横山だいすけも「攻めてるなぁ!」 コロナ禍を踏まえた『映画 おかあさんといっしょ』が今だから伝えたい想いとは
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 60年以上の歴史を持つ「おかあさんといっしょ」(NHK Eテレ)。その劇場版3作目となる『映画 おかあさんといっしょ ヘンテコ世界からの脱出!』が10日より公開される。今作は子ども向けの参加型エンターテインメント作品ではあるが、コロナ禍を意識した内容に。プロデューサーである古屋光昭氏は、同番組が「この10年で大きく変わってきた」と話す。その変化の理由と本作に込められたメッセージを、第11代目歌のお兄さんで本作にも出演している横山だいすけと、古屋プロデューサーに聞いた。

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■「『おかあさんといっしょ』はファンタジーだった」東日本大震災で大きく変わった制作

──『映画 おかあさんといっしょ』は今作で3作目となりますが、かなりメッセージ性の強い作品になっているようですね。

横山だいすけ 1作目から続けてゲスト出演させていただいているなかで、『映画 おかあさんといっしょ』はどんどん成長してきているなと感じます。特に今回は、子どもだけではなく大人の方にも胸にぐっとくるシーンが増えていて。前作よりパワーアップした映画になったなと思います。

古屋光昭 今回は3つの課題がありました。1つは、アニメーションと生身の合成。今までストーリー上は一緒でもシーンとしては別々だったんですが、今回はアニメと生身のキャストを1つの絵の中に重ねて入れられるようにして、ちゃんと同じ世界にいるんだということを示したかったんです。 2つ目は、“参加型”の映画であること。1,2作目も“参加型”ではあったのですが、今作ではコロナ禍の状況でどういう“参加型”が成立するのか、ということに注力しました。具体的には、声を出さずに拍手で答えたり、指を差して方向を教えたり、座ったままで体操したり、これまでとは違った新しい“参加型”の要素を考えていきました。そして3つ目は、コロナ禍であることをきちんと意識した内容。物語の中で明確にコロナだとは言わないんですが、今の生活を思わせるストーリーや設定を考えました。今のこの世の中の状況は避けて通れませんので、きちんと描いていこうと思いました。

横山だいすけ そういう意味で、僕は台本をいただいたときに「おかあさんといっしょ、今回は攻めてるなぁ!」と思いました(笑)。僕が番組で現役の歌のお兄さんをやってるときに東日本大震災があって、震災後の大変な状況の中で生活している子どもたちに何を届けていくかということを、古屋さんたちと考えながら番組を作っていたんです。今回の映画も直接「コロナ」とは言わないんですけど、制作側が現実を意識して、想いを込めて作っているのを感じました。

古屋光昭 僕は以前、「おかあさんといっしょ」は、現実世界とは少し離れているファンタジーのような存在だと思っていたんです。でも、東日本大震災のときに、もう少し社会と近い存在でもいいし、むしろもっと関わっていくべきだなと感じて。そしてコロナもあり、番組の作り方や受け止められ方もこの10年でさらに変わってきたんです。現実世界のリアルな子育てにリンクした番組、もっと現実に起きていることとリンクした番組として受け止められていると思います。

■「ヘンテコさん」で表現した“多様性” 子どもだけでなく親にも伝えたい想いとは

──今回、だいすけさん扮するヘンテコさんというキャラクターもかなり攻めてますよね。人と違うことや、個性を尊重しようという世の中の動きとリンクしているなと思いました。

古屋光昭 そうですね。ヘンテコさんのいるヘンテコタウンでは、誰もヘンテコというのを否定していないんです。逆に、誰もが自由気ままに暮らせてすごく楽しい世界なんだということが、だいすけくんがキャラを膨らませてくれたおかげで、より伝わるようになりました。

横山だいすけ 最初に台本をもらったときは、ヘンテコさんはゆういちろうお兄さんとどうやって友達になれるのかなってことをたくさん考えてたんです。でも、衣装を合わせてみて、初めてヘンテコさんのキャラクターが見えてきて。台本からイメージするヘンテコさんよりもはるかにヘンテコだ!なんだこの髪型は!みたいな(笑)。それがすごく楽しくて、ヘンテコさんは衣装、髪型、セリフのひとつひとつが活き活きすればするほど、魅力が伝わるのかなと思ったんです。ヘンテコさんはもちろん、小池徹平さん演じるキャラも含め、登場人物全員にいえることなんですけど、“こうでなきゃいけない”っていうものが全然ない。それは世の中が多様性を認める時代になった証だなと感じましたし、「おかあさんといっしょ」の、社会に寄り添った番組としてのメッセージが届いていく瞬間なんだなと感じたんですよね。

──街中にいるヘンテコな人たちにも優しいヘンテコさんが届けるメッセージは、子どもだけじゃなく大人の心も動かしますね。

横山だいすけ 僕が現役で番組に出ているとき、『かぞえてんぐ』という、僕にそっくりの親友でこれまたヘンテコなキャラクターがいたんです。『かぞえてんぐ』はすごくテンションが高いキャラクターで、始めてから半年くらいは、収録にくる子どもたちが口をあんぐりしてたんですよ(笑)。でも、毎週やっていくなかで、子どもたちの中に『かぞえてんぐ』は友達だという感情が芽生えて、一緒に数えてくれるようになったんですね。子どもたちから、見た目もやることもまったく自分たちと違う、『かぞえてんぐ』というキャラクターと一緒に数を数える楽しさというのを感じたし、お互いを認め合えるのはすごく素敵なことだなと思ったんです。また、小池徹平さんが出演されたシーンでは、「答えはひとつじゃなくていいんだよ」ってことが、未来を創るこどもたちに大切なメッセージとして届くはず。親御さんたちにもそれは伝わると思っていて、子どもに対して「こうしなきゃ、ああしなきゃ」と思わなくてよくなるんじゃないかなって。

古屋光昭 本当に素敵なヘンテコさんでしたよね。そういう意味ではよしお兄さんも、絶妙な存在感でヘンテコタウンの世界観を出してくれてますし。

横山だいすけ 僕は、なんて贅沢なよしおお兄さんの使い方なんだ!と思いましたよ (笑)。

■映画館で見られる子どもの成長「この状況だからこそ親子で見る意義がある」

──コロナ禍での子ども達に向けて、今回の映画で特に感じてほしいことは何でしょうか。

横山だいすけ 今の状況では外に出ること、人と触れることがNGとされる声もあるんですけど、それをせずに生活はできないと思うんです。そういう状況の中で、映画館に足を運ぶことも難しいと思うんですけど、映画館も感染対策はしてますし、それぞれに感染対策をした上でぜひ映画館で楽しんでもらいたいなと思います。こういう状況だからこそ、親子で見ることに意義がある作品だと思いますし、映画館で体を動かしながら見ることで、また子どもの成長も感じられると思うんですよね。このコロナ禍のなかで、子どもができることを見つけていくことはとても大切。今をどうやって楽しもうかという要素がたくさん詰まっている映画なので、ぜひ多くの親子に楽しんでほしいなと思います。

古屋光昭 メッセージを感じ取ってくださいというよりも、まずはこのコロナ禍でも、親子で一緒に楽しむ時間をもってもらうということ。それが僕らにとって一番嬉しいことです。

横山だいすけ 「おかあさんといっしょ」って、普段親御さんが「家事をしていられる時間になる」とよく言われるんです。でも本来は親子で一緒に観て欲しいし、映画館では、映画を観ることに集中できるので思う存分、親子で一緒にスクリーンに向かって楽しんでほしいですね。

(取材・文/川上きくえ)

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