木村拓哉、年相応の役柄に誇り「同じような設定なら『まだそんなことやっているの』と言われる」
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 映画『検察側の罪人』(8/24公開)で、エリート検事を演じる木村拓哉。大ヒット作『HERO』シリーズと同じ検事役だが、人間性や展開はまったく異なる。2015年のドラマ『アイムホーム』(テレビ朝日系)で初の父親役を演じて以来、年相応の問題を抱えた役が続いた木村。今だからこそ表現できる、葛藤と悲哀とは? ジャニーズ事務所の後輩ながら、初めて共演することになった二宮和也とのエピソードも語った。

【写真】水も滴る…ズブ濡れで抱えられる木村拓哉

■エリートでも家庭では疎外される役柄、「寂しいなと思いながら撮影をしてはいました」

 木村が『検察側の罪人』で演じた最上毅は、『HERO』シリーズと同じく検事役。とはいえ、多くの後輩から尊敬される刑事部きってのエリートという、『HERO』の久利生検事とは真逆のキャラクターだ。

 「作品自体がまったく別物なので、比較をすることはなかったです。もし、役職やキャラ的に『HERO』と同じような設定であったなら、『まだそんなことやっているの』と言われてしまうんじゃないかな。そうならないように、まったく異なるポジションの役柄をいただけたことは嬉しくもあり、名誉なことではあります」

 かつては、『HERO』のように型破りなイケメンを演じることの多かった木村。だが、ドラマ『アイムホーム』(2015年)で初の父親役を演じて以来、今年はじめの『BG~身辺警護人~』(ともにテレビ朝日系)でも、子どもとのコミュニケーションに悩むシングルファザー役を熱演。年相応の葛藤や秘密を抱える役を演じることも多かった。実年齢に近い設定が増えたことで、今の木村ならではの表現を期待されている。

 「それも含めて、いろいろ細かい部分まで監督が空気作りをしてくださったので、その中で自由に演じていこうかなと」

 今作で木村が演じた最上もまた、仕事では後輩に師と仰がれるエリートながら、家庭では妻と娘に疎外されているという、煩悶を抱えた役柄だ。

 「仕事をしている時の最上はしっかり立っていられるけれど、『ただいま』と家に帰った瞬間に、その軸がまったくなくなる。要は、それを一緒に支える夫婦関係ではなくなっているんです。それが寂しいなと思いながら、撮影をしてはいました。ただ、ドクターもそうですが、仕事で優秀な方ってわりと家庭がうまくいってない方も多いようで…。そのへんはリサーチして臨みました」

■後輩・二宮和也と初共演、「自分が魅力を感じる作品に、彼が求められている」

 今作で木村は、ジャニーズ事務所の後輩でもある二宮和也と初共演。感じることも多かったようだ。

 「普段目にする二宮和也は、嵐の一員であり、5人のうちの1人です。でもその一方で、映画『硫黄島からの手紙』や『赤めだか』しかり、ドラマ『ブラックペアン』(TBS系)しかり。二宮ならではの、1人でバン!と発揮する瞬発力は実在していたんだなと、あらためて感じました。本当に、安心できる共演者だと思います」

 撮影中には、2人はどんなコミュニケーションをとっていたのだろうか。

 「演技の話とかはまったくなく、たわいのないことばかり話していたなぁ。僕がニノの出演作を観た話をしたら、『マジっすか!』って驚いてましたけど、たぶんリップサービスでしょう(笑)。後輩の作品は全部を観ているわけではないですが、作品として自分が魅力を感じるものに、彼が求められている。そういうことかな、と思います」

■二宮の演技に心動かされてアドリブも、「『ありがとな』って連絡しました」

 最上は、別の事件の被疑者・松倉(酒向芳)が、すでに時効となった女子高校生殺害の犯人であることを確信し、松倉を罰することに執着していく。二宮演じる後輩検事の沖野が、松倉から自供を引き出すシーンも圧巻だ。木村自身、それに影響されて演技を変更したことがあったとか。

 「松倉と沖野の対峙シーンは先に撮ってあって、僕は後日、その音源だけを聞いて撮影をしたんです。実は、台本では最上は最後までその自供を聞くことになっていました。でも、あまりに内容がひどすぎて、演じている僕自身が聞いていられなくて…。思わず、イヤホンを外して席を立ってしまいました。台本とは違うけど、時系列的にはOKだし、ここは自分の心に正直にやらせてもらっていいかな、と」

 「彼があのシーンを先に撮っておいてくれて、本当に助かりました。あの空気感は素晴らしかった。あとで『ありがとな』って連絡しました」

■吉高の「拓ちゃん」発言に波紋、「毎回ニノが『いい加減にしろよ!』と諌める」

 木村は、事務官・橘沙穂を演じた吉高由里子とも初共演。映画『GANTZ』で吉高と共演経験のある二宮を間に挟み、面白い風景が見られたようだ。

 「彼女は“逆ムードメーカー”と言いますか…。突拍子もない時に、すごい角度で切り込んでくる時もありました。みんなが『よーし、行こうぜ! 頑張ろううぜ!』とピリピリしてシーンとしている中で、突然『拓ちゃん、元気?』って。みんないっせいに『うっ、うん?』と、腰が砕けましたね(笑)。同じようなことが色々あったんですけど、ニノがその都度、『そういう言い方はやめなさい!』って諌めるんです。あの2人は共演経験があるから空気感が出来上がっているんですけど、そこに付属品のようにいる僕に対して興味があったらしく。『堅いこと言うなよ、拓ちゃん』って彼女が言うと、毎回ニノが『いい加減にしろよ、オマエ!』と絡むんですよ(笑)。面白い現場というか、やっぱり吉高さんは“柔軟剤”だったなと僕は思います」

■木村にとっての“正義”とは? 被災地の炊き出しへの考えも

 このように、撮影中は共演者として良好な関係を築いた木村と二宮。だが劇中では、信頼し合っていた最上と沖野が、お互いの正義をかけて対立し、激突することになる。“正義とは何か?”、それもまた本作の大きなテーマ。では、木村にとっての“正義”とは一体何だろうか。

 「相手の立場に立って考えること、ですかね。自分としては信念に基づいた武装をするけど、相手にとってみたらその信念は間違っているかもしれない。先日のこと(西日本豪雨被災地での炊き出し)もそうですけども、相手の立場に立つことがまずは大切だと思います」

(取材:金子裕子)

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