だった頃の自分を呼び戻して、発想の転換ができたらいいこともあるのかな、と思います。

【小林】55歳児って、石ころ一つでずっと遊んでいられる。与えなくても、自分から楽しむ心を持っていると思うんです。『クレヨンしんちゃん』のアフレコも自分から楽しもう、楽しんで演じればきっと伝わる、そうは思っているのですが、いっぱいいっぱいのことが多いかな(笑)。いつでも心は5歳児5歳児になれるような、余裕のある大人になりたいと思うばかりです。

――これから『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』をご覧になる方にメッセージをお願いします。

【小林】日常生活で頭を空っぽにして笑うことってなかなかないと思うのですが、この映画を見ている間は、大人も頭を空っぽにして笑える瞬間が必ず訪れると思います。マスクの下で、心の中で多いに笑ってください。

【森川】日本に『クレヨンしんちゃん』があってよかった。もし、なかったら…なんて、想像できないけれど、きっと暗い国になっていたことでしょう。僕はそう思っているのですが、映画をご覧になった後には、皆さんもきっと、『クレヨンしんちゃん』があってよかったと感じていただけると思います。

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